6 事情説明 2
ケミーは子供たちの中では年上の方だからしっかりしてるのかと思ってたけどそうでもなかった。
しょせん14歳。数字だけを見るとやっぱり子供だよね。
ケミーがいない方が支障なく進みそうなので部屋に戻らせることにした。
「ステラちゃん、頑張ってね~」
去り際のケミーの励ましに私は半眼で手を振って送った。
その直後ステラはケミーに対してこう漏らした。
(ケミーさん、なんか怖かった)
私も怖かったよ。どこが気に入られたんだろうか。
助けたからか?
あの好意はちょっと普通じゃない気がするな。ステラのためにも変な事されないように気を付けよう。
* * * * *
「――その正義のヒーローが元勇者候補生なのではって話は聞いたことありますね。まぁその話は置いておきますか」
適当にでっちあげたヒーローなんだけど似たようなのが存在してるようだ。
でも勇者ではなく勇者の候補生? しかも元? なんだそれ。
(ステラは勇者って聞いたことある?)
(勇者候補生のことならお姉ちゃんから聞いたことあるよ、お姉ちゃんと同じくらい強いんだって)
(そうなんだ)
(うん)
(……)
(……)
え? それだけなの?
(他には何か知らない?)
(うーん、それしか知らない)
(あ、うん、ありがとう)
本当にそれだけとは。
ステラのお姉ちゃんさぁ、他に何か思う事なかったのかな?
カッコいいとか、優しいとか、オシャレだったとか。
いや、もしかしたら他に特徴も無いから強かったしか感想が出てこなかった可能性もあるか。
まぁ、今は勇者候補とかいう情報は必要ないから頭の隅に置いておこう。
「あの、私達のほとんどは身寄りがないので私はともかく他の子を孤児院に入れてあげたいのですが……」
マリアは1番望んでいることを伝えた。
こういう面倒事は嫌そうな顔で対応されたりするんだけど職員の男は親身になって聞いてくれていた。
この人が優しいのか冒険者ギルドの方針なのか、どっちなんだろう。
話し合いの結果、孤児院のある町の冒険者ギルドに連れていくことが決まった。孤児院入りは確定だけど、どの孤児院に入れられるかはこれから調整するらしい。
ステラは孤児ではないので家から近い冒険者ギルドに送られるようだ。
子供達を運ぶ鳥車の手配に時間がかかるらしくいきなり出発もできないようでしばらくはこの村に滞在することになった。
あっという間の解決に私は安堵した。
まだ外は明るいので剣を買い取ってくれる店を探しに外を出歩くことにした。
外は危険だと言われてるけど私が表の状態――体を動かせる状態――なら問題ない。
(ねぇステラ、こんなあっさり解決すると思わなかったね。私の時代にはギルドなんてないからこんなド田舎でどうにかしようと思ったら1年単位で時間がかかるようなことだよ)
私は安堵の気持ちをステラにぶつけた。
生前にも似たような状況があったけどかなり苦労したなぁ。
(そういえばデシリアっていつの時代の人なの?)
ステラからそんな疑問が飛んできた。これから先、私に対する質問がいっぱいくるんだろうな。
別に嫌でも無いので答えることにした。




