表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
3章 小さき者の大きな力
186/282

95 兎猫のチッピィ 3

 チッピィが餌を食べ終わったのを確認し、少し休憩させたのちに質問を再開。

 魔法で喋れるようにしたいので魔法が扱えるかを聞いてみる。


「ニャン!」


 元気よく返って来たので魔法は使えるのだろう。でもニャーンとかしか言わない辺り、音を声のようにする魔法は分からなさそうだ。

 私は魔法で声を出せるところを見せることにした。

 目の前から声が聞こえても魔法だとは思われないと思うので遠隔魔法でチッピィの後ろから声のように音を発生させる。


「ジッピィ~、うじろ、後ろ~!!」


 音の調整が難しいから発音が不気味になってしまった。まぁ意味は通じるでしょ。


「ニャッ?!」


 チッピィはビクっと驚き、後ろを振り返るけどそこにはカーテンで閉ざされたガラス窓しかない。私は続けてそこから声のように音を振動させる。


「魔法で音を声のように加工してるんだよ」


 狙った音を発生させるだけでも高度だけどそれを声にするのはさらに技術が必要になる。

 チッピィは興味を持ったようで早速その魔法を教えることにした。


 * * * * *


 教え始めて1時間。ステラは暇なので本を読み、チッピィは行儀よく前足を揃えながら音を声にする魔法の習得に励んでいる。


「ワードゥアー……ヴァードゥダドゥザァー」


 意味不明ながら何かしらの声だと分かる程度まで扱えるようにはなった。


「ニャ、ニャーン!」


 チッピィは可愛く不機嫌な声を発するとゴロンと横になった。


「チッピィ、疲れた?」


 私が魔法の声で聞くとチッピィは人のように手を上げて合図した。その様子は可愛く見えるけど中に人が入ってると思うと変な感じがする。

 あ、そういえばチッピィの中の人の性別ってどっちだろう?


「チッピィ自体がメスなのは分かるんだけど、中の人は男?」


 私は魔法の声でチッピィに尋ねるとチッピィは顔を横に振った。ということは女か。


「女?」


 チッピィは顔を縦に振った。なら安心だ。自己申告だから本当はどっちかは分からないけど信じるしかない。

 ……ってそれはステラから見れば私も同じか。


「あ!!」


 ステラは大事な事を思い出したようで大きな声を出す。


「そういえば学校っていつから出ればいいんだろ。お母さんに聞かなくちゃ!」


 ステラはリビングにいる母の元に向かった。

 母はソファで横になり、壁に表示されている映像を見ていた。

 映像には子供が描いたような平面的な絵が動きながら声を発していた。これはキメラ? 魔物? こんな生き物は見たことないな。というか何が面白くてこれを見ているのだろうか。


 そんな映像を見慣れているのかステラは無視し、母にいつから学校へ行けばいいのか相談を始めた。

 母はこう答えた。


「今日家に戻ったばかりだしきなり明日から学校に行くのも大変だよね。だから明日は休みなさい。それで学校には私の方からステラが戻ったことを伝えるから、その後でいつから行くか決めましょ」


 ステラはまだ学校に行きたくなかったのか緊張していた顔は緩んだ。


(本当は行きたいんだけど、気持ちが落ち着いてからじゃないと……ね?)


 ステラから後ろめたさを感じる。まぁ私からあれこれと言うつもりは無い。今のところは冒険者になってくれればいいわけだし、アニータを見て冒険者になるハードルが低い事がよく分かった。あんなのでもなれるならステラなら楽勝だろう。

 部屋に戻るとチッピィは床でまだ横になっていた。丸っこいその体はとても魅力的に映る。


「触ってもいい?」


 ステラはチッピィから許可を貰うとお腹をわさわさと触り始める。しかし途中で撫でる手を引っ込めた。


「にゃ、にゃん?」


 チッピィは何か言ってるけど兎猫の言葉は分からない。


(やっぱ中が人だと思うと抵抗がある)


 私にそう漏らすとステラはディスプレイを操作し壁に映像を表示させた。

 そしてベッドに移動し横に転がりながら映像を眺める。

 チッピィは一瞬映像に顔を向けたけど興味ないのかそっぽを向いた。


 その後、チッピィはステラが寝る直前まで声の魔法の訓練をした。


 あ、中の人の名前はまだ聞いてないけどどうしようかな。その判断はステラに任せるとするか。


「チッピィ、おやすみ」


 映像を消し、ベッドに入ったステラは1日の終わりの言葉を告げた。チッピィは入口近くのスイッチを跳躍して器用に押し照明を淡いオレンジ色に変えた。


(寝る前に消しに行くの面倒だったからホント助かる!)


(怠惰だね)


(歩いて消しに行くと眠気が飛ぶんだもんそれくらい許してよ。あ、眠くなれる魔法ってあるの?)


(あるにはあるけど体が自力で眠ろうとしなくなるからどうしても必要な時だけにしないと大変なことになるよ)


(体に影響を与える魔法ってそういうのばっかだね。身体強化も筋力が付きづらくなるみたいだし)


 その後はステラが寝るまで話し相手に付き合った。ステラは私に寝る挨拶をしないまま眠りに落ちていった。


(ステラ? ……もう寝ちゃったか)


「すぴーすぴー」


 チッピィはどうしてるかと見ればまだ起きてるみたいだ。長い孤独な夜の時間を紛らわすために話でもしようかと思ったけど、ステラを相手にするのと違って脳内会話という物はできないんだった。声を出すとステラを起こしてしまいそうなので諦めることにした。


 ……というか今まで私が起きていたのはステラを守るためだったし、流石に自宅で何か起きる可能性はほぼないだろうから久々に寝てもいい気がする。

 

 まぁ、寝る必要は無いけど退屈な時間というのは精神的に苦しいので私も寝ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ