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23 彼女はサボりたい

 道の広い明るい森の中を進んでいくと、既に待っているディマス達の姿を見つけた。


 フェリクスはディマスに向けて軽く手を上げるとディマスも手を上げた。


「やっと来たか、怪我はないか?」


「大丈夫、怪我はない」


「コッテンは?」


「私も大丈夫です」


 あの程度の魔物なら何をされても無傷の自信はある。


「で、引継ぎは終わった?」


 フェリクスはディマスに尋ねる。


「いや、まだだ」


 先に来て番をしている冒険者は交代時間になっても引継ぎに来てないようだ。

 せっかく急いで時間に間に合わせたけど無駄に終わったか。


「お、フェリクス達も来たな。もっとゆっくりでも良かったのに」


 イブリンがそう言いながら森の中から姿を表した。

 ジャージには色々な植物の種子や枯れ葉の破片などがくっついている。


 ちなみにディマス達の鎧と私のローブには付いていない。


「せっかく時間に間に合ったのにこれだからなぁ。魔物を倒して魔石稼ぎをしてれば良かったんじゃないか? いでっ」


 愚痴るイブリンはディマスに叩かれた頭をさする。


「結果的に遅れても問題なかっただけだ、魔物退治なら森でもできるだろ。というか魔力を無駄にするな」


「森の魔物なんて村から遠いんだからどうでもいいだろ!」


 イブリンが言い返すとまたも叩かれた。

 どうでもいい話で長引きそうな気がしたので私は軌道修正することにした。


「ディマスさん、まだ引継ぎが出来てないということは何かあったんですよね?」


「ああ、もしかしたら交代直前にバガンスネークを見つけて討伐に向かったのかもしれないな」


 すぐ倒せる程度のキメラなのかな。


「もしそうならすぐ戻って来るかもしれないからなぁ……。遅くなるなら1人くらいは引継ぎのためにすぐ戻るはずだ。行き違いにもなると面倒だし、少しの間ここで待とう」


「私はベッドで寝ておくから何かあったら呼ぶんだぞ? いや、呼ばないでくれるとありがたいけどな」


 イブリンはベッドで寝ると言い出した。近くに小屋でもあるのかな?


 というかその汚れたジャージでベッドに入るつもりか?


「安心しろ、ちゃんと呼んでやる」


 ディマスの発言にイブリンは首を横に振り、ため息を吐くと呆れたように言った。


「私の言葉が理解できてないようだな。呼ばないでくれるとありがたいと言ったんだ」


 サボりたいから呼ぶなということらしい。


「お前は俺にありがたいと思われるような行動をしろ。はぁ、少しはやる気出してくれねぇかな……」


 嘆くディマスを無視してイブリンはだるそうに私に尋ねてきた。


「コッテンも来るか?」


「私も行っていいの?」


 私はイブリンではなくディマスに顔を向け判断を仰ぐ。


「いいぞ、後で俺達がここから移動するときは呼びに行く。イブリン、コッテンのことは任せたぞ」


 イブリンはやる気無さそうな態度で「はいはい」と頭を縦に小刻みに動かす。


 ディマスは少し顔をしかめるがいつものやりとりなのかこれ以上は何もなく、私達から離れた。

 イブリンは私に顔を向けるとニヤリと笑い、声を掛けてきた。


「近くに小屋がある。そこに移動するぞ」


 小屋のある方向を指差し、嬉しそうに言った後に私に近づくとイブリンは顔をしかめた。

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