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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
2章 才色兼備の猫人魔術士
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58 別行動 1

 私達もルイザに付いて行き、ギルドの外に出ると石造りの2~3階建ての建物が建ち並ぶ風景が目に映った。

 道は赤や白のレンガが模様を描くように敷き詰められ、人通りも多く町かと思うくらいに活気が溢れてる。


 夜は暗くて様子がよく分からなかったけど朝の明るい今はよく分かる。


 建物を見て気づいたことがある。ステラと合う1週間ほど前に幽霊になってから初めて訪れた村の建物と非常によく似ている。

 遠くに見える周囲が廃墟だらけの館は、私がステラに出会う前に行った事がある館特徴が同じなのでこの村に来たのは間違いない。

 ちなみにギルド周辺には来たことはないのでこの周囲のことは分からない。


「ステラちゃんはどうするの、一緒に行く?」


 ケミーがそわそわしながら声を掛けて来た。

 そういえばルイザがケミーに魔石を集めに行こうと誘ってたね。


 でも私はあの館に行きたくなったのでステラがルイザの所に行くと言い出す前に説得に取り掛かる。


(ステラ、あの遠くに見える館に行きたいんだけど、駄目かな?)


 ステラは顔には出さないけど悩んでるのだろう、考える素振りを始める。

 まぁ悩むだろうね。ルイザと一緒に行動できる貴重な機会だし。


(私はルイザちゃん達と一緒に冒険者っぽいことしたいなぁ)


(でもケミーでもできるような簡単なことみたいだし、わざわざ行っても大したことはしないよ……それにルイザちゃん少し険しい顔してるよ?)


 ルイザは眉を寄せてステラを睨んでいる。ステラと行きたくないんじゃないのかな?


(いや、あれはさっきの女の人のせいでしょ。私は関係ないよ)


 ルイザはステラのこと苦手そうにしてるからそうなのだと思ってた。


「それでステラちゃんはどうする? 私はルイザちゃんと一緒に行くよ?」


「え、あー、うーん」


 悩んでるということは私の意見を採用する可能性が十分にあるということだ。


(お願いステラ! あの館に住んでる女の子の様子を見てみたいの)


(女の子? 何かあったの?)


(ステラに取り憑く前に取り憑こうと思ってた子なの。あの大きな館にお父さんと執事と3人だけで住んでて色白でお人形のような子で、でも村の人達からは3人とも不気味がられているみたいで、そんな扱いだからどうなってるのか様子が気になっちゃって)


(取り憑こうとしてたの!? どんな子なんだろう興味ある!)


 お、これは好感触。一緒に来てくれそうだ。


(でしょでしょ?)


(でもルイザちゃんの所に行きたいからごめん)


(え? ちょ、ちょっと?!)


「私もルイザちゃんと一緒に魔石集めしたい!」


 あ、やめ、ステラやめろ、待って。


「え、ステラも来るの? ケミーが来て欲しいっていうなら仕方ないわね……ですわ」


 段々と魔物狩と魔石集めに行く空気が出来上がって来た。

 あの手段はとりたくなかったけど、今を逃すといつ来れるか分からないからね、やむを得ない。


(ステラ、早まらないで! ……そうだ! あの館に行ってくれるなら1万ルド自由に使っていいから!)

 

「え、本当!?」


 ステラは私への返事をケミーに向けて放ってしまった。

 ケミーは戸惑いながらもおかしかったのか笑った。


「なんで私に言ってるの、そのセリフはルイザちゃんに向かって言うんだよ?」


「また奇行が始まりましたわね、変な薬でもやってるんじゃなくて?」


 あぁ、またルイザに変に思われてしまってるよ。


「ごめんケミー。やっぱり行くのやめる」


「ええっ!? まさか、今の私の発言で機嫌悪くなっちゃったの???!」


 ケミーはステラの急な反転に驚く。

 ルイザよりもお金を取るなんてお金の力って凄いな。


(ありがとうステラぁぁぁ!)


 私は肩から出した小さい霊体でステラの首に抱き着く。


(ちょっとデシリア、そんな叫ぶほど嬉しい事なの???)


 ステラが行かないと分かるとルイザは先程の不機嫌な顔からあからさまに笑顔になった。どんだけ嫌だったんだよ、と私はステラの事を不憫に思う。

 ルイザとは対照的にケミーはどんよりと曇り、ステラへ説得を試み始める。


「ごめんなさい! 何が悪いのか分からないけど許して! だから一緒に行こうよ~ステラちゃ~ん、最後かもしれないでしょ? だから思い出作っておきたいんだよ!」


 孤児院に入ったら道でばったり会うことはあってもこんな付き合いは無いかもしれないからね。必死になる気持ちは分かる。

 でも私も似たようなもんだし、今を逃すともう行けないかもしれないからね。譲る気はないよ。


「行きたくないって言ってるんだから意思を尊重しましょう。さぁケミー、行きますわよ!」


「あぁ~ステラちゃぁぁぁ」


 笑顔のルイザは悲痛なケミーを引っ張っていった。

 キディアは遠くなっていくルイザ達とステラの間にポツンと立ち、どうしようかと迷ってるように見える。


「キディアはどうするの? 私と一緒に来る?」


 キディアはケミーと一緒にいるのは気まずいだろうとステラが配慮したのかもしれない。


「え、あ、あの、その、私、ケミーとちゃんと仲直りしたいから……だから、その、ごめんなさい!」


 キディアは今にも泣きそうな顔でケミーの方に走り、時折ステラへ振り返りながら遠くなっていった。


(キディア大丈夫かな?)


(ルイザちゃんが二人を守ってくれるし大丈夫だよ。だって冒険者の大人の女の人に勝てるんだもん)


(いや、そうじゃなくて……まぁいいや。それじゃあステラ、館の方に向かって頂戴)


 キディアが自分から進んでケミーの所に行ったのは意外だったけど、ケミーと仲良くして欲しいからこれで良かったかも。

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