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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
2章 才色兼備の猫人魔術士
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47 ツグスタ村 1

 * * * * *


 私達がサービル村から出発して何時間が経っただろうか。

 太陽は眠りにつき、月が活動を始めた。 


 風の音と鳥バスの駆ける足音だけが響く静かな夜の世界は、私達だけしか存在してないようなそんな錯覚を抱かせる。


 ステラの故郷であるエリンプス町へはいくつかの村を経由する。


 夜遅く走らせるのは危険なのか、それと鳥の体力に配慮してなのか、鳥バスは経由地の一つであるツグスタ村に停まった。

 ちなみに鳥バスの速度は馬車よりもかなり速い。体感だと10倍近い差を感じた。ステラにそう説明しても上手く伝わらないだろうな。まぁとにかくこの鳥は速い。


 到着すると鳥は夜だからか控えめに「ピーッ」と小さく鳴いた。

 冒険者ギルドのすぐ目の前で私達を含む乗客を降ろした後、すぐ隣にある鳥車用の建物の中に向かっていった。


 冒険者でない人達はギルドには泊まれないので別の場所に向かっていく。


 私達3人と冒険者であるルイザは冒険者ギルドの宿舎に泊まる。ルイザはともかく私達3人はギルドしか選択肢が無い。


 ルイザは別の場所に泊まる金さえあればギルド以外でも許されてるようだ。


 私はお金はあるけど目的の場所に送り届けられるまではギルド職員の管理が届きやすいようにギルドに泊まらないといけない。


「ルイザちゃん、お腹空いたねー。どこで食べるの? 一緒に食べようよ」


 ルイザを誘うケミーをステラが興味深そうに見つめる。


 外には飲食店が見えたけどルイザがギルドの食堂で食べると言ったので私達3人もルイザと同じ所で夕食をとることにした。


 食堂に入ると私達だけしかおらず貸し切り状態だった。

 ステラは堂々とルイザの隣に座ろうとするけどルイザは嫌なのかケミーの隣に移動した。


 ステラはケミーほどはしつこくないのですぐさま諦めるとキディアの隣に座った。


 しかしその席はルイザの正面になっていた。


 ルイザはそれも嫌だったようでケミーの反対側に移動した。


(なんで私こんなに避けられてるの? 悲しいなぁ)


(きっと照れくさいんだよ。あまりしつこく付きまとわないようにするのも大事だよ)


(すぐお別れするんだし、そんなのんびりしてられないよ!)


 それはそうだ。しかしだからといって焦って悪化させると後々のチャンスを無くしてしまうぞ。


 最終的に不満なステラの正面に笑顔のケミー、自信なさげなキディアの正面に安堵したルイザという並びになった。


「ルイザちゃん、ギルドの食事と外のお店どっちが美味しいのかな?」


 ケミーがルイザに尋ねる。


「どっちも美味しいんじゃないかしら? でもギルドならどこもメニューはあまり変わらないし味も安定していて、それに私は舌が慣れてるし、それに加えて冒険者には安く提供してくれるから私はここで十分ですわ」


 ギルドの安い食事でいいと自分に言い聞かせてるように感じた。

 ルイザは冒険者ランクが低い子供だし金はあまり持ってないのかもしれない。


 注文するとそれほど待たずに料理が運ばれてきた。

 さきほどルイザの言った通り、サービル村で出される料理との違いはほぼなかった。


 食べたのはステラなので私が判断したのは見た目の部分だけだ。

 ステラに味の違いについて聞くとどっちも普通と答えた。


 食事を終えた後は自分達の部屋に移動する。


 ギルドの職員から部屋番号を聞いていて、宿舎の構造がサービル村のギルドとほぼ同じなので迷わずに済んだ。


「ルイザちゃんも一緒の部屋で寝ようよ、ベッドいっぱい空いてるからさ」


 ケミーは部屋の入口でルイザを誘うけど少し嫌そうな顔をされた。


「え、嫌ですわ。私は一人がいいの。だからその、ごめんなさい。それと今日は楽しかったですわ。良かったら明日も鳥バスでは一緒の席でお願いしてもいい……かしら?」


 嫌がってはいるけど、私達の事が嫌いという訳ではないようで、むしろ好意的だ。

 断るときはもう少し上手く躱した方がいいんじゃないかなと私は思った。


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