結果とクラス…
読んでいて面白くないと感じたらブラウザバックをすることをオススメします。
「こんな事があり得るのだろうか?」
「あり得るから今こうして起こっているのでしょう?」
「しかしまさか、あの方が言っていたことが本当に起こるとは…」
「…これも運命なのやもしれぬな」
「試験での彼の様子は?」
「実技ではコレといってはなかったな。剣術の方はまあまあかな、ただ時々少し動きずらそうな感じはしたな」
「魔法の方も同じです。ただ、使う魔法は一般的な初級魔法にも関わらずに、威力が変でしたね。それに少し気になることが…」
「気になること?」
「魔法の発動にかなり時間がかかっていましたし、何より詠唱を行っていたんです…」
「ほう…。今時律儀に詠唱を行う子がいるとは驚きじゃな」
「筆記の方はどうだった?」
「…他の、例の6人以外は手を止め悩みに悩みまくっていました。が、奴だけは1人黙々と手を動かし机に向かっていました」
「ほほう。して、結果は?」
「…結果は____でしたよ」
「なんと!」
「信じられん。まさかとは思うが…」
「もしや、彼が例の人物なのでしょうか?」
「…わからぬ。じゃがこれからはここの生徒のひとり。じっくりと見極め観察していくほかあるまい。もしも彼があの方の仰っていた人物なのであれば、自ずとアレを手にすることになるじゃろう。その時、我々が取る行動は一つじゃ」
「ええ、そうですね」
「見守りましょう。見極めましょう。全てはこの世界の未来のために」
「(…はたして、鬼が出るか蛇が出るか。お前は何者だ?)」
□□□□
早朝____
騒がしく開け放たれる扉の音で目が覚めた。
「レオ〜!!朝だぞー!起きろー!」
激しく叩かれるノックの音が大きな声と共に部屋中に響き渡る。それはもう、扉が破壊されそうなほどの威力と騒音なほどのデカい声。
俺はベッドからのそりと起きでると、扉の前まで行き鍵を開けた。
「朝っぱらからうるさいぞティグ。近所迷惑だ」
「おはようレオ!!」
欠伸をしながら来客に悪態をつくと、ティグは満面の笑みで挨拶を告げる。
ティグ__ティグ・ハンストン。南方角にある海辺の街“アッサム”に住む下級貴族ハンストン家の三男坊で、今年から王立学園に入学した俺と同じ新入生。茶色い髪に焦茶色の瞳、背は俺よりも少し高く元気いっぱいで活発な少年だ。
試験が終わって部屋に向かうと、ちょうど部屋から出てきた彼と出会い軽い自己紹介をして仲良くなった。
ティグを部屋先で待たせ、ささっと身支度をする。新品の制服に袖を通し、昨夜のうちに準備しておいたカバンを手に持つと部屋を出る。
「わるい待たせた」
「お、意外と早かった。さっさと朝飯食いに行こうぜー!腹へった」
「はいはい、行くか」
ティグの腹の音に呆れため息をこぼし、2人並んで部屋を後にした。
寮の食堂に着くとほとんどの生徒がすでに来ており、小さな列ができていた。列に並び朝食を受け取り窓際の席に座る。それだけの行動に一体何分かかったのやら。ティグの腹はまるで騒音のように鳴り止まず、椅子に座った途端に飯に齧り付いた。
さて、俺も食べようかな。朝はあまり食欲もないため、軽いメニューで野菜中心だ。昼は流石にガッツリと食うが、朝はどうにもガッツリと食べようとすると胃に負担がかかる。それは前世でも同じだった。だが、これでも少しは改善されてはいる。以前は朝は全く食べなかった。しかし、それを心配した屋敷の使用人たちが色々と画策し、試行錯誤の末やっと朝食を食べれるようになったのだ。あの時は地獄のように感じたな…。もちろん使用人のみんなには感謝している。もしこの学園で朝食を食べられなかったら、苦労していたかもしれない。色々と。
野菜を口に運んではもそもそと咀嚼し、過去を振り返る。前世でも彼らには心配された。一時期は改善のために色々と試行錯誤してくれていたが、あの時はそんな場合ではなかった。そのため、前世で改善されることはなかった。
まあ、あの時はずっと戦闘ばかりだったから仕方ないといえば仕方ないんだけどな。
マイペースに食べ続けいつの間にか食べ終わり、すでに食べ終わっていたティグと共に寮の食堂を後にした。
さて、いよいよお待ちかねのクラス分けだ。
クラス表は校舎の中の一階、入ってすぐの階段横に貼ってあるらしく、そこはすでにかなりの人で溢れかえっていた。
「うっわ、すっごい人だかりだなー。クラス表見えるかな??」
ティグはその日をしてどうにか見ようと一生懸命だ。というか、そんなことしなくてもここからでも充分見えると思うが。人だかりの最後尾で目の前にはたくさんの生徒。みんなそこそこ背の高い者が多く、たとえ背伸びをしようと見えるはずがない。だからと言ってここにいる全員を伸してまで見ようとは考えてもいない。別にそんなことをしなくても見ることはできるからな。
「遠隔透視」
小さく呟くように囁く。遠隔透視、その名の通り遠くのものを障害物を透かして見る事ができる魔法。目に魔力を集中させることにより、より遠くのものを見る事ができる。しかし、魔力操作が必要で、下手をすれば失明することもあるという、それなりに難しい魔法ではある。が、逆にいえば魔力操作さえ完璧にできていれば誰でも使用する事ができる。とても利便性のある魔法だ。
後方から生徒越しにクラス表を見る。
クラスは全部で3クラスあるようで、ひとつは月輪で、他は日輪、大輪。
どうやら俺とティグは同じクラスのようだ。クラスは……月輪。
1クラス49人、3クラス総勢147人。そのうち約7割ほどが貴族、残り約3割ほどが平民のようだ。
クラスの名前には何か意味があるのだろうか…。クラスにはそれぞれ名前に合ったシンボルのようなものがあるらしい。大輪は大地、日輪は太陽、そして月輪は月。前世での経験からいくに、この3つの名前とシンボルには何かしらの意味がある。今はまだわからないが、それもこの学園に通い続けていればいずれわかるだろう。まずは目の前のことをひとつひとつ解きほどいていこうではないか。
「ティグ、俺らは月輪のクラスのようだ」
「俺らってことは、同じクラスか!」
「ああ、そうだ。これからよろしく頼む」
「こっちこそ。よろしくな、レオ!!」
クラスを告げると、ティグは嬉しそうに笑った。
俺たちは当初の目的も果たし、自分たちのクラスへとその場を後にした。
□□□□
「なあ、知ってるか?」
「ああ、確かここからは遠く離れた場所にあるんだろ?」
「そうそう。確か、“成り上がりの貴族”って呼ばれてるんでしょう?」
「“成り上がりの貴族”ねえ…」
「でも、」
「この結果を見たら、」
「誰もそんなふうには呼べなくなるよな」
クラス分け試験《最終結果》
主席‥‥‥【レオニアル・プルーム】
・実技 剣術_50/100 魔法_65/100
・魔力 最上級クラス
・筆記 100/100〈オール満点〉
《レオニアル・プルーム》
上記のものを主席とし、学園での等級位“特級天秀”の称号を与える。
又、特別階級“指揮官”に任命。
以上を持って《レオニアル・プルーム》を生徒会メンバーの一員とし、学園における特殊と認定。
とんでもない事態になっていることを、この時の俺はまだ何も知らずにいた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
駄文ではありますが、頑張って次の話も投稿していきます。
更新は遅いしまちまちだと思いますが。
次の話も読んでいただけると嬉しいです。
次の更新までしばらくお待ちください。