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28 そうだ、殴ろう! 2

(デシリア、どうしたの?)


(ん? なんでもない。とりあえず怖くても我慢してね)


 謎の声よりも今は目の前のことに集中だ。

 最初から私は身体強化を使ってるので準備は万全。バガンスネークが私の所へ飛び込んで来たらそれに合わせて拳をお見舞いしてやろう。


 私もイブリンにならい水球を放ちバガンスネークの気を引いていく。

 勢いよく迫ってくる馬の顔。馬がしないようなその醜悪な表情からステラが怖がる理由が分かる。

 私は右拳を目前まで迫った大きな馬の面に叩き込む。


 だけどそれは空振りに終わった。

 私の拳がぶつかる直前、イブリンが横から飛び込んできてバガンスネークを蹴り飛ばしたからだ。


 吹っ飛んだバガンスネークによって木は何本も倒され、森の視界が少し良くなった。


「大丈夫かコッテン! まぁ大丈夫だろうな。間に合ったし」


 危険だと思って助けに入ってくれたようだ。

 バガンスネークの方を見ると小さく震えながら転がっていた。

 口から大量の液体を垂らしており、かなりのダメージが入ってるのが目に見えて分かる。


「ちょっとやり過ぎたな、それにもう飽きた。かなり弱ってるし2人でもどうにかなるだろう。それじゃ私は休む」


 イブリンは満足したようで私達に後始末を投げた後、周囲の警戒へ戻っていった。


「コッテン、あと一息だ。瀕死の状態になると何もしてなくても無差別で攻撃してくるから注意しろ」


 ディマスは私に助言をしてからバガンスネークへ向かった。このままでは私の拳を試す前に倒されてしまいそうなので私も急ぐことにした。


「ウォーターボーイ」


 私に注意を引きつけるために水の球を顔面に向けて飛ばす。


(デシリア! 名前間違ってるよ。水の球を飛ばすのはウォーターボール)


 またも間違ってしまった。何度も間違えるのはなんか恥ずかしいな。


 引き付けたバガンスネークを迎え撃とうとすると、ディマスが私の代わりに殴り飛ばしてしまった。


「おいコッテン。そんな弱い魔術はもう必要ないだろ?」


「いえ、殴り倒そうと思って」


「はあ? なんでわざわざ危険を冒すんだ。魔術で遠距離から攻撃した方が安全だろ?」


 ファイアボールくらいしか攻撃魔術は知らない。でもそれ使うと絶対怒りそう。


「魔術は……ここまで弱らせたのでもう大丈夫です。私の拳も通用するか試してみたいんです」


 私の言ってる意味がよく分かってないのかディマスは怪訝な顔をした。


「そうしたい理由は分からないが……今は戦い方にあれこれ言うつもりは無いからいいだろう。怪我しないようにな」


 ディマスは言った後、後ろに下がった。

 

「あの、なんで下がるんですか?」


「いや、あれを殴り倒すかもしれないパワーだろ? 間違って俺に当たったら怖いから後ろに下がらせてもらう。前にいちゃ邪魔にもなるしな」


 有り難いことに私に譲ってくれるようだ。


「それと何かあったら後ろからすぐ助けに入るから安心しろ。必要ないかもしれないがな」


 さて、もうわざわざ引き付けなくとも大丈夫そうだ。

 私は自分から前に出て殴り倒そうと近づいて行く。しかし弱々しい姿のバガンスネークは逃げる姿勢に入ったのか後ろ姿を見せ始めた。

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