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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
3章 小さき者の大きな力
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126 チッピィの見間違え? 2


「最近出るの早いけど何してるの?」


 母の疑問にステラは言い訳を用意してなかったのか返事に間が開いた。


「大丈夫、何もしてないから! じゃあ行ってくるね」


 ステラはそう言ってすぐに外に飛び出す。

 そんな答えでは母の不安は払拭できないだろうけど、ま、ステラに致命的な事が起きなければいいわけだし、気にしなくてもいいか。


 朝8時に登校し、複数犯の可能性を考え今日もステラは教室の入り口を見張る。


 ちなみに昨日の少女から情報を引き出そうとしたものの、セシルと仲良さそうにしてるステラに嫉妬した単独犯だということしか分からなかった。いや、その理由って矛盾してるんだよね。ステラのこと知らないのに何に嫉妬したんだ?

 もっと色々隠してるかもしれないけど、それで全部と言われればもうどうにもできない。


 しばらく見張っているとこっちにクラスメイトの女子が近づいて来た。

 ステラは見張りを邪魔され不快そうに眉を寄せる。


「こんなところで何してるの?」


「今日はたまたまだよ。君は?」


「私もたまたまだよ、私より早く登校するなんて珍しいね。じゃあね」


 その少女は教室の荷物を置いた後どこかに行ってしまった。


 見張りを再開してみるものの、今日は何事も無く、ステラの机は平和なまま1日を終えた。


 そして放課後の同好会の稽古も終えた後、家に向かう道で私はステラと話し合う。


(昨日犯人の一人が捕まったから警戒されたのかな?)


 嫌がらせをする人は複数いる。示し合わせたようにある日を境に毎日続いているわけだし連携を取っている可能性はあるだろう。

 今日何も無かったのはステラが見張っていることを知られたのかもしれない。


(もしかすると朝に声を掛けて来たあの子が犯人の一人で私の姿を見て諦めたのかも)


 ステラはそんな予想をした。


(疑心暗鬼になってるね。でも証拠もないまま問い詰めてもクラス内でのステラの印象が悪くなるだけだから慎重にした方がいいよ)


(どうせ友達いないし、卒業したら関わることも無いから印象悪くなっても構わないけどね。ともかく現行犯以外では嫌がらせは止まらないと思うから見張りを続けていくよ)


 ステラはため息を強く吐いた。


 * * * * *


 そして見張り方を変えたりすることで新たな犯人を何人か捕まえていく。

 その中にクラスメイトはいなかったけど、チッピィが最初に指摘していた子はいた。


 捕まえたうちの何人かはステラの顔を知らないようで「あんた誰?」と聞いてくることがあった。

 最初に捕まえた子もそう言って来たので誰かの指示で動いてるのは明らかだろう。


 いずれも単独犯という姿勢を崩さず親に知られても構わないといった態度を見せていた。

 当然ながら先生に引き渡した。


 捕まえた人数は合計6人――男子も含む。


 彼らが横のつながりで連携を取っていないとするなら誰かからの指示によって動いているのかもしれない。


 しかし誰も命令されてるとは言わなかった。

 黒幕の名前を出すよりも親に知られる方がマシらしい。


(これだけ捕まえればもう流石にやってこないよね?)


 * * * * *


 数日後。


 昼休憩にセシルから勉強を教えてもらったステラは彼と一緒に教室へ向かっていた。一人で歩いてる時は誰も見て来ないのにセシルといるときは女子の視線がよく刺さる。


「今日も勉強に付き合ってくれてありがとう」


 教室に入ったステラはセシルにお礼を言ってから自分の席へ向かった。

 ステラは自席の椅子を引き、座ろうとする。

 私は椅子に上を向いた針が大量にあることに気付きステラを止めようと思ったけど間に合わないと判断し、身体強化を掛ける。


 腰を下ろしたステラは異変に気付き、立ち上がり、椅子に目を向けた。


 椅子には身体強化のお陰で横に向いた1cmほどの長さの針が大量に置かれていた。テープで固定されており動かしても椅子から落ちたりしない。

 明確にステラに危害を加えようという強い意志を感じさせる。


 今までは精神的に追い詰める程度だったけど、今回は身体的にも追い詰め始めていた。


 ステラの不自然な様子に気づいたセシルが近づいて来た。


「どうしたステラ? な、なんだこれは」


 セシルが声を上げると女子のほとんどがこちらへ視線を向けた。


「針みたい」


 ステラはそれだけ告げると周囲を見回す。


 昼休憩に一時的に教室から人が少なる時間はあるとはいえ、朝と違い見つかるリスクは高い。

 ステラは教室にいなかったけど、教室で過ごす者も割と多いので目撃者がいる可能性もある。

 一人一人聞いて行けば犯人が分かるかもしれない。


 でもこんなことを指示するような捻くれてる相手だ。大人数の前で犯人をばらしたら次はその子が標的になるかもしれない。


 と、そんな可能性にまで気を使っていてはいつまで経ってもステラへの嫌がらせは終わらないな。


「怪我はないか? ステラ、誰がやったか心当たりはあるか?」


 苛立ちが一目で分かるほどの顔でセシルが尋ねる。

 セシルのことが好きな子、と答えても候補者だらけで何の解決にもならない。


 ちなみにセシルには今まで嫌がらせをしてきた犯人を捕まえたことなどは伝えていない。


「心当たりはあるけど、多すぎて全然検討付かないかな」


 ステラはなんてことなさそうに返した。

 セシルはみんなの方へ顔を向け、大きく声を上げる。


「みんな聞いてくれ! ステラの椅子にこんなことをやった人を見かけたなら教えて欲しい」


 しかし誰も名乗り出ない。

 その時、まだ教室に戻ってなかったレイラと取り巻き2名が姿を表した。


「なになに? なんかあったの?」


 レイラは興味深そうに笑みを浮かべセシルに近づく。


「見てくれレイラ。ステラの椅子にこんな悪戯がされてたんだ」


 セシルが椅子をレイラに見せると彼女は痛々しそうにそれを見つめた。


「針? 刺さったら危険じゃない、一体だれがこんなことを……とにかく先生に伝えるべきだと思うわよ」


 レイラはそう言った直後、ステラの耳元に近づく。


「こうなったのはステラにも原因があるんじゃないの?」


「は?」


「例えば、セシルと距離が近すぎるとか? でもそれが原因かは分からないわ。セシルを狙ってる子は多いから可能性はあると思わない?」


 ボニーと同じようなことを告げ、ステラから顔を離すと先生が入室した。


「ほら、ステラ。先生に伝えたら?」


 レイラはステラにそう促すと自分の席についた。


 * * * * *


 次の日の昼休み。ステラの席には何も起きず、レイラの椅子に悪戯がされていた。


「セシル~! 私の席にもこんな悪戯が!!」


「お前もなのか?! 一体だれがそんなことを……」


 ステラはそれを見て呆れる。


「レイラもやられてるじゃん」


 そういえばレイラもやたらとセシルに近づいていたからね。

 その日を境にステラへの嫌がらせはなくなり、レイラへの嫌がらせは2日だけ続いた。

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