表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
2章 才色兼備の猫人魔術士
154/282

81 私にとっては大したことが無い攻撃は 2

「絶対に許さない!」


 ステラがシェダールへ突き出した拳は紙一重で避けられる。

 シェダールは笑いながら煽ってきた。


「いい顔だな! 辛いだろ? 苦しいだろ? ははははっ、その証拠に動きが鈍ってるぞ!!」


 視界が白で埋め尽くされた直後いつの間にかシェダールからかなり遠ざかりステラの背中は木に激突した。

 木から落ちると上手く受け身を取れず地面に倒れ、木は激突の衝撃で徐々に傾きステラの体に向かって倒れて来る。


「きゃあああ!!」


 それに気づいたステラは悲鳴を上げ、反射的に体を丸めた。


(ステラ、落ち着いて!)


 私は落ちて来る木を霊体の状態から魔法を行使して弾き、ステラに呼び掛ける。

 怯えて混乱してるステラは体に何事もない事が分かると周囲を見回しながら立ち上がる。

 そしてシェダールに顔を向けた。彼はニヤニヤしつつも残念そうに口を開いた。


「お前ではなく奴の顔で見たかったんだが……ちっ、今思いついたが奴の目の前で殺せば良かったな。まぁいい、そいつが死んだことを伝えるだけでも効果はあるだろう」


 シェダールは再び光線を放つ。私は魔法でかき消しステラに交代するように急かす。


(身体強化だけじゃ今のステラでは多分勝てないよ! 危険だから早く私と交代して!)


 ステラは遠くに見えるルイザの姿を見ると恐怖よりも怒りが沸き上がったのか叫びながら再びシェダールへと突っ込む。


(ステラ!! 私の言う事を聞きなさい!)


 ステラの足を魔法で固定し強制的に動きを止めることにした。出来ればこんな方法は取りたくなかったけど、ステラに後悔させるわけにはいかない。


「な、なんで!! 動け! 動いて!!」


 強力な身体強化を施してるにも拘わらず止めることに成功した。さすが私! そんなことしてる間もシェダールは光線を飛ばして来る。

 私はそれらを消滅させつつ、ステラの耳元に魔法で作った声で呼び掛ける。頭の中でステラに呼びかけても無視されるため耳に直接声を当てることにした。


「落ち着いてステラ、急いでルイザを治さないと手遅れになるよ。だからデシリアと……交代しなさあああああい!」


 ステラは耳元に発生した大声に体を震わせて驚く。


「わわわっ!!!??? え、え? この声って屋敷の時の……ってデシリア?! あっ、ごめん! 今交代するね、あとは任せた!」


 ようやく私の言葉が届くとステラは交代してくれた。


(私の名前を大声で出さないでよ。ルイザがいるんだから耳に入ったら変人扱いされちゃうよ)


(そ、そうだった。そうだけど、それよりも早くルイザを助けてあげて!)


 ルイザの所に向かう間も光線は飛んでくるけど消滅魔法で受けて無効化していく。

 この光線、ルイザの傷を治しながらの無効化は難しそうだ。その時は障壁で対処するとしよう。でも障壁魔法では無効化ではなく弾くことになり弾いた衝撃波で地面が大変なことになるのは避けられない。でもルイザの命の方が大事だから仕方ないよね。


 沈黙したままのルイザのところへ着いたので、すかさず障壁を張る。

 次にルイザの様子を見ようとすると隣から猫の鳴き声が耳をくすぐった。


「にゃーん!」


「え、お前、なんでここにいるの?」

 

 何故かステラのペットの兎猫ラビキャットがいた。

 そいつは心配そうにルイザの頬に顔をスリスリしながら悲痛な鳴き声を響かせる。


「まぁいいや、ルイザを囲うように張った障壁が守ってくれるからお前は絶対彼女から離れないでよ?」


 シェダールの攻撃は今は私を中心にルイザを囲む丸い障壁で防いでる。周囲の地形は魔法が障壁にぶつかった時の衝撃波でとんでもないことになっていく。


 早速治療のためにルイザの腹部に手を向けてみると、まだ何もしてないのに先程よりも少し塞がっていた。ああ、そうかルイザは回復魔術も使えるんだっけか。


 ルイザの顔がこちらへと向く。私を見ると安心したような表情を見せ、そして病的な弱々しい声を出した。


「ステラ……もし私が死んだら……ギルドに私の体を――」


 死を覚悟してるということは自力で治すのは難しいかもと判断したのかもしれない。


(デシリア、早く治してあげて!)


 ステラの頼みに私は優しく頷き、ルイザに希望の言葉を掛ける。


「安心してルイザ、あなたはまだ死なない」


 私はルイザの右脇腹にに手を当て回復魔法を掛けると、致命傷の臓器を元に復元し傷口を段々と塞いでいく。

 ほんの数秒で綺麗な肌の色が蘇った。

 けど、ルイザはまだぐったりしている。


(傷は塞がったのにルイザちゃん元気ないよ?!)


(血が大量に抜けたから体がきついのかもしれない、でももう傷は塞いだし大丈夫)


 抜けた分の血は同量を魔力を血に変換して補充したので次第に元気になるはず。

 ルイザの無事を確保したので私はシェダールへ顔を向ける。

 

 治療中に障壁で防いで来た魔法攻撃の余波により周囲の風景は一変していた。これ以上変形させないために障壁を解除し、消滅魔法で対処していく。


「まだ俺の攻撃は効いてないのか? 何故だ? 俺の調子はもう完全に戻っているはずだ。こいつは子供の頃から俺の力を上回っていたというのか? 何故その障壁を突破できない!」


 シェダールは焦りを見せながらも攻撃の手を緩めない。

 子供の頃からとは何の事? まだステラは子供なんだけど。


(デシリア、こいつは絶対殺して!)


 物騒な言葉ひとつでステラの憤り具合がよく伝わる。

 最初は殺すつもりは無かったけど、ルイザの命を狙って来た以上はそんなことは言ってられない。


(任せて。でもステラ、その殺すって言葉遣いは良くないから使わないようにしてね)


 そうステラに注意をした後、私はシェダールへと駆け出す。


 デコボコの地面は足に力が入りづらく思うように勢いが出せない。

 けどシェダールが逃げようとする様子は見られないので徐々に距離は縮まる。洞窟と違って広い野外だ、少しもたついてるとはいえこの良好な視界で私から逃げきれる者なんていないだろう。

 私は右手に消滅魔法を用意し、手の届く距離になると相手の顔目掛けて突き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ