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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
2章 才色兼備の猫人魔術士
109/283

61 ズレてる人達 2

(100年ってデシリア、この子……やっぱりおかしくない?)


(あ、ああ。うん。前会った時はもっと普通だったような……?)


 以前ステラから聞いた人の寿命は90年くらい? つまりは約100年だ。

 なので100年も会っていないという言葉は普通に考えれば出てこない。


 驚かすためにわざとそう言ってる可能性もあるよ……ね?


 もしクロエが100年以上生きているとしたら……私と同じエルフなのか?

 でも耳は人間だし、エルフなら横に細長く伸びているはずだ。


 もしかして、長命の種族がエルフ以外にもいるのだろうか。


「……なーんてね、今のは冗談だよ。ふふっ、面白い顔してるけど……驚いた?」


 クロエは私の顔を見てクスっと笑った。

 いたずらが成功して嬉しそうにしている。

 今までの不自然な態度を見てるとその笑顔がわざとらしく感じる。


「う、うん。ビックリした」


「今日は会いに来てくれてありがとう。もし良かったらまた会いに来てくれると嬉しい」


 その言葉が針のように心に刺さる。後でデシリアとして手紙を持って行くけど……もう顔を合わせることはないと思う。ごめんなさい。


 * * * * *


 館を出た後、クロエ達のことについて話をしながら冒険者ギルドへ向かって歩いていく。

 あの金ぴかの服は途中で色を落とし元の色に戻し、兜とマスクは魔法で消滅させた。

 マントも消したけど、消そうとした時ステラがごねたので後で買ってあげる約束をした。


 甘やかしすぎてる気がするけど、私に付き合わせてるし少しくらいは許してあげてもいいかなと思ってる。


(クロエちゃんって変な子だったね)


(以前見た時はあそこまで変じゃなかったよ。きっと今日までの間に何かあったんだよ)


 前に会った時と違うところを上げるなら前は子供っぽさはあまり感じなかった。


(デシリア私に言ってたでしょ、村の人達がクロエちゃん達のこと気味悪がってるって。だから今日ああなったんじゃなくてその時にはもうああだったんだよ)


 確かにあの時点で村の人達はそう言ってたんだよね。

 でも私にはクロエ達が“普通の人”という先入観があるからか変ではないと否定したくなる。

 人に害を与えてないし変と呼ぶのには抵抗がある。


(でも執事は普通だったでしょ? クロエだけ見て気味悪がるなんてことあると思う?)


(あるんじゃないかな、というか執事も少し変だったよ?)


(そう……なの?)


(だってあんな怪しい格好の私達を躊躇なく家の中に入れたんだもん。変だよ)


 好意的に捉えれば身長の低い姿を見てクロエの友達が訪ねて来たと思ったはず。なのだけどあの対応はやはり変なのか?

 執事の喋り方からは特別何も感じなかったけど。


 否定したい気持ちを飲み込んで、クロエのお父さんのことへ話題を移す。


(だとするとお父さんも変な人かもしれない……か)


 以前は話したことは無かったけど幽霊の時にクロエのお父さんを見たことがある。

 変かどうかは喋らないと分からないのだろうけど行動や姿から変わったところは見られなかった。


(お父さんで思い出したけど、クロエちゃんって執事とお父さんと3人で暮らしてるんだよね?)


(前に来たときはその3人しかいなかったよ)


(あの子お母さんの話をしてたけど別居してるのかな?)


(いや、お母さんはいないって前は聞いたけど……?)


 以前は私は幽霊ということもありクロエとは魔法で話をしていた。幽霊で魔力の少ない私は長時間の会話はできなかった。

 とは言え最低限の話はしたのだけど、その時にお母さんがいるという話はなかった。

 お父さんと執事と3人で暮らしているとしか聞いていない。


(お母さんの料理を手伝っているってどういう意味なのかな?)


 そういうこと言ってたね。確かにクロエはお母さんの料理を手伝ってると言っていた。

 いないなずなのに何を手伝うというのか? 

 実はお父さんがお母さんでもあるとか? 何考えてんだ私、意味分かんないよ。


 というかもう会わないんだからこんな頭の痛くなることを考えるのはやめるとしよう。


(ステラ、考えるのやめにしよう。もう終わったことだから)


 そう、私の用事はもう終わった。クロエがどんな子かは重要じゃない。

 彼女が誰かに助けを求めているわけでもない以上は私が余計なことをするわけにもいかない。


 私は彼女の保護者ではないのだ。


 なんとなく姿を見たくなっただけだし普通に生活してるのだからこれでおしまい!


(そういえばこの村には色々な研究施設があるみたいだし、寄ってみる?)


 私は気持ちを切り替えるために別の話題をステラに振った。


 前にこの村には来たことはあってもまだその研究施設とやらは見ていない。

 ステラは私の案に興味深そうに食いついてきた。


(ルイザちゃんの所にも行きたいから急ごう!)


(ステラはお腹は空いてない?)


(まだお腹減ってないから大丈夫)


 研究施設はギルドを挟んで館とは反対側に遠くにあるのでステラは走り出した。

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