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15 優しくしとこ 2

「う、やっぱりそうなんだ……。でも許してもらえるなら嬉しい。ステラじゃない方のあなたは私の事どう思ったの?」


 キディアはステラに嫌われても許されたことが嬉しいと言った。

 私もステラと同感ではあるけど、もう少し説得力のありそうなことを言った方がいいか。


「あなたに何をされても私は死なないし、ステラは私に守られてる。だからあなたに対して恐怖心は全くないよ。反省してるなら許すし、それに真に悪いのはゴードンだからね」


「ありがとう」


(ステラはキディアと話をしてみる?)


(今はいいや)


 ステラは嫌いだからというよりは単に面倒臭いだけのようだ。


「事情は分かった、教えてくれてありがとう。じゃあ約束通り二人だけの秘密ね。私は誰にも言わないからキディアも私の事は言わないでね」


「ふたりだけの秘密か……なんかごめんね」


「それでこんなところで一人でいるけど、みんなとは話はしてないの?」


「う、うん。あんなことしちゃったからこっちから近づきづらいし、みんなからも近づいて来ない。みんなと仲良くしたいけどやっぱり難しいかな?」


「時間が必要だろうね。今は何を言っても無駄じゃないかな?」


 何を言っても裏があると思われるだろう。


 キディアの我がままによって信用を無くしたんだから、小さな信用を時間をかけて重ねるか、命を賭けるくらいの大きな事をするか、向こうから近づいて来ない以上は厳しいかもしれない。


「そうか……時間が必要か……」


「みんなと違う孤児院に行くのが可能ならギルドの人に相談してみたら?」


「うん、考えておく」


「孤児院に行くまでの間は私が話相手になってあげるから何かあったら声かけてね。私からも声を掛けるよ」


 その後キディアと少し雑談をして距離を縮め、私は部屋に戻った。


 部屋に入るとまだ寝るには少し早いからなのか子供達は起きていた。

 みんなの視線が私に集まる。


 私は部屋を見回すと違和感を覚えた。


(あ、みんな服が違う)


 ステラは違和感の正体にすぐ気づいたようだ。

 私はステラが言うまで分からなかった。服が違ったのね。


 お金は持ってないわけだし冒険者ギルドから配布されたのだろう。

 町を歩いてもギリギリ恥ずかしくない程度には良くなってる。


「あ、ステラだ!」


「男の人達死んでなかったー?」


 ステラより年下の子達に聞かれたので「死んでない」と返事をした。

 ちょっと短気なだけの善良な人を町中で殺すわけないよ。

 お尋ね者になってしまうからね。


 子供達は特に話すことがなかったのか他の子達の所へ行った。


 私はケミーと話をしているマリアに視線を向ける。先ほどの男達とのことを話したいので近づくと相手が先に口を開いた。


「ステラ、お疲れ様。年上の私達が頼りなくてごめんなさい」


 マリアが申し訳なさそうに謝ると隣のケミーも謝りだした。


「ステラちゃん……ごめんね、その、頼りないけど……私のこと、嫌いにならないでね!」


「気にしないでいいよ。私にできないことがあったらそのときはよろしくね」


「ステラちゃん! ありがとー!」


 ケミーが飛びついて抱き着こうとしたのでそれをかわすと、恨めしそうに私を見つめる。


「なんで避けるの? ……私のこと嫌い?」


「そうじゃないけど、なんで抱き着くの?」


「好きだからだよ? 駄目?」


 気持ち悪いな……。なんでこんな好かれてんのさ。


(抱かれたら駄目だからね)


 ステラから指示が出たけど私も同意見だ。


「駄目ってステラも言ってるから駄目」


「はい?」


 あ、変な言い方をしてしまったからかケミーが混乱してる。

 まぁ今は11歳の外見だし多少変な言い方しても子供だからとそこまで気にしないだろう。


「そうなんだ、駄目なのね」


 しょぼんとしたケミーは移動してベッドに潜っていった。


 気を取り直して私はマリアに『明日、冒険者の人達の依頼でキメラ討伐に一緒について行く』ことを伝えた。マリアは少し戸惑ってはいるけど私の心配をしている様子はあまりない。


「冒険者でもないのに参加しても大丈夫なの?」


 どうなのか分からないので冒険者の姉がいるステラに聞いてみた。けどもステラは冒険者では無いので冒険者ギルドのルールは分からないようだ。

 まぁでもディマス達は冒険者だし、ルール違反なら向こうから頼んでこないでしょ。


「駄目なら向こうから頼んでこないと思うよ」


「何かあったら責任はその人達が持つんでしょうね」


「でも私が死ぬようなことはほぼないので安心してね」


「いくら強くても慢心は駄目ですよ、人間と動物、魔物やキメラは違いますから」


 安心させるための言葉だったけど調子に乗ってるように思われたか。

 慢心はしていないけど、この時代のことよく分からないし思ってるより危険かもしれないから気を引き締めよう。


(大丈夫とは思うけどこの体は私のだから本当に気を付けてねデシリア)


(大丈夫……だよ。任せて!)


 キディアに刺されたことを思い出し、一瞬言葉に詰まる。

 ステラはキディアに刺された時は痛覚は遮断され視界も閉じてて分かってないようで、そのことを絡めてまで注意はしてこなかった。


「そうだね、気を付けるよ。心配してくれてありがとうマリアさん」


 その後、寝るまでの間みんなと話をして過ごした。

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