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29 見知らぬ男があらわれた 2

 再び逃げ始めたバガンスネークに水球を放ち、再び転倒させる。

 転倒させて動きが止まってるバガンスネークに近づこうとするとまた石が飛んで来た。


 あの不審な男はディマス達がいながらも私の妨害をしてきている。

 何の目的があってそんなことをしているのかは分からないけど、分かることは姑息なことをする奴が強いはずがない。


 強いなら石なんか投げずもっと堂々と攻めて来るはず。

 だからすぐにディマス達に追い込まれ妨害する余裕もなくなるだろう。


 私は加勢には行かず目の前のキメラを倒すために再度集中することにした。


 顔面に拳を打ちこもうと近づくと、少し怖くなった。

 こいつは馬ではないけど、馬と同じその顔がぐちゃぐちゃになる姿はやっぱり見たくないな。

 ということで胴体に打ち込む。


 イブリンとの腕相撲の時ほどの力で放った拳は胴体が陥没するほどの威力があった。


「おおっ?」


 思ったよりも効果があることについ声が出てしまった。

 フェリクスが必死に攻撃しても効きめが薄かったし、銃も効果がイマイチだったのでこの結果には拍子抜けだ。


 これ、イブリン1人でも余裕だよね。

 だから余裕こいてたんだね。


 バガンスネークは今まで1番苦しそうな声を出し、口から色々と吐き出した。


 可哀想なのでさっさとトドメを刺してあげよう。

 私は同じ場所を何度も殴り絶命させた。これ以上苦しむことはないだろう。


 なんでこんな不気味な生物がいるんだろう。

 馬もいるなら猫や兎の顔のキメラもいそうで嫌だな……。


 命のやりとりの場面で気持ちがぶれるとステラに迷惑が掛かるかもしれないから感傷に浸るのはこれくらいにしとこう。


 とりあえずようやく1匹目の討伐が終わった。手加減さえしなければすぐに終わる簡単な仕事だった。

 さて、倒したのはいいけどこの巨体は放置でいいのかな? 


 ディマス達に判断を仰ごうとすると、みんなは男を捕まえるために武器を振り回して戦闘を繰り広げていた。


 武器のぶつかる甲高い音が森に響く。

 周囲を見渡して見るけど、その音に森の動物が騒いで慌てふためいてる様子は見えない。

 さっきまで私達がバガンスネークと戦っていたから、その時に動物はどっかに逃げたのかもしれない。


 そう考え事をしているとステラは呑気に話しかけてきた。


(さっきの馬面うまづらのキメラ強そうに見えたけど、デシリアってそれよりも強いんだね)


(まぁね。大抵の相手には負ける気はしないよ)


(さっきのパンチは本気でやったの?)


(全然本気じゃないよ。まだまだ余裕あるから)


(そうなんだ、じゃあさっきはどれくらい本気出したの?)


 まだ私の強さに不安でもあるのかな? 子供だし、その質問はただの興味本位なだけかもしれないか。


(ほんのちょっとだよ。それよりも、ほら、あれ見て、ディマス達に加勢するよ)


 話を逸らすようで悪いけど今はそんなことしてる暇はない。

 ディマス達は苦戦はしてなくて押しているけど決め手に欠けており、たった一人の男相手に手間取っていた。

 相手の男は1対4と人数的には不利な状態でじわりじわりと追い詰められている。


 なのに逃げずに応戦している。逃げる余裕がないのだろうか。

 4人相手でも持ちこたえているところを見るに実力は結構ありそう。


 とりあえず私は近くにいたアージェンに討伐の報告がてら加勢が必要か尋ねる。


「え? もう倒したのか。さすがイブリンに腕相撲で勝つだけはある怪力だな。とりあえずキメラは放置していいから男を捕まえるのを手伝ってくれ」


 そう言った直後にアージェンは前に出ていった。


「いい加減に観念しろ!」


 ディマスが小さな盾を振り回し、大声と共に男にぶつけていく。男は飛んで来る盾を流れるような手つきでさばいてはいるけど時折喰らっていた。


 直撃してもダメージは少ないのか表情は変わらない。結構な威力がありそうだけど鎧の防御力が高いのかもしれない。

 イブリンも男に声を飛ばす。


「これでも加減はしているぞ? 大怪我をしたくないなら大人しく捕まれ!」


 イブリンは素早い動きで男の背後を取り、雑で大ぶりな超高速の突きを放つ。

 男はギリギリ避けられなかったようで少しだけ吹き飛んだけど倒れなかった。


 その隙をフェリクスは狙うものの完全に見切られていたようで斬撃は当たらない。

 男はそれを避けても次々と攻撃が飛んで来るので防御を強いられている。


「なぜ俺たちの邪魔をした!」


 ディマスは問いながら腕を振り回す。

 男はそれを避けたり喰らったりするけど返事もうめき声もない。


 口は動いており一見呻いているようにも見えた。


「そろそろ退いても……いいか?」


 しかしその口の動きはそう呟いていた。

 直後、男は唐突に後ろを見せて逃げ出した。

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