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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
3章 小さき者の大きな力
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117 ルイザが帰って来た 1

 キディア達に会ってから2日が経過し、いよいよルイザが戻る予定の日となった。

 ステラは剣術同好会を休み、朝の10時頃に冒険者ギルドに行き、賑わう待合室の椅子に座りルイザが通るのを待っていた。

 現在時刻は11時となったけどまだルイザの姿は見られない。


(今日帰って来る保証は無いんだけど、ずっと待つつもりなの?)


(あと1時間待ってみて来なかったら諦めるよ)


 冒険者でもない子供が一人でポツンと座って目立つのか周りの視線がよく刺さる。

 そんな中、年はステラとそう変わらないであろう男の子が近づき声を掛けて来た。


「なぁお前」


 冒険者らしい格好をしており仲間らしき同じ年くらいの男の子も二人並んでいる。

 ステラは興味無さそうに返事する。


「なに?」


「こんなところにいるってことは冒険者になりたいんだろ?」


「そうだけどなに?」


「じゃあ俺達のチームに入れよ。色々教えてやるからさ」


 上から目線の態度にステラは少し不快な顔を見せる。


「先約があるからいいや」


 先約とはケミーのことだろうか。

 断られるとは思わなかったのか男の子は乱暴な言葉をステラに浴びせる。


「なんで断るんだよブース!」


 なるほど、今の時代も子供達の悪口は直球で来るのか。

 と私が呑気に思っているとステラはキレた。


「はぁあああ?! 君だってブサイクじゃん!!」


「ブスに言われたくねーよ! ブース!」


「じゃあ君はブスが好きなんだね? 冒険者でもないブスを仲間にしようと声掛けるんだもんそうだよね。でもごめんね、私は君達には興味無いの」


 ステラは大きく鼻息を噴き出すとシッシッと手で追い払う仕草を見せる。


 男の子がカッとなってステラの目の前のテーブルをバンッと強く叩いた。


 ステラは少しビクッとするけど直後に負けじと男の子を睨みつける。

 とその時、男の子の横にステラくらいの年の見覚えのある女の子が立ちどまった。


「喧嘩は外でやってくれない? ここは人も多いし迷惑だよ」


 その声、その顔はクロエだった。一人だ。


 ……え、なんでこんな所にいるの?

 というか前に変装して会いにいったけどステラのことバレないよね?


「なんだ、こいつの仲間かお前?」


「いえ、この町にこの年くらいの知り合いはいないから違います。でも、もし仲間だとしたらなんですか?」


「仲間じゃないなら関係ないんだろ? どっか行けよ」


 内心でイラっとしたのかクロエはこう切り出す。


「そんなに喧嘩したいなら私が買うわ。さぁ表に出ましょう」


「は?」


 クロエは男の子の手首を掴み強引に引っ張る。


「お、おいやめろ! って、な、なんだこの女、馬鹿力じゃねーか」


 男の子達は力負けしたのか外に連れ出されてしまった。


「クロエちゃん大丈夫かな?」


 ステラはすぐクロエに加勢できるようにと外に移動した。

 しかしその心配は不要だった。


 クロエが襲い掛かるけど男の子達は防御のみで反撃はしない。

 どうやら彼らは女の子に手を出すことに抵抗があるように見えた。


「痛ぇ痛ぇ! 馬鹿やめろ! 分かった分かったから、俺達が悪かったから!」


 男の子達は謝ると走って逃げだした。


「あ?! 待ちなさいよ、まだ終わってないんだけどー!!」


 クロエはまだやり足りないといった感じで追いかけていった。


(この様子なら大丈夫そうだね)


 無事にトラブルが去ったので待合室に戻りルイザが来るまで待つことにした。しかし姿を表さなかったのでステラは一旦家に昼食を摂りに行くことにした。


 * * * * *


 家に帰るとステラ宛に手紙が届いていた。差出人はラズリィのようだ。

 ステラは不思議そうに封を開け、中の文章に目を通す。

 読み進めていくと表情がニヤニヤとしだした。


 手紙の内容は『もうすぐ卒業でしょ? 卒業後はステラと会えないと思うから一緒に遊びに行きたい』というものだった。


(今まで誘ってきた事なかったのに)


(良かったねステラ)


 手紙には待ち合わせの場所と日時が記されていた。私はそこにちょっと違和感を抱いた。


(ねぇステラ。ラズリィって歩いていける距離に住んでるんだよね?)


(そうだよ)


(だったらさ、手紙出さずに直接ステラのとこまで来ればいいと思うんだけど)


(そうなの?)


(だってステラの都合が合わなかったら会えなくなると思うんだけど、ラズリィとしてもそれでいいのかな、って不思議に思って)


(私が都合を合わせやすいことはラズリィも分かってるし、だからじゃないかな?)


 だから一方的な都合を押し付けても成立すると? なにかと忙しい大人ならともかく長期休暇で暇な子供相手だから成立するということか。


 ステラの家に来ないのは少しでも時間を有効に使いたいということかもしれない。


(この手紙、いたずらでラズリィの名前が使われてる可能性もあるんじゃない?)


 私はまだ違和感が拭えなかった。

 ステラは文字に目を向ける。


(ラズリィの文字にそっくりだし、いたずらじゃないと思うよ?)


 違和感の正体は私の感覚とこの時代の感覚が合ってないからかもしれないな。

 だとするなら考えるだけ無駄か。


(で、どうするの? 日時は明後日みたいだけど行く?)


(勿論行くよ!)


 ステラは元気よく答えた。


 * * * * *


 翌日――ラズリィとの約束の日の前日、ステラは午前は剣術同好会に顔を出し、午後には冒険者ギルドに向かった。


 ルイザが帰って来たのか確認するために部屋を訪ねてみると、肌の白い黒髪の少女が姿を表した。

 ステラは明るく挨拶をした。


「おかえりルイザちゃん」


「ステラ、ただいま」


 ルイザは優しい笑みを返した。

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