終りの果てで夢をみる~Another Story~
和也の戦い。
和也は興廃した町の廃墟で、和也は呆然と由夏が消えて行った黄金の扉を見つめていた。
ずっと、ずっと・・・。
空が白けてきた頃、黄金の扉は轟音とともに地中深く消えて行った。
「ゆ・・・か」
絶望が波のように押し寄せる和也の横で、紫煙が空を舞う。
「もういいか」
黒服の男はそう言った。
「・・・・・・」
和也は返事をしない。
「もういいかと言っている」
「いい訳ないだろ」
「ならば死ね」
男は上着のポケットに手を入れて、ペンライト状のスイッチを取り出す。
「・・・なんでっ!」
和也の叫び声に、無慈悲に首輪を爆発させようとした男の手が止まる。
「なぜって、戦わない死戦士は生きる必要がないからだ」
男は冷たく言い放つ。
「だけど・・・」
「・・・だけど、俺だって人の心がある。恋人を失ったばかりで感傷的になる気持ちを分かってくれと?」
「・・・・・・」
ひくり、和也の涙混じりのしゃっくりが響く。
「はっきり言おう。もう夜が明ける。時間がないんだ覚悟を決めろ。お前の生きる道は戦うしかない。例えわずかだろうと、彼女が繋いでくれた命・・・そうなんだろ」
黒服の男が自分にも言い聞かせるように言った。
「・・・・・・」
和也はふらふらと立ち上がり、
「・・・すまない。待ってくれて」
と、気持ちを伝えた。
男はサングラスのブリッジに指をあて、
「・・・・・・お前は自分のやるべき事をしてくれたらいい」
そう言った。
「時間だ」
「ああ」
上空から爆音とともにヘリが降りて来る。
和也は単身それに乗り込み、黒服と別れる。
ヘリの中は真っ暗でなにも見えない。
次の戦いの地まで・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
「う」
和也の視界が突然明るくなった。
「よろしくおねがいします」
ぺこりと頭を下げるのは、年の頃は14、15にみえる少女だった。
彼はこくりと頷く。
「後ろについて来て」
決意を心に秘め、和也は戦う決心をする。
「はい」
少女は頷いた。
和也は思った。
あの時、由夏が自分を導いてくれたように、今度は自分が限りある命を繋ぐと・・・。
必ず。
繋いで続く。




