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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
3章 小さき者の大きな力
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 * * * * *


 放課後、剣術同好会をサボったステラはレイラと途中で捕まえたルイザの3人で冒険者ギルドの個室訓練場に集まった。

 個室とは思えないほど広く、魔術などの遠距離攻撃で撃ち合う訓練も可能だ。


 なぜルイザがいるのかというと、訓練場を借りるために冒険者が必要だからだ。


「私の都合が合わなかったらどうしてたのかしら?」


 事前にルイザと話をつけていなかったため、彼女の都合が運悪く合わなければ訓練場が使えなかった可能性がある。

 と、思っていたけどステラの代わりにレイラがこう答えてくれた。


「一応私は冒険者に登録しているので借りることはできるわよ。活動実績も借りたこともないから手続きに戸惑ったかもしれないけど」


 ルイザがいなくても訓練場は借りられたようだ。

 レイラは冒険者としての活動はしておらず、恐らくセシルと同様に万が一に死んだときの蘇生をするための保険として登録してるのかもしれない。


 冒険者として登録していれば蘇生をしてもらえるらしいからね。タダではないみたいだけど。


「ところでステラ、あの子ってルイザだよね?」


 レイラが不思議そうに聞いてきた。


「そうだよ、ルイザちゃんのことなんで知ってるの? レイラとルイザちゃんって知り合い?」


 ステラはルイザへ顔を向ける。


「私はその子のことは知らないのですわ」


 次にレイラへ顔を向けた。


「私がルイザのことを知ってるのは配信番組で映ってる姿をたまに目にするからよ。彼女がそうなのかなって思ったんだけどその通りのようね」


「そっか、レイラも配信みてたんだね。でも確かに私とルイザちゃんは友達だけど、それが何か?」


 ステラは自慢気に言った。ルイザと友達であることが誇らしいようだ。

 レイラはその態度に戸惑いながら返す。


「な、なんでステラとルイザが知り合いなのか不思議に思っただけよ」


 ルイザはニュース系番組でのキメラ討伐時の映像が誰かの目に留まり、それをきっかけにして色々な配信番組に呼ばれてゲストとして出演し、徐々に人気が出てきてるらしい。

 そんな有名人で冒険者のルイザとただの学生であるステラがどこで繋がりが出来たのか不思議に思うのは当然だろうね。


「それは前に私が攫われて学校に通えなかったことがあったでしょ? その時に知り合ったんだよ」


 ステラの説明にレイラの眉がピクリと不自然に動いた。

 そういえば攫われる原因になったのはレイラかもしれないんだよね。そのことがここでバレるかもと思って顔に出てしまったのかもしれない。


 それが当たってるのかは分からないけどレイラは何故か黙ってしまった。

 代わりにルイザが口を開いた。


「ところでステラ、その子と訓練場で何をするのかしら? というかいつもこの時間は剣術同好会ではなかったのかしら?」


 ルイザには『レイラがステラをエリンプスから排除しようとする黒幕の容疑者』だとは伝えておらず、ただの学校のクラスメイトとしか教えていない。

 とはいえこんな所に連れて来てる以上はレイラがただの生徒ではないと感じてるかもしれない。


 同好会よりもレイラを問い詰める方が重要だし1日くらい欠席したところで大したことはない。

 他にもステラには目的があり、それはレイラと剣術の試合をすることだ。剣術大会で自信が付いたステラはレイラとの差がどれだけ縮まったかも気になっている。


「レイラっていつも忙しいんだけど今日は付き合ってくれるっていうからちょっと稽古付けてもらおうかなってお願いしたんだ。レイラはね、私より剣術が強いんだよ。あと……同好会はサボりです。てへへ」


 ステラはルイザにそう答えた。

 黙っていたレイラは余裕なさそうに口を開いた。


「ねぇ、ステラがなんでアレを持ってたのかを試合の前に教えてくれない?」


 アレとはオリベルの私物のことだ。恐らくレイラはオリベルの持ち物だと確信しているはず。


「教えたら帰っちゃうでしょ? だから試合が終わった後にしたいんだけど」


 試合の前に教えるとレイラはやる気を無くすだろう。

 レイラは不服そうに顔を顰めた。


「分かったわ、じゃあさっさとやるわよ」


 声に苛立ちを込めたレイラは入口付近の色々な武具が置かれた部屋に向かった。


「なんで彼女はそんなに苛立っているのかしら?」


「それは……後で教えるね」


 ステラがそう答えるとルイザはなんとなく尋ねてたのかそれで納得した。

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