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1:出雲への予告

10年以上前に書いた推理小説もどきが発掘されたので、アップしてみます。

 

当時はまだ寝台特急も結構走っており、今回の舞台になる寝台特急「出雲」は東京~出雲市間を京都から山陰線経由で走っていた列車でした。

学生時代に、部費があまりまくって「キミは一人で一冊出して」(他メンバーは全員で1冊)と言われて書いた小説になります。

暇つぶしになれば…

 

 ココは、東京某区のどこか。

 すっかり木々が紅葉した公園の脇にある雑居ビルの二階。

 窓にはその場所がどんな場所であるか、きちんと示してあった。

 

 『水無月 探偵事務所』

 

 『女性の、女性による、女性のための事務所』というのをコンセプトにしているこの水無月探偵事務所。

 実は、数年前まで、ここの所長である水無月麗香は日本有数の財閥『水無月財閥』の娘として生活していた。

 しかし、そこはお金持ちのお嬢様。何を考えるかわからない。

 大学でミステリー研究会に入っていた影響もあってか、ある日突然『探偵事務所を開くから勘当してください』と親に申し出た。

 だが、そこは金持ちの考えること。

 自分達の会社でもっているビルの一室を貸し、そこで探偵事務所を開くようにといってきた(らしい)。

 そんなわけでこんな都心に探偵事務所を持っているのだ。

 

 それからしばらくの間、行方不明のペット探しやら、浮気調査やら麗香に似合わない仕事をしていたが。

 この仕事をはじめて二ヵ月後。

 今、この事務所で助手をしている時任美由香が依頼した事件を解決し、ついでに美由香を仕事だけでなく私生活でのパートナーにまで

してしまった。

 ついでに言うなら、二人の仲は良好である。

 

 そんな二人の強い味方が、警視庁捜査一課警部・鶴川真帆。

 麗香の高校生の頃の先輩で、頼りがいのある人物だが、捜査に詰まると逆に麗香に頼る。

 もっとも、ひまを持て余している麗香にとってキレ者の真帆を悩ませるくらいの事件ならば願ったりなのであるが。

 

 しかし、難事件というものはそうそうおきないもので……。

「お姉さま、新聞とってきましたわ」

 そう言ってしまった後で、美由香はしまったと思った。

 すると案の定……。

「……美由香、事務所では……」

「ハイ、所長」

「よろしい。

 見せてくれる?」

 この、美由香に厳しくもやさしい所長・水無月麗香は、微笑んで美由香から朝刊を受け取る。

「……まぁ」

 すると程なく、そう声をあげた。

「どうかなさいましたか?」

 すると麗香は一面のトップ記事を指差す。

「うわぁ……」

 

 それは、列車の爆破記事。

 しかも、海外ではなくまぎれもなく日本国内の。

 

「……爆破されたのは、寝台特急『サンライズ出雲・瀬戸』号で、昨夜静岡県の沼津駅停車中に13号車の寝台付近で爆発が起きた。

 爆源の近くにいた乗客一名が死亡。

 またその影響で、昨日の『サンライズ出雲・瀬戸』は沼津で運転中止となった……」

「『サンライズ出雲・瀬戸』?」

 記事を読みながらうなずいている麗香とは対照的に、美由香は知らない特急名が出てきたことに戸惑う。

「『サンライズ』は東海道本線を走る豪華寝台特急。

 連結している寝台車すべてが個室という列車よ」

「うわぁ……それうらやましいですねぇ……」

 そういう場合ではないのだが。

「まぁいいわ……でも、妙ね」

「え?」

「何で寝台列車なんかを?

 行楽シーズンとはいえ、休前日の発車でもない夜行列車なんかを爆破させたのかしら……」

「……そういえば……さしずめ、○Rに対する不信感では?」

「まぁ、そうかしらね……」

 そう麗香が納得したとき……。

 

 knock knock

 

「ハイ?」

 knockに美由香が答え、ドアを開けた。

「あの……こちらが水無月探偵事務所ですか?」

 そこには、小柄だが、とても凛々しくスーツを着こなした女性が立っていた。

「あ、はい……もしかして、ご依頼ですか?」

 美由香が嬉々としてたずねる。

 女性は神妙な顔で、うなずく。

 

 すると、美由香は答えた。

「ようこそ、女性のための探偵社・水無月探偵事務所へ」

 

というわけで水無月麗華さん登場です。

 

「お嬢様探偵 水無月麗華」のアイディアは、友人が以前、マリア〇がみてるのパロディノベルで「おぜうさま探偵」というネタをやっていたのを参考にした覚えがあります。

そんなわけで水無月麗華のイメージは、マリア様〇みてるの小笠原〇子、助手の時任美由香は福〇祐巳、鶴川真帆警部は、水野〇子というイメージになっています。

 

寝台特急出雲は廃止されますが、サンライズ出雲・瀬戸は残っています。

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