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天使学園の使い魔  作者: 仔猫白
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1話 女神

初めての作品になります

楽しんでいただけると幸いです


「うわ、見てしまった」

ある春の夜中、神楽 勇はコンビニ帰りに電灯の下に座り込んでいる女性を見つける。片手には缶ビールを持っており、遠くから見ても明らかに泥酔しているのがわかる。もともと人通りの少なくやや薄暗い道ではあるが、数少ない道ゆく人も彼女に声を掛けようとはしない。みな厄介ごとは御免なのだ。しかし、だからと言って彼女をほったらかす訳にはいかない。夜道に女性一人でいること自体危ないし、ましてや今の日本は昔とは違ってごく稀ではあるがモンスターも出るのだから。勇はこういうのを見なかったふりには出来ない性分なのだ。


(すごい厄介ごとの匂いがするけど放って置けるわけないし、仕方ないから家を聞いてタクシーでも呼んであげてさっさと帰ろう。)


そう思った勇は彼女まで近づく。近づいて気づく。彼女は体の全てのパーツが整っており、まるで女神を彷彿させるような美しさであった。予想以上の美人さにやや緊張しながら彼女の前にしゃがみ込み声をかける。


「大丈夫ですか?こんな所で寝てたら危ないですよ」


まずは挨拶から。それから状態を見て自分で帰ってもらうか送るか決めよう。そう考えていた勇の腕が急に引かれ急速に顔が近づき、そのまま女性が勇の頬にキスをする。


「は?」


「んー、可愛い男の子捕まえちゃったー。日々辛い業務ばっかりだけどたまにはいいことあるもんだねー」


急な出来事に驚き、美女から頬ではあるがキスされた事にかなり動揺していた勇だが、ふいに強いアルコールの匂いが鼻をつく


「ちょっ、離してくださいよっ、うわっめっちゃ酒くさっ!どんだけ飲んでるんですか!?」


必死に逃げ出そうとするが意外にも女性の力は強く、ただただ勇は彼女に抱き止められた。


「よーし、この子は日頃の私へのご褒美よー♪連れて帰っちゃえー」


そう言うと彼女がスッと片腕を横に伸ばし、軽く空間をなぞるように動かす。するとそこに急に淡く光る扉が現れた。


「は!?まさかこの人女神!?人間界に滅多に降りてこないはずなんだけど!?ってか、僕このまま神界に連れていかれる流れじゃないか!?」


「あら、よく知ってるわね。ご名答ぅー、お一人様ごあんな〜い」


好みの男の子を抱きしめてご満悦な女神は勇を連れて少し不安定な足取りで扉の向こうに消えていったのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「大変申し訳ございませんでした!」


今、勇の目の前では女神が土下座をしていた

勇が天界に連れ去られてから一晩、すっかり酔いの冷めた女神は顔を真っ青にし勇に対し土下座をし始め今に至る。まるで雲の上のような正に神海と呼べる暖かい光に包まれた空間のど真ん中で土下座をする女神の構図は中々にシュールである。


「いや、まあ、顔を上げてくださいよ。そのー、お酒での失敗は誰にでも起こり得ることですから」


流石に女神様に土下座をさせ続けるのは色々と不味いと思った勇は悩みながらもフォローの言葉を紡ぎ出す。


「うぅ、人間の男の子に更に気を遣わせてしまったみたいですね、すみません」


女神は土下座をやめ申し訳無さそうに立ち上がると近くの冷蔵庫に近づき何かしらの紙を貼る。


「暫くは禁酒です。神ともあろうものがお酒に溺れてしまい、欲望に従い人間を連れてきてしまうとは!はっ!?まさか、私昨晩あなたと!?」


はっ、と女神が勇を見ながら頬を赤らめる


「いや、女神様天界に帰ってきてすぐ寝てしまったので何も無かったですよ」


淡々と勇は言い返す

すると


「そ、そうでしたか」


とほっとしたように女神は胸を撫で下ろす。少し残念そうにしていたような気がしなくもないが追求すれば碌なことがないな、と勇は思い話題を少し変える事にした。


「それで、僕は人間界に返してもらえますよね?まさか、小説とか漫画が如くもう帰れないとか無いですよね?」


「もちろん普通に元の場所に返せますよ、時間の齟齬とかもなく元いた場所、元いた時間に」


何も心配することは無いようなので良かった、女神なんていう超常の存在と長くいてもいいことはなさそうだし早めにおさらばしようと思い、それじゃあ帰ります、と言おうとした時、女神が


「ですが」


と続ける


「今回の件は完全に私があなたに迷惑をかけています。何かしらお詫びをさせてほしいのですが、しいてはー」


女神はやや微笑み言葉を溜めるとこう言う


「天界行ってみませんか?」


「天界?あの天使が住んでるって言う場所ですか?」


「そう!その天界ですよー、興味そそられませんか?」


「それは、まあ、興味はありますけど元の場所でやらないといけないこともありますし、妹もほっとけないですし」


「ふむ、妹さんですか・・・・・なら、呼んでみましょうか」


そう言い女神が軽く指を鳴らすとボンヤリと勇の目の前の空間が揺らぎ始め、暫くすると半透明な寝ている少女が現れる


「ん・・・あれ?ここは?」


んー、と可愛らしくて伸びをしながら周りを見渡す少女に女神様が近づき急に頭を掴む


「ちょっ、女神様!?」


「いちいち説明するのも面倒ですし直接一連の記憶流し込みますねー」


「それ大丈夫なんですよね、不安ですよ」


大丈夫大丈夫と数秒間女神が少女の頭を掴み続け、遂に手を離す


「うん、大体のことは分かったわ!」


少女は頭を鷲掴みにされたのにもかかわらず特に気にしてる様子もなく元気に頷いた


「行って来なよ、お兄ちゃん。せっかくの機会なんだしさ。」


「我が妹ながら何という適応力の高さと思い切りの良さ。いや、僕が優柔不断なだけなのか・・・?」


「それに女神様曰くお父さんの手がかりも天界とやらにあるらしいし」


「・・・それは本当ですか、女神様」


勇達の父親は3年前に必ず戻ると言い残しそれからずっと行方知らずだ。その手がかりがあるならば、と勇は女神に問いかける


「本当ですよ、貴方達のお父さんは天界にいます、ね、行って見たくなったでしょ」


「・・・まあ、いろいろ話が早くて都合が良過ぎる様な気もしますが、分かりました、行きます」


「こっちは私にまかせてよ、何だかんだお兄ちゃんよりしっかりしてんだから私」


「立派に生意気な妹に育ってくれて兄は嬉しいよ、それじゃ行ってくるね」


「決まったみたいですね、では餞別に何かあげましょうかねー」


そう言い女神は指を鳴らすと女神の目の前に大きな収納箱的なものが現れる


「えーと、どっかこの辺りにーあ、あったあった」


女神がじゃーんと一振りの刀を掲げる


「女神様、それは?」


「コレ、私が暇つぶしに作った刀、片手間に作ったっていっても曲がりなしにも神の作った刀だから凄いわよー」


刀身の平たい部分を片手の掌に数回叩きつけながら言う女神様のテンションが見るからに上がっているのを勇は感じ取っていた


「絶対に壊れないし全力出せば切れないもの無いし使用者の能力を引き上げるし持ってるだけで状態異常無効だしで俗に言うぶっ壊れ武器よ」


ただし、と女神はずいっと人差し指を立てる


「今のあなたがこの刀の性能を全力で引き出したら体が耐え切れな来て吹き飛ぶかも、精々1割程度が限度かな」


「物騒ではありますけど良い武器が手に入るのは有り難いですし折角ですから頂いておきますね」


「そうそう、貰えるものは貰っておけってやつよー」


女神はうんうんと頷きながら刀を勇に手渡す


「あ、あとアフターサポートとしてその刀を抱いて寝たらこの場所に意識だけこれるようにしといたから困ったらいつでも来て良いですよ」


「何から何まで手厚いサポートありがとうございます」


「良いのですよー、では余りここでグダグダしてでも何ですからそろそろ行ってらっしゃいー」


「いってらー」


近くで一連の流れを見ていた妹からも見送られ勇の体は光に包まれた

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