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短編集

反転友人

作者: 豆苗4

 裏の裏は表なのか? 反転友人はひとりなのか? 


 友人を「反転」させたもの、これを反転友人と呼ぶことにしよう。これで回すことも出来るし、ひっくり返すことも裏返すことも出来るようになった。しかし、直接姿を見ることは難しいので、遠回りすることにしよう。まずは、裏の裏からだ。


 手頃な紙を持ってきて紙をひっくり返してみよう。すると、すぐに次のようなことがわかるだろう。「裏」の裏は表だが、「裏の裏」は表ではない。なぜか。では、紙を裏返して裏から見ることにしよう。まず裏を表だと見做す。そうすると表の裏はもちろん裏だ。だから「裏」の裏は表だ。では今度は紙を再度ひっくり返して表から見ることにしよう。表から見た裏は裏だ。では、裏の裏は? 表? 裏の裏と表がいっしょ? どうしてそれが分かる? 表と裏の裏が一緒かどうかは分からない。裏を見るまでは。ドーナツの裏は? 紙の裏は? 古い路地の裏は? あくびの裏は? 表が何かすら定かではないと言うのに! 私は表なのか? 


 これと同じことが反転友人にも言える。「反転」させた友人はひとりだが、「反転友人」はひとりかどうかは分からない。そもそも「反転友人」とは何か? さぁ? 何故ならこれを語っているのは鏡に写った私もどき、それ自体なのだから。私もどきが私を規定する? 私もどきは一体どなた? ちんぷんかんぷん。つぎはぎのうた。つぎはきのうた。つきはぎのうた。つきはきのうた。もし地平線の端っこがたわんでいなかったならばウサギはカメに抜かれることなどあり得なかったに違いない。それは私だと初めて分かる。反転したそのすぐ直後に。ただ反転してからではもう遅いのだ。それが何だったかを知るのには! 私は反転しているのか?


 母を訪ねて三千里。ツツジの裏側。反転したリボン。ひっくり返ったT字。巻き付いた葡萄のツル。こんがらがった濃淡。巡り巡った灯籠なき祭礼。

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