表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

終りの果てで夢をみる~Another Story~

 和也の戦い。


 和也は興廃した町の廃墟で、和也は呆然と由夏が消えて行った黄金の扉を見つめていた。

 ずっと、ずっと・・・。

 空が白けてきた頃、黄金の扉は轟音とともに地中深く消えて行った。

「ゆ・・・か」

 絶望が波のように押し寄せる和也の横で、紫煙が空を舞う。

「もういいか」

 黒服の男はそう言った。

「・・・・・・」

 和也は返事をしない。

「もういいかと言っている」

「いい訳ないだろ」

「ならば死ね」

 男は上着のポケットに手を入れて、ペンライト状のスイッチを取り出す。

「・・・なんでっ!」

 和也の叫び声に、無慈悲に首輪(チョーカー)を爆発させようとした男の手が止まる。

「なぜって、戦わない死戦士は生きる必要がないからだ」

 男は冷たく言い放つ。

「だけど・・・」

「・・・だけど、俺だって人の心がある。恋人を失ったばかりで感傷的になる気持ちを分かってくれと?」

「・・・・・・」

 ひくり、和也の涙混じりのしゃっくりが響く。

「はっきり言おう。もう夜が明ける。時間がないんだ覚悟を決めろ。お前の生きる道は戦うしかない。例えわずかだろうと、彼女が繋いでくれた命・・・そうなんだろ」

 黒服の男が自分にも言い聞かせるように言った。

「・・・・・・」

 和也はふらふらと立ち上がり、

「・・・すまない。待ってくれて」

 と、気持ちを伝えた。

 男はサングラスのブリッジに指をあて、

「・・・・・・お前は自分のやるべき事をしてくれたらいい」

 そう言った。


「時間だ」

「ああ」

 上空から爆音とともにヘリが降りて来る。

 和也は単身それに乗り込み、黒服と別れる。

 ヘリの中は真っ暗でなにも見えない。

 次の戦いの地まで・・・。


・・・・・・。

・・・・・・。


「う」

 和也の視界が突然明るくなった。

「よろしくおねがいします」

 ぺこりと頭を下げるのは、年の頃は14、15にみえる少女だった。

 彼はこくりと頷く。

「後ろについて来て」

 決意を心に秘め、和也は戦う決心をする。

「はい」

 少女は頷いた。

 和也は思った。

 あの時、由夏が自分を導いてくれたように、今度は自分が限りある命を繋ぐと・・・。

 必ず。




 繋いで続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ