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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
2章 才色兼備の猫人魔術士
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53 今度はおばさんの番 2

 全身を強打したおばさんは身体強化をしているだろうけどそれでも気絶した。

 うん、気絶だろう。


 ……死んでないよね?


「ファイアボールなんか食らってないっての、盾が邪魔で見えてなかったの?」


「……」


 反応を確かめようとするけどもう聞こえてはいないようだ。

 命に拘わってるといけないので気絶状態はそのまま維持しながら急いで回復魔法をかけた。

 もし死んでも状態にもよるけど早めに魔法で処置を行えば大体はセーフだ。


 さて、このおばさんどうしようか。

 11歳程度の子供がそこそこ戦える大人の女性を倒したとなると目立つだろうな。

 ケミー達が人を連れて来た時に、おばさんが転んで気絶したということにしておこう。


 しかしこのまま来るまで待っていても途中で目を覚ましてしまいそうだ。

 目覚める度に気絶魔法というのも面倒だしどうにかしたい。

 車の中に縄とか縛れるようなものはないかな?


 縄を見つけるまでの間はおばさんの頭より下を魔法を使い地中に埋めて拘束することにした。


(怖いから早く探しに行こうよ、デシリア)


 頭だけの姿を目にしたステラがそう言ったので私は縄を探しに横転した車に入る。


 動物の入った檻がバラバラに重なっているのが目に入った。

 ニャーニャー、ブウブウ、ピーピーと多様な可愛い鳴き声が『檻から出して』と言ってるようにも聞こえる。 


(ブウブウって聞こえるけど、なんの動物だろう?)


 ステラが不思議そうに尋ねる。

 ブウブウと言えば豚のような気もするけど森の中に豚の姿は見かけなかったな。


(後でそのことは調べるからちょっと待ってね)


 今はおばさんを縛る物が欲しいので動物の事は後回し。

 車の後ろの方に物凄く硬いけどぐにゃぐにゃの金属の縄があった。かなりの力で引っ張っても千切れないのでこれなら大丈夫だろう。


 金属の縄を持って急いで戻り、おばさんを地中から引っ張り出して横にするがまだ気絶から復帰してない。

 私は急いでおばさんの腕を背中に回して両手首を縛り、両足首も同じようにした。


 おばさんの身体強化次第ではこれでも駄目かもしれないけど、何もしないよりはいいだろう。


 次にまたも車の中に入り今度は動物達の解放を行う。

 解放してあげようと檻を開けようとするけど当然ながらカギが掛かっていて開けられない。


 鍵穴のような形を見つけたけど、私の知らない形をしてる。


(これって鍵穴……だよね?)


(普通の鍵穴だよ?)


 普通のと言われても知らないよ。


 まぁいいや、鍵が探しやすいようにとりあえず檻を外に並べて車の中を見やすくすることにした。


 私は動物の入った檻を全て外に出し、横一列に綺麗に並べた。


「ニャーニャー」


 声のする方を見ると三毛の兎猫が私の周りを勢いよく回っている。


 そして私の足に頭を擦り付けてきた。


(喜んでるのかな?)


「かもね」と声に出してステラへ返事をした後、鍵を探しに車の中へ戻る。


 中は檻をどかしても小物がぐちゃぐちゃで流石に鍵を探す時間は厳しいように感じた。


(デシリアならあんな檻、余裕で壊せるんじゃないの?)


(そうなんだけど、どうやって壊したか聞かれたら困るでしょ)


(壊したら魔法で直せばいいじゃん)


(いや時間があれば出来はするけどさ……かなり面倒臭いよ)


 そういう理由と私達が急いで解放する理由もないので動物達のことは村の人達に任せることにした。


 その間にブウブウと鳴く動物の正体を調べてみると、なんと兎だった。


 * * * * *


 少し待つとキディアが村人らしき男と筋骨隆々とした冒険者らしき男を連れてやってきた。

 ケミーは息を切らしながら少し遅れて来た。


 村人と冒険者は並べられた檻を見て私に確認を取る。


「この檻の中の動物達は縛られてる女がやったのか?」


「はい、あの車で動物達を運ぼうとしてました」


「まさかそんなことが行われていたとは、見つけてくれてありがとう。ところでこの車はなぜひっくり返ってるんだ?」


 えーとえーと……魔導銃でやったと答えるべきか? いや、一応隠しておこう。


「えー、バランス崩して倒れました」


「なんとなく聞いてみたかっただけで特に深い意味は無いんだ。で、この檻は君が並べたの?」


「あー、はい」と軽く頭を縦に動かし肯定する。


「結構な重労働だったでしょ? 君がやらなくても良かったのにわざわざありがとう」


「いえ、どういたしまして」


 その時、おばさんが目を覚ました。

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