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18 イブリン 2

「丈夫だからなんだ、鎧なんて着替えるのが面倒臭いだろ! 着替えやすいこのジャージこそ――」


「あのさ、そんな話はもういいから次に進めてくれないか?」


 イブリンが長ったらしく続けていた話をアージェンが止めた。


「なに? どうでもいいだと? 確かに今はどうでもいいかもしれんな」


 少し不満が顔に出たイブリンだけど、すぐ納得したようだ。


「脱線した話を戻すぞ。他に聞きたいことや言う事はないかイブリン?」


 ディマスに問われイブリンはすぐに反応した。


「あるに決まってるだろう、一時的にとはいえこんな弱そうな子供を入れて本当に大丈夫か?」


 普通の感覚でステラのことを見ればそう思っても仕方ない。どう見ても子供だ。

 イブリンも小柄で弱そうな子供に見えるけどそれはいいのかな?


「安心しろ、コッテンは外見は幼く見えるが――」


(コットンです……はぁ)


 ステラのため息が頭に響く。ディマスの中ではコッテンで固定されてしまったようだ。


「――俺達並には力があるぞ」


 その言葉にイブリンは一切動じなかった。


「ちょっといいか?」


 イブリンは私に近づき、ローブごしにムニムニと腕を触る。

 ステラの体にどれくらい筋肉があるのか確認してるようだ。

 11歳の少女なんて鍛えてたところで大して筋肉ないと思うよ。


 近くで見ると分かったことだけどイブリンの肌の質はステラと違って粗い。遠目に見る外見は幼いけど肌の質は年齢を誤魔化せないようだ。


「筋肉なさすぎじゃないかお前! おっと、そう言えば11歳だったな。だったら筋肉あるわけないよな! ほれ、私の腕を触って見ろ! お前みたいな子供とは全然違うぞ」


 イブリンは右腕を私に差し出す。見た目では子供のように細いため違いがよく分からない。


(ステラは興味ある?)


(え? ないよ)


「いえ、結構です」


 私は触るのを拒否する。


「そうか。で、筋肉が少ないということは……身体強化か? こんな筋肉でこいつら並の力は高ランクの魔術が必要だろうな。だとするとお前も年齢詐称していて実は30代か?」


「11歳です」


「そうか11歳か。そういうことにしておこう」


 こっちは正真正銘11歳だよ!


「よし! お前、ちょっと私と腕相撲しろ」


「はい?」


「私に勝てたら討伐に参加してもいいぞ、負けたらどうせ足手まといだろうから参加しなくていい。あと、負けてもお金は返さなくていいから」


「おい、勝手に決めるな」


 ディマスが不満そうに言うがイブリンは涼しい顔だ。


「命がけの戦いに弱者はいらないんだよ。私に勝てたら許可してやる」


(負けたら参加しなくてもいいそうだよ、ステラはどうしたい? それでも討伐行きたい?)


(行きたいから絶対に勝って!)


 ステラの決意は鈍ってないようだ。

 私はディマスに視線を向ける。こんな事態になってどんな表情をしてるかな。


「あー、……わりぃ、勝ってくれ。勝てるよな?」


 ディマスは困惑してる。


「やってみないと分からない」


 私は曖昧に返した。

 それにしても仲間の女1人の意見も尊重するのね。


 ディマスのワンマンチームではないということか。昨日の様子見てたらワンマンな感じがしてたんだけどね。


 なんだかんだ仲間の言うことは聞いてくれるいい人なんだろう。


 さて、勝てる自信はあるけど勝てるかどうかはやってみないと分からない。


 イブリンはランク8の高ランクの魔術士ということだから勝てば少なくとも私はそれ相当の魔術士の力は持っているということになるはず。


 どれくらい凄いかは分からないけどね。


「ここの机でやるぞ。コットンこっちに来い!」


 腕相撲が出来そうな小さな机に移動し、椅子は邪魔なのでどかした。


(変な人なのに名前しっかり覚えてくれた!)


 ステラからの好感度は上がったようだ。それと変な人じゃなくてイブリンって名前で呼んであげて。

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