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#01H モキナ

少しおもたい話になります。

感受性の強い方は、お読みになる場所と時間帯にお気をつけください。


いくつか、フラグを回収します。

ウリ



―― “王の居ない王国”からはるか南の岬に、わたしたちは住んでいました。 そこは年中風が吹いていて、冬場は寒くて辛い過酷な場所。 でも、春になれば、一斉に草花は咲き乱れ、たちまち辺りは命で満ち溢れて輝きだす。 夏から秋にかけては、穏やかな時間が流れて、そして、また凍てつく冬がやってくる。 わたしたち家族は寄り添って生きていて、とても幸せでした。

この子には2人の姉がいたんです。 とても甘やかされて育ったから、わがままで、寂しがり屋で… そんなもので、この子の父はいつもこの子の将来を気にしていました。


―― そして、あの日。 村のあちらこちらで煙が上がって、村はずれに住んでいたわたしたちにも、すぐに知らせは届きました。 超越種と人族の軍隊が村の家々を襲って、住民たちに有無を言わさずに『鍵の在処を言え』とだけ言い、知らないと言えばその場で首をはねられたと… 

知らせてくれた人たちと一緒に、わたしたち家族も逃げ出しました。 わたしは、用意していた昼食を包んで持って、この子とその姉たちと夫と家を飛び出し、向かった先は、とりあえず裏手の丘の谷へ抜ける洞窟。 村から離れることが先決だと急ぎました。


―― ですが、夫の千里眼で見渡した岬の状況は絶望的でした。 全体を軍隊に取り囲まれていて、海にも陸にも逃げ場はありませんでした。 空には、ドゥーラナスが放たれていて、旋回して動くものを捉えようと探していました。 わたしと娘たちの短距離の未来視でも逃げ場はなく、超越者の放つ魔獣たちに見つかって、全員が終わる未来が迫っていました。 兎にも角にも、時間が足りませんでした。


―― わたしたちは、決断を迫られていました。 それは、種の保存という選択。 血の中に鍵を預かるわたしたちは、決して滅びてはいけない。 いつの日か、種族の中の誰かに現れる神々から託された誓いの地へとつながる鍵は、この世界に住むすべての生き物にとっての希望なのだと。 だから、未来へ繋がなくてはいけないと。


―― 洞窟の入り口には、私たちの他にも10家族が辿り着いていました。 そこにいた誰もが、その残酷な決断を迫られ、躊躇しながらも、受け入れていきました。 わたしたち家族も同じでした。 家族の中で誰か1人だけ。 1人だけをこの地より遠くの地へ送り出し、生き延びさせる。 夫も娘たちも、私も... 迷いながら、一番幼いこの子を生かせる決断をしました。


―― それでも、どうしたらいいのかわかりませんでした。 それは、夫も娘たちも同じだったみたいです。 周りの人たちからも、聞こえてくるのは嗚咽ばかりで、その答えを知る者は誰もいませんでした。 いなくなった神の遺言とはいえ、幼い我が子からすべてを奪ってまで、生かさなくてはいけないその運命を、わたしは、呪わずにはいられませんでした。


―― この子を送り出す前に、記憶を奪う必要があったのです。 この子が飛ばされて降り立った先で、たった1人で生きていくためには、愛しい家族を失った痛みはあまりに大きく、耐えられないものになる。 だから、未来へ希望をつなげるために、家族と過ごした記憶だけを消し去る。 理屈は誰もが分かっているのですが、心が追いついていかなくて、誰もが動けなくなっていました。 


―― でも、やがて、何処からか忘却の古代魔法の白い光が発せられて、止まっていたみんなの手も動き始めました。 この子の、ウリの記憶はわたしが自分の手で消しました。 かけがえのないわたしたち家族の過ごした時間は、この子の中にはありません。 2度と戻ることもありません。 あの時、この子の姉たちは、種族の役目を押し付けたことに胸を痛めていました。 まっさらになって眠るこの子を抱いて、何度も何度も謝って…


―― 命を賭して時空を捻じ曲げる古代魔法。 その個体に本来与えられている命の時間を全部費やして、数日だけ時間を戻す魔法。 夫と娘たちは、わたしに時間をくれました。 魔力量の多かった私たち家族は、3人だけでも2週間ほど時間をさかのぼることができたのです。 最後に夫と娘たちは、泣き顔を残して朽ち果てていきました。


―― わたしはすぐに、こころだけになってもこの子と繋がっていられるように、魔法印をこの子に結んで、体を捨ててこの子と飛びました。 どういうわけか、他の子供たちのように私たちは遠くへは飛べませんでしたが、人界の結界の中に降り立つことができました。 幸運でした。 あの場所には、危険な生き物も少なく、食べ物にも困らずに、この子は無事に、元気に育つことができました。


―― そうです。 ハンナさんと、皆さんと出会ったあの場所です。 皆さんが来られる何日か前から、ハンナさんの気配を感じていました。 もちろん、ハンナさんがわたしたちの村を滅ぼした超越種たちと同じ種族の末裔だということもあって、その存在を警戒していましたから余計に感じたのでしょうけど。


―― でも、ハンナさんが近づくほどに、温かくて優しい人だと気が付きました。 わたしの魔力も先が見えてきていたということもあって、危険はないだろうとウリのもとまでハンナさんを呼び寄せることにしたんです。 わたしがハンナさんに付いたのはその時です…




  少し前――

時計の針は、午前3時を過ぎていた。


  ハンナの眠るベッドの回りには、ナトをのぞいた全員が集まっていた。


セシリア 「そんなに声を押さえなくても大丈夫ですよ、皆さん?」


セシリアが『フフフッ』と笑いながら言う。


セシリア 「ハンナさんには、ぐっすり眠ってもらっています。 大成功です」


ジーナ 「ホント、すごいわね。 まるで、死んでいるみたい」


アリス 「ジーナさん、縁起でもないこと言わないでください。 こんな時に。 ねぇ? 優君」


優 「 … 」


ジーナ 「ハハ、ごめん、ごめん」


   セシリアは、ハンナには『朝になってから視る』と伝えていた。 それは、ハンナにリラックスしてぐっすり眠ってもらうために言ったようだ。

ハンナに施されている呪印が、ハンナの意識と身体を切り離しているのだろう。 セシリアが、ハンナの白い腕を持ち上げて落としても、ハンナは微動だにしない。

セシリアに言われて、ナトの隣で寝ていたウリを、優はそっと抱えて連れてきた。 ハンナの隣へ寝かされてウリは眠そうにハンナの手を握る。


セシリア 「少しだけ、皆さんは部屋を出ていただけるかしら? ハンナさんの体にもう少し呪印を足したいので、特に殿方は――」


言われてジーナたちが出ていき、リフォとスクが手伝ってセシリアが呪印を書き込んで行く。

左目から鎖のようにつながった文字は、目から耳、下に下がって右頬にも広がり、首から左肩、左胸、左の脇腹、そして、左の背中を伝ってぐるっと上へ戻って、左手全部に進み、最後は掌に到達して終わった。


セシリア 「大丈夫よ、ウリちゃん。 ハンナさんはもうすぐ良くなるわ。 安心して」


リフォが使わされ、ジーナたちが再び戻った時には、ハンナの上半身はクッションを背もたれにして起き上がっていた。

ハンナの左目は開かれていて、左手はウリの頭をなでていた。 ウリは何事か分からないまま、ハンナの左手に体をゆだねていて、ハンナの膝で眠そうにしている。


―― 「嬉しいです。 また、この子を感じられるなって」


セシリア 「よかったわ。 ハンナさんには断ってはいないけれど、ハンナさんなら言えば快諾してくれていたと思うわ。 でも、私の魔力の都合で左手までだけれど」


―― 「いえ、十分過ぎて、また、泣いてしまいそうです。 ありがとうございます」


セシリアはもう一度『よかったわ』と言って、話を進める。


セシリア 「じゃぁ、モキナさん? 皆さんがいらしたから、あなたたちのことについてお話をしてもらえるかしら?」


モキナ 「はい。 まず初めに、謝らせてください。 皆さん、お騒がせしてしまいました。 申しわけありません。 わたしはモキナといいます。 ウリの母です。 わたしからは『初めまして』ですが、わたしはハンナさんといたので、皆さんのことは知っています」


ハンナの声帯を借りて話しかけてくるモキナに、セシリア1人だけがほほ笑んでいて、ジーナたちは動揺を隠せない。 いろいろと聞きたいことはあるのだろうが、こらえて軽い挨拶だけにとどめて、話を聞く姿勢を取った。


ハンナの声のまま、モキナが言葉を紡ぐように静かに話し始める。


  そして、数分が経過した。


  必死で平静を保とうとしていたセシリアにも、ついに限界が来たようだ。 ポケットのハンカチに手を伸ばした時には、セシリアの両ひざにもしずくの跡が付いていた。 ジーナたちの方は、言うまでもない。 モキナたち家族の不幸と、モキナの心労を想えば当然のことだろう。


セシリア 「ごめんなさい、モキナさん。 私まで動揺してしまって。 呪印に“乱れ”はありませんか?」


モキナが答える前に、優が動いた。 ハンナの右側に移動して、ハンナの右目が泣き出す前にハンカチを頬に当てた。 ハンナの右手が優の手をぐっと握り返すと、両足を使って身動ぎをして、もう少し体を起こした。


モキナ 「大丈夫です、セシリアさん。 ハンナさん… ありがとうございます!」


モキナの方の目からも涙がこぼれて、それはセシリアがすっと拭いた。


セシリア 「ハンナさんが起きちゃいましたね。 ハンナさん? 確認です。 このまま続けても大丈夫ですか? 大丈夫なら右手を上げてください」


ハンナはセシリアに右手を振って見せた。 そして、ウリをなでるモキナの左手にもそっと手を添えて、優の元へ戻っていく。 セシリアがその仕草を愛おしそうに見て、モキナの左目に話しかける。


セシリア 「干渉が起きていないようなので、解かずにこのまま続けましょう。 モキナさん、お話の続きをしてください」


モキナ 「あ、ありがとうございます。 ハンナさんも、皆さんも、本当に良い方々ですね。 わたしは、心から感謝しています。 …そして、一度は呪ったこの運命にも…」


モキナは眠るウリに目線を落としながら続ける。


モキナ 「わたしは、あの森でウリが皆さんと出会った後に、何も言わずに消えるつもりだったんです。 でも、一目でいいから、大きくなったこの子を見てみたいと、欲に負けてしまいました。 それで、開眼したばかりの力のないこの眼に憑りついてしまいました」


モキナは申し訳なさそうに、言葉を切った。 そして、目を見開いて続ける。


モキナ 「でも、そのせいで、ハンナさんにつけられていた(つる)から、危険が近くにいることを知ってしまい、留まることに決めたんです」


そこに小さく手をあげて、アリスが『お話しても大丈夫ですか?』とセシリアに了解を取った。


セシリア 「はい、凄く安定しているので問題ないと思います」


アリス 「では。 わたしたちは、あなたに守られて国境を抜けられたのですね? あの時のことが、ずっと、不思議でした。 あの... ありがとうございました」


モキナ 「――いいえ。 至らないことばかりで…。 …思えば、ハンナさんに付けられていた(つる)に、わたしがもっと早くに気付いていれば、被害は少なくて済んだはずです。 サキュアプレートの罠も予測できませんでした。 アリスさんの大切な部下の方を死なせてしまったのは、わたしの責任です。 申しわけありません。 力不足でした…」


ジーナ 「ごめんなさい、モキナさん。 ジーナです。 詳しくお話していただけますか? モキナさんの能力と、アリスの部下の件についても」


モキナ 「はい。 わたしの能力は可能性の予知です。 正確なものではありませんが、差し迫った“確定的な未来”ならかなりの確率で当てることができます。 あの時、わたしには皆さんが全滅する未来が見えていました。 そして、それを回避するための“確率”の鍵は、一番にアリスさんの生存、次にダンテさんの生存が最低条件でした。 それを優先した結果、部下のお2人が亡くなってしまいました」


ジーナとアリスが『なるほど』と納得するのを見て、セシリアが口を聞く。


セシリア 「ごめんなさい、口を挟んで。 モキナさんはどのようにして、その確率を皆さんに伝えたのですか? 自らが現世と干渉できる能力をお持ちなのですか?」


セシリアがした質問には、アリスとジーナ、そして、サテラが『あっ』と強く反応した。 でも、優がハンナの髪をなでながら、『大丈夫だよね?』とハンナの右目をのぞいて聞いて、ハンナがまばたきと右手で優に答えた。


モキナ 「はい。 アリスさんたちがご存じの通りです。 ちょうど、サキュアボムの衝撃でハンナさん本人が気を失って、その時に“他のハンナさんたち”が手伝ってくださいました。 ですから、わたしの声を皆さんに届けてくださったのは他のハンナさんたちで、彼女たちの能力です」


分かっていても驚いてしまうジーナたちと、『なるほどぉ』とセシリア。 そして、ハンナの隣の優は、『ふふっ、納得』とハンナを見ながら笑っていた。 思うことがあったのだろう。 ハンナの目もパチリっとまばたきをした。


そこに、『ぐ~っ』とウリの小さないびきが聞こえてきて、場が和む。


モキナ 「そして… わたしはハンナさんの目から去るタイミングを逃してしまい、『もう少しだけ、もう少しだけ』とここまでついてきてしまいました。 でも、本当ならとうにハンナさんの左目に繋いだ魔法印は消えているはずなんです。 それを今も“他のハンナさんたち”が、わたしのために無理にとどめてくれていて、今日までここにいられました」


モキナは、ふふっと嬉しそうに笑った。


モキナ 「ハンナさん、ありがとうございます。 本当にハンナさんに会えて、皆さんにも会えて、ウリを見ながら旅をして、わたしは幸せでした。 もう、十分です」


そう言って笑うハンナの顔からは、右目だけから涙がこぼれた。


モキナ 「あ、わたしがこの左目を泣かせてしまった理由を話しますね。 もう、分かっていただいているかもしれませんが、聞いてください」


一同がうなずいて、モキナが静かに話し始める。


モキナ 「ふふふ、本当に嬉しくて、嬉しくて… 入国審査局でハンナさんがウリを自分の子供にするって粘ってくれて。 そして、それが認められて、この子に新しい苗字が付けられることになって、わたしは本当にこの子を見守ることから解放されたのだなって思いました。 もちろん、それまでだって、ハンナさんのことを、皆さんのことを疑っていた訳じゃないですよ。 でも、あの瞬間に、ふっと、これまでのことが思い起こされてしまって…」


モキナ 「わたしが、この子のためにしてあげられたことは、この子のもとへハンナさんを呼び寄せたことだけなんです」


モキナは遠くを見るように、宙を見つめた。


モキナ 「…あの森に降り立ったばかりのこの子が、おなかを空かせてはじめに口にしようとしたのは毒キノコでした。 わたしは、それを止めることもできずに、後で、おなかを抱えて苦しむこの子を感じているのはとても辛いものでした。 嵐が来て、ずぶぬれで震えながら眠ることもありました。 幼すぎたこの子はまだ、言葉を知りませんでしたから、淋しさからか自分で音をつないで独自の言葉を使うようになりました。 大きなバナグに狙われたあと、音に怯えて何日も逃げ惑うことも… 本当のことを言うと、いっそのこと死んでくれたら一緒に連れて行けるのにって、何度思ったことか… それでも、わたしにできることは、夫と娘たちの分までこの子に寄り添うことだけでした」


モキナ 「そんなことを思い起こす内、たまらなくなってしまい、嬉しさと過去の辛さを思い出してしまい、入国審査局の出口まで我慢することが限界でした」


再び、目をはらすジーナたちは『なるほど』と納得した後、大きなため息をついた。


モキナは、一度深呼吸して間をおいて、『皆さん、本当にありがとうございました』とお礼を言った。

その先のモキナの言葉を予想して、優の手を握るハンナの右手に力が入る。


モキナ 「ウリは皆さんと出会うことができました。 これ以上、わたしがここに留まる理由はなくなりました」


「「「「「「 !? 」」」」」」


セシリア 「若いハンナさんの体に留まることが心苦しいのなら、私の体におとめしますよ? こんな歳ですから、見られて困るようなものもありませんし、私は貴女と別れるのが悲しいわ。 期限はあるでしょうけど、まだ、しばらくウリちゃんの成長を見ていられるわ。 どうか、余生だと思って――」


モキナ 「ありがとうございます、セシリアさん。 お気持ちは本当に嬉しく思います。 でも、わたしは夫と娘たちのもとに戻りたいのです。 そして、こんなにも幸せなウリの今を、一刻も早く伝えたいと思います。 夫と娘たちは、“神の墓標”で私の知らせを待っています。 遠いのでたどり着くまで大変ですが、これまでのことから比べたら何でもありません」


モキナはそう言って楽しそうに笑った。


セシリア 「そうですか。 わかりましたわ。 フフッ、でも、貴女とはまたいつかどこかでお会いしたいわ。 ねぇ、皆さんも」


ジーナたちもセシリアとモキナにうなずいて答える。


ダンテ 「はい、最後になってしまいましたが、私からもお礼を言わせてください。 こちらこそ、本当にありがとうございました。 貴女のおかげで今私たちはここにいます。 旅立たれる前に、ご家族のお名前を教えてください。 ウリが大きくなった時に話して聞かせたいのです。 そして、何か遺言のようなものがあれば、どうか、遠慮なさらずにおっしゃってください」


モキナは微笑んで、穏やかにまばたきをして話し出した。


モキナ 「ああ、そうですね。 ありがとうございます。 では、お言葉に甘えさせていただきますね。 ウリがもう少し大きくなって分別が付くようになったら伝えてください。 夫の名前はウラウ。 ウリの9つ上の姉はアイラで、7つ上の姉はノエです。 わたしたちがどれほどウリのことを愛しているかを伝えていただけると嬉しいです」


モキナはにっこりと笑って言った。 アリスがジーナに言われてメモを取って、モキナに笑顔を返す。


モキナ 「もう一つ、よろしいですか? ウリに言葉を教えてください。 この子は、わたしたちの世話が過ぎたせいか、5歳になっても言葉を話しませんでした。 ハンナさんたちと出会って、今では念話の能力が発達してしまって、もっと、言葉が要らなくなってしまっています。 このままでは将来が心配なので、どうか、よろしくお願いします」


ジーナたちが『わかりました』と答えて、ハンナが右手でウリの頭をさすってモキナに答えた。


モキナ 「ごめんなさい。 もう一つだけ。 もう少し大きくなったら、ウリには同族の女の子を探す旅に出かけるように言ってくださいますか? そして、いつの日にか、家族を持ってほしいと… あっ、でも、一番にわたしたちが望むことは、ウリの幸せで…」


モキナは言っていて、『きりがないですね』と苦笑した。 ジーナが『私たちに任せてください』と笑って言った。

モキナが笑って『お願いします』と答えた。


モキナ 「こんなに清々しい気持ちになれたのは、本当に久しぶりです」


それに、頭をなでられていたウリが答えるかのように、『もごもご』と何かを言って、『プっ』とまた場が和んだ。


   時計は午前4時を回っていた。



もう1話アップします。

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