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10 うるさい子供達

 マリアはステラの発言に困惑を見せた。


 ステラは間違って私の名前を出したことに気づくと、また口から声を出して私に指示を仰ぐ。


「あ、ヤバ、あの、どうしよう?」


(ステラ、そういうのは頭の中で言って!)


「まだ出会って半日だから名前の間違えくらい私は気にしないから。私の名前はマリアです。何回でも聞いていいから遠慮しないでね」


 マリアはステラの間違いを優しく訂正した。


「あ、あ、あ、はは、は、はい。名前間違えてすみません、ぼーっとしてました」


(ステラ落ち着いて、深呼吸!)


「うん、落ち着く! スーゥ……ハーァ……」


(私に返事するときは口に出さない)


「分かった!」


(だーかーら!)


「あ、あの、ステラ?」


 マリアはステラの奇行に困惑した。


 ステラは脳内会話との切り替えで頭の中がこんがらがってるのだろう。


(今はステラに体が戻ってるんだから声を出したらみんなに聞こえちゃうでしょ)


(そ、そうだった。なんかややこしい)


 私も間違えそうな気がして不安になって来た。要練習だな。


「つ、疲れてるのかな? ステラが凄いのは分かるけどまだ子供だし、食事はしっかり取ったら休んだ方がいいよ」


「は、はい。疲れてるかもしれません。じゃあ、いただきます!」


 ステラは緊張を見せつつも食事を始めた。

 私は料理に興味がないので手のひらサイズの自分を模した小さな霊体をステラの肩に出して辺りを見回す。

 霊体を出さなくてもいいのだけどなんとなくそうしたい気分だった。


 子供たちは解放感からか浮かれてキャーキャー騒いでいる。

 特に年少の男の子達は猫人ねこびと兎人うさびと、人間の3人の男の子がいるのだけど、うるさい。


 元気があって喜ばしいんだけどここには私達以外も人がいるので迷惑じゃないか心配だ。

 他の子供達はステラも含めてその騒がしさが特に気になってない様子。 

 私が大人だから気になってしまうものなのだろうか。


 子供達がうるさいのかチラチラとイラついた様子で見ている人もいた。

 大人の冒険者だ。

 ここは冒険者ギルド内にある食堂なので冒険者以外は基本いないはず。彼らも同じように談笑しながら食事をしていて、多少はうるさかったりするけど子供達と比べたら気にはならない。


(ステラ、料理は美味しい?)


(うーん……美味しい)


 これは美味しくない時の美味しいだ。

 もしかして味覚の感度も鈍くしてるのかな?


(デシリアも食べる?)


 私が食べても全部ステラの栄養になるから味わう以外には意味ないんだけど……。

 あ、でもステラが苦手なモノなら代わりに食べる意味はあるね。

 それなら栄養が偏らないように健康に配慮できる! 

 って、こんなくだらない事のために私は頑張りたくないよ。


 とりあえず今はステラでも食べられる物ばかりなので遠慮することにした。


(いや、いらない。あと好き嫌いしないで食べないと大きくなれないよ)


(デシリアもお母さんみたいなこと言う。あ、デシリアはおばあちゃんだったね)


(はいはい、もうそれはいいからちゃんと食べてよ)


(はーい)


 ステラは料理を口に運んでいく。

 表情からは特に不味そうな感じはしないし大丈夫そうだ。


 それにしても年少組の子供達はまだ騒いでおり、甲高い耳障りな声を発してうるさい。

 でもマリアは注意しない。しかもそれを微笑ましく見ている。


 ケミーもキディアも声を気にする様子はない。

 君たちの耳はどうなってんの?

 いや、そんなことが気にならないくらい今までが過酷だったのか?


 でも他の客には迷惑なんだよね。

 ……私が注意しないと静かにならないか?


 でも体はステラが使ってるからステラに注意させるしかない。


 そう思った矢先に――


「ああああっ、うっせぇんだよ!!」


 先ほどチラチラと見ていた冒険者の男が子供達に近づいて来た。

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