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41 そんな男はいます(いません) 1

 サービル村付近の森の中。


 つまりは昨日バガンスネークを狩った場所だ。

 サービル村というのは今私達が滞在してる村の名前で、その名前を昨日知った。


 ふと村の名前が気になってギルド職員に聞いたら教えてもらった。

 村の名前なんて尋ねないと誰も教えてくれないから下手したら知らないままだったかもしれない。


「だりゃあああああ」


 フェリクスの大きな掛け声が響く。

 彼の大ぶりの斬撃がバガンスネークに止めを刺した。


「今日は2体も狩れたな。もしかしたら明日には終われるかもしれないぞ」


 ディマスは期待を込め嬉しそうに言った。

 今日はフェリクスとアージェンが止めを刺す訓練も兼ねている。


 昨日とは違いディマスと私が最初に高威力の攻撃で一気に瀕死にさせ、その状態から後の二人に頑張ってもらうという感じだ。


 イブリンはいざという時のために待機させている。


 今は木陰に座りながら私達が戦っている様子を退屈そうに眺めているけど、今日は休むのを優先してるのか乱入する気配は全くない。


 辺りが暗くなったのを感じ、空を見上げると赤くなっていた。

 今日はメイは襲って来なかったのでイブリンの出番は無かった。


 メイの冒険者狩りはコソコソとやってたし目立つのを避けたいはずなのでしばらくは来ないだろうと私は予想している。


「よし、出来たらもう1体狩るぞ」


 ディマスの言葉でバガンスネークを2体討伐後も森の中を探したけどこれ以上は見かけることはなかった。ディマス達は夕食を取るために拠点となっている小屋に戻ることにした。


 その道中、イブリンは私に話しかけてきた。


「コッテン、えーと……なんだ」


 何か言おうとしてるけど何も考えてなかったのだろう。すぐに言葉が出てこない。


「その、そうだ。お前が討伐に加わるのは明日までだったな」


「予定通りなら明日で終わりです。ギルドが他の町から鳥車を手配してるのでそれが着いたらこの村から出発します」


 ステラは孤児ではないので親の元に戻る。

 子供たちは孤児院行きだ。


 ステラと同じ方向に向かう子はいない。

 ステラは討伐で外に出てて子供達と話をする機会も少ないため寂しさは感じてないようだ。

 私も似たようなものだ。長く生きてきたから3日程度だと短すぎて何も感じない。人間でいうと1時間くらいの感覚かもしれない。


「そうか。で、お前は子供達を送り届けたらその後はどうなるんだ?」


 どうなるんだ、と言われてもね。

 ステラは親元に戻れば学校に再び通うだろう。

 私はステラにくっついてるから同じだね。


 卒業したら冒険者になって世界中を、多分回るんだろう。

 だけど今はコッテンという偽名で30代の大人に思われてるし、別に本当のことを言わなくてもいいか。


「えーと、……旅に戻ります」


 本当に旅に出るのは1年後くらいになるかもしれないな。

 ステラが冒険者になったらだけど。


「冒険者にはならないのか? いや、そのほどの力があるなら冒険者より上を目指すか」


 冒険者より上……ねぇ。何があるんだろ? 

 ステラが冒険者になりたいと言ってるから進む道はほぼ決まってるけどね。


「そういえばコッテンの魔術士ランクって……あー、いや、やっぱりなんでもない」


 なんかよく分からないけど聞こうとしてすぐやめてきた。

 詮索されても困るので聞かなかった理由については触れないことにしよう。


「他には……そうそう、これも聞かせてくれ。私達を助けてくれた男ってのは、本当はいないんだろ?」


 イブリンは少し声量を落とした。

 まぁ、そうだよね。そう思うよね。


 ていうか、これが1番聞きたかったことなんだろうな。

 私はディマス達にこの話が聞かれてないか気になり視線を向ける。


 少し離れたところを3人で雑談をしていてこっちを気にしてる様子はない。

 聞こえてなさそうだ。


「安心しろ。あいつらには聞こえてない」


 私が訳あって実力を隠してると思ってるのか、それに配慮して聞こえないタイミングを狙ってきたようだ。

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