表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/281

29 見知らぬ男があらわれた 1

 バガンスネークは逃げる態勢に入ったのか後ろ姿を見せ始めた。


「あれ? 反撃してくるどころか遠ざかっていく……」


「アレは勝てないと判断したから逃げやがったんだ。コッテン急いで追いかけろ!」


 私はすぐに追いかけ、止めるために水球を飛ばした。直撃するとその巨体は宙に浮いた後地面に倒れた。

 倒れているバガンスネークに拳をお見舞いしようとしたその時、それを妨害するかのような音が背後から聞こえた。それは的確に私に向かって飛んで来てる。


 魔法で攻撃を弾こうかと思ったけど普通に避けた。

 飛んで来たのは拳ほどの石だった。当たっても今の私はダメージを負わないだろうけど、軽いこの体だと体勢が崩されたかもしれない。


 投石は私だけじゃなくディマスにも行ってたようだ。ディマスは小さな盾で防いだ。


「誰だ、出て来い!」


 ディマスが見えない誰かに問いかけ、探すように周囲を見渡す。しかし返事はない。


「この森に人以外で石を投げるのっていますか?」


「そもそもこの森で石が飛んできたという話は聞いたことが無い。投げたのは確実に人だろう」


 ディマスは人だと断定した。

 イブリン達も周囲に誰かいないか探すけど、ディマスと同じく何も見つけられなかった。


 私も探してみるものの、怪しいものは見つけられなかった。

 バガンスネークほどの巨体なら遠くても分かるけど人だと厳しい。


 今の私は聴力も人並み外れて高い。目で分からない時は音で大体の場所は判断できる。

 静かなこの森。不自然な音が聴こえればすぐ分かるだろう。

 

 けれども不自然な足音も何も聞こえないので今は息をひそめて隠れているようだ。


 私の耳に入らないほど遠くにいて、そんな遠くから狙ったとしたならなかなかの実力者だろう。それほどの者がなぜそんなことをしてくるのかは謎だ。


 とりあえず音には注意しておこう。


「アージェン達は周囲を見張ってくれ、俺とコッテンはバガンスネークに集中する」


 ディマスはアージェン達へ何者かに討伐の邪魔をされないように指示を出した。

 邪魔をされてしまうとバガンスネークに逃げられてしまう可能性が高くなるからね。


 逃げようとするバガンスネークをディマスが追いかけようとしたので私は声を掛ける。


「ディマスさん、私が倒します」


 そう伝え、ディマスを追い抜いてバガンスネークへと駆ける。距離はそれほど開いてないのですぐ追いつくだろう。


 大分弱っているのにバガンスネークの動きは速い。でも私はもっと速い。

 私は背後の物音にも注意しつつ、バガンスネークに手が届く距離になったので相手の動きを止めるために水球をぶつけて地面に倒す。


「よし、これで止めだ」


 顔面に向かって拳を振り下ろそうとするとまたも邪魔が入る。飛んで来た石を避け、飛んで来た方向に目を向ける。


 それほど遠くない場所に見たことがない男が堂々と立っていた。

 一見無関係な気がするほどの堂々っぷりだけど間違いなくこいつが犯人だろう。


 動物の耳や尻尾が無いので種族は人間。ディマス達と似た頼りなさそうな鎧を着ているので冒険者に見える。


 なぜ姿を現した?


「てめぇか! お前らそいつを捕まえろ!」


 ディマスの掛け声にアージェン達は動く。

 私はそれを彼らに任せてバガンスネークに集中した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ