2話 召喚
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朝の日差しが差し込む大きな図書館の中で少女は目的の本を見つける。朝早い為か図書館には少女以外誰もいない。彼女は目的の本を棚から取り出し、その場で開く。中身は召喚術についてのもののようだ。
「・・・これなら私でも」
少女は暫く読んでから一人呟く。そして、次のページをめくろうとしたところで
キーコーン、カーコーン
と予鈴が鳴る。1限目の5分前である事を知らせる鐘に少女はハッとし本を棚に直し急いで図書館を出る
「1限目は使い魔召喚・・・大丈夫、私は出来る」
桜が咲く道を走りながら呟く
それはまるで自分に言い聞かせるようなものだった
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「ぎりぎり間に合ったー」
「本当にギリギリだったわね、もうちょっと余裕を持って来なさいよメイリィ」
「えへへ、相変わらず厳しいなぁリズは」
と、メイリィと呼ばれた銀髪の少女は頬を掻きながら話しかけて来た青髪の少女に返す
「まあ、メイリィがこの使い魔召喚の為に色々頑張っているのは知ってるけどさ」
リズと呼ばれた青髪の少女がメイリィの片肩に手を置く
「あんまり気負い過ぎずに少し肩の力を抜いてリラックスしなさい、大丈夫、頑張ってる貴方なら出来るわ」
じゃ、私準備あるから、そう言ってリズは離れていく
「全くリズにはかなわないなぁ、あ、私も準備しなきゃ」
天使学園入学後、最初の授業は使い魔召喚である
メイリィは入学初日の説明を思い出していた
「使い魔とはあなた達天使見習いのサポートをしてくれる存在です。今後授業でも説明されるでしょうがダンジョン攻略などの際にもその存在は必須となるでしょう。」
そう眼鏡をかけた女教頭が眼鏡をクイッとしながら言っていたはずである
(私、基本的に殆どの魔法が失敗してしまうけど今回こそは!)
メイリィは気合いを入れて大きな魔法陣を描いていく
魔法陣に魔力を込め召喚媒体とし契約時の安全保護のための結界の術式を組み込む
数十分かけてちょうど書き終えた頃にメイリィのクラスの担当教員から声がかかった
「よーうお前ら、大体の準備は出来たか」
髪のボサっとしたおじさん感丸出しの男が怠そうに校舎の方から歩いてくる
「先生、とっくに授業開始の時間は過ぎてるんですが・・・」
「まあまあ、細かいことは気にするなよ。俺も色々と忙しくてね」
リズが軽く苦言を呈すが男は気にしている様子はない
「さて、と。見た感じ大体準備が整ってるみたいじゃないか。よし、お前ら始めて良いぞ」
俺はここから見守ってるからなー、と男はその場にあぐらをかく
「まあ、安心しろ。あくまでもここの教師に任命されてんだ、何が起きても俺がどうにかする。だから気負わず楽にやれ」
そういい終えると男は胸元から煙草を取り出して吸い始める
要は後は自分達でやれ、ということらしい
「そういう事らしいし始めましょうか」
この先生大丈夫なのかな、と思っていたメイリィはいつの間にか近くに来ていたリズに声をかけられた
他の生徒達も一人また一人と使い魔の召喚に取り掛かり始めている
「よ、よし!私も行ってくる」
「はあ、ガチガチに緊張してるわね。ほらこれ貸してあげるから」
緊張しているメイリィをみかねたリズがポケットから御守りを取り出して渡す
「これは御守り?」
「それ私の羽が入ってるの」
「リズの?」
「そう。わたし氷系統でしょ、氷系統の天使の羽には魔力を通すと少し冷静になれる効果があるのよ」
「へぇ〜!知らなかったよ」
「メイリィに貸してあげるわ。私なんかよりもよっぽど冷静さが必要そうだし」
「む、確かにそうではあるけどー」
少女達はお互いに少し笑いあうと
「それじゃ今度こそそろそろ始めないとね」
じゃあ、私魔法陣あっちだから、とリズとメイリィは別れる
「よし、私も頑張るぞ」
リズから借りた御守りを握りしめ深呼吸してから魔法陣内に入り召喚を始める
「我の呼び掛けに応えし者よ、ここに姿を現わしたまえ」
魔法陣に魔力を流し込みながら簡潔な呪文を唱える
殆どの術式が魔法陣に組み込まれている為壮大な詠唱等は必要としない
暫く魔法陣に魔力を込め続けると淡く光っていた魔法陣が急激に強い光を放ち始める
「や、やった!召喚に成功した!」
眩い光に目を瞑りながらメイリィは喜びの声を上げる
「私の家系は魔武器系統の使い魔が多いけど・・・」
なんの使い魔だろう、と期待しながらメイリィは光が収まるのを待つ
暫くしたのち光が収まりその場にいたのは
「え・・・に、人間・・・?」
一振りの刀を携えた黒髪長髪の少年だった
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