#01F 外界人地区 宿
ハンナのステータス異常とドワーフの宿屋の風景です。
異変
それは、入国管理局の出口に立ってから起こったらしい。
ハンナの蒼い方の左目が、突然に涙を流し始めた。 夕暮れ時で、他の者たちは誰も気が付かなかった。
ハンナは右目をぬぐいながら馬車に乗り込み、ハンカチで拭いていた。 ハンナはそれをアレルギーか何かだろうと考え、特に気にしていなかった。 だが、ハンカチがべったりとぬれてしまっても、涙は止まらなかった。
スク 「リフォ… ハンナさんが」 リフォ 「えっ?」
最初に気付いたのは、並んで座っていたこの2人だった。 ハンナの顔色が良くない。 それを見た、ジーナが叫ぶ。
ジーナ 「ダンテ! 宿までどのくらい?」
ダンテ 「あと、15分と案内符には出ているが、どうした?」
ジーナ 「わかったわ。 このまま行って。 ハンナのようすがおかしいの」
ダンテ 「わかった。 少し飛ばそう。 オーマ、行けるか?」
振り向いて話を聞いていた老人はうなずいて答える。 ダンテの隣から優がいなくなる。
ジーナ 「ハンナ、目を見せて?」
ハンナが反応するよりも先に、ウリがジーナに答えてハンナの左手とぬれたハンカチを取る。
ハンナの右目は、赤く腫れている。 もちろん、それは正常な反応だ。 泣いているのだから。
『ハンナ』と名前を呼びながら、優が幌の中へ入ってきた。
優はハンナの隣へ行って話しかける。
優 「気分が悪いの? 少し横になろう?」
ハンナ 「うん。 …少しだけ、めまいがする。 でも、大丈夫。 このまま支えてて」
ハンナは優にもたれ掛かりながら、少しだけ体を傾けて上を向く。 優がハンナ肩に手を回して、右目を覆っていた髪の毛をよけた。 ハンナの金色の右目が現れる。 だが、やはり、泣いているのは、左目だけ。 ハンナはアリスからもらった新しいハンカチを左目にあてる。
アリス 「ハンナ? 何かいる? 薬か何か必要なら言って?」
アリスがおどおどと言って、ハンナがまた『大丈夫』と答える。
アーネ 「きっと、あのドワーフどもから受けたストレスのせいよ。 ハンナ? 私もいるから何でも言って」
アーネなりの励まし方なのだろう。 ハンナは左目を押さえたまま、笑ってありがとうと答えた。
ジーナが脈を診て、ハンナの額に触りながらサテラに聞く。
ジーナ 「サテラ、これはアナタのと同じかしら?」
サテラ 「いいえ、違いますね。 ハンナ? あなた自身が悲しいわけじゃないでしょう?」
ハンナ 「ええ、サテラさん。 気分は優れないけど、私が悲しくて泣いているわけじゃないです。 でも、大丈夫です。 さっきより少なくなりましたから、たぶん、もうすぐ止まります」
ハンナが答えて、ウリが心配そうに寄り添う。 ハンナが笑ってウリの頭をなでる。 ナトが水筒からお水をついで、何も言わずにハンナに渡す。 ハンナは受け取って飲んでナトにありがとうと微笑む。 普段と違う金色の目のハンナはだいぶ雰囲気が違う。
ハンナ 「大丈夫よ、みんな… 私は今、涙が出すぎたせいでちょっとだけ貧血を起こしてるの。 それだけ… はじめは、何かのアレルギーかなって思ったんだけど――」
ハンナが優たちに状況を説明する。 それが終わると、セシリアが言った。
セシリア 「貴方? これは、憑き物の可能性があるかもしれないわね」
ミエス 「そう感じるか?」 セシリア 「…ええ」
ジーナたちが驚いて、ミエス夫妻を見る。
ミエス 「おっ、ああ、すまない。 セシリアは少しだけ交霊術が扱えるのだ。 ワシもセシリアほどではないが、時々ハンナさんの中に特異な魔力を感じることがあった。 セシリアもこう言っておるから、試してみるのもいいかもしれん。 だが、まずは、人族の医術者に診せるのが先であろうな」
ジーナ 「なるほど。 サテラ、確認だけど、どう視る?」
サテラ 「何となくですが、ミエスさんたちの方向ではないでしょうか? それに医術というなら、ハンナ自身がそれです」
ミエス 「確かに…」
ハンナ 「私も… 言われてみて、ちょっと怖いですけど、ミエスさんたちがおっしゃる方向のような気がします。 それに、思い当たることも…」
優 「――あの、国境の森?」
ハンナ 「うん、そう… あの時の感覚に似てる。 あの時、私にウリがいる所を教えてくれていた――」
ジーナ 「――セシリアさん、お願いします」
セシリア 「はい、じゃぁ、部屋に着いたら視てみましょう」
セシリアが穏やかに答えたのと同時に、馬車はゆっくりとスピードを落として停車した。 御者台のダンテが誰かと話しているのが幌の中に聞こえてくる。 そして、再び動き出し、すぐにまた、停車した。
ダンテが幌に飛び込んでくる。
ダンテ 「ハンナ! ジーナ? 大丈夫か?」
ジーナ 「…ええ。 緊急ではないようよ。 宿に着いたのね?」
ダンテ 「ああ。 だが、医者の手配は必要ないのか?」
ジーナ 「必要ないと思うわ。 ミエスさんたちに診てもらうことになったの。 あとで説明するわ。 降りましょ?」
ハンナ 「ダンテさん。 ありがとうございます。 左目は収まってきましたし、気分はだいぶ良くなってきました」
ダンテ 「あぁ、それならいいが… … よし、みんな、降りよう」
ジルガスの上に御者の精霊がいる。
アリスがそれに向かい合っている。 アリスの後ろに、ダンテたちが並んでいる。
ダンテが自分のとアリスのキャリーバッグを2つ、ジーナが自分のとウリを抱えたナトの分を2つ、サテラがハンナの分をもって2つ。 優がハンナを支えながら自分の荷物を持つ。 そして、ミエスたち家族5人が並ぶ。
オーマははじめに、ハンナの容体をアリスに聞いていたようだ。 アリスが振り向いて、ハンナが気付いてオーマに大丈夫だと手を振った。 その後も、2・3アリスと話をして、オーマは全員に向けて頭を下げた。
ダンテが代表してオーマに感謝の気持ちを伝える。 オーマは深く腰を折ってダンテとアリスに礼をした。
オーマが手を広げて、円形の契約印を宙に出す。 アリスがそれに手のひらをあてて文字を添えていく。 ダンテの家の倉庫で契約を交わしてから、ここまで40日がたった。 これで、オーマとの契約は全て終了だ。
オーマは、ダンテたちの拍手に見送られながら、元の世界へ戻っていった。
『ごめんね、時間を取らせて』とハンナに言ったアリスは涙目だった。 『師匠、私もお別れはしたかったんですよ』とハンナはアリスに返した。
ダンテとジーナが先にエントランスの扉を開けて中へ入っていった。
宿の勝手がわからないので、ハンナたちは外のベンチで座って待っていることにした。
ハンナにはサテラがついていて、その横にちょこんとアリスが座っている。 アーネとその妹たち2人は立って、フラフラとしている。 座っているのが退屈なのだろう。
優はジルガスたちを馬車から外してツナギ場へ連れて行った。
カルベたちの横にジルガスたちも寝床を作ってもらう。 優は自分の家でしていたように、ジルガスたちに干し草を敷いてやり、置いてあったバケツで水を飲ませた。
宿の駐車場は高い塀で囲まれていて広い。 だが、肝心の宿泊施設が何処にあるのか分からない。 駐車場の角にあるエントランスと書かれている建物はそれほど大きくはない。 アリスとアーネたちは不思議ねと話していた。
優が戻ってきてハンナは優の首に手を回して立ち上がった。 『座ってるのに疲れちゃった』と言ったが、優とくっついているための口実かも知れない。 そしてこの頃、優と距離を縮めてきたアーネたち姉妹をハンナは少し牽制している。 ハンナにもいろいろと思うところがあるのだろう。
しばらくして、ジーナが『すっごいわよー』と明るい声を出しながら外に出て来る。
ジーナ 「ここの宿泊施設は、地下なの! この地面の下よ? 部屋にプールも付いてるって。 行きましょ、ダンテがカウンターで待ってるわ」
ジーナの声につられて、一気にテンションが上がる。 ナトとウリはミエスの手を引いて駆けだした。 アーネたちも続く。
ジーナが優に抱き付いたハンナの額に手を当てて、『大丈夫そうね』と言う。 ハンナが悪戯っぽく笑って見せて、ジーナがふふっと笑って『行きましょ』と背中を押した。
宿のカウンターでは、アーネが固まっていた。
当たり前のことだが、今いる所は外界人地区でここはドワーフ族の領域。 宿の主もドワーフだ。 アーネは入国審査局の一件で少々ドワーフたちにアレルギーになっている。 アーネにはこのカウンターのつくりもいちいちカンにさわるのだろう。 カウンターはフロアの床よりも高くなっていて、客はアテンダントのドワーフに見下ろされながらの対応になる。 固まって震えているアーネの代わりに、セシリアがアーネの分のチェックインを済ませた。
セシリア 「ねぇ、貴方? この子はPRAMONESに住むのは無理そうよ?」
セシリアがミエスに言う。 セシリアはアーネの腰に手を当てて押しながら横を歩いている。
ミエスの方は、ナトとウリに手を引かれながら『まだ、先のことだ』と苦笑いする。
エントランスから地下1階には、坂道になっている廊下を歩いて下りた。
110と書かれた扉はエントランスから、かなりの距離があった。 だが、荷物は案内係のドワーフがカートに乗せて運んでくれた。 天上も高くて廊下も広い。 『入ってきたばかりなのに、地下だってことを忘れちゃいそうね』とジーナが屈託のない声を上げる。 それにはダンテたちだけじゃなく、案内のドワーフの青年も思わず声を漏らして笑う。 ドワーフの青年は扉の鍵を開けて『ごゆっくり』と言うと、ダンテにキーを預けて戻っていった。 2枚扉の片方を開けてダンテが中へ入る。
部屋の内側は煌々とライトがついていて、広々とした中庭に出た。 くつろぐための、リビングのようなスペースと、大きなプールがあって、その中庭の周囲を8つの部屋が囲んでいる。 部屋の内装はシンプルで、あるのはベッドルームとユニットバスとトイレだけだが、部屋ごとに色がモノトーンでまとめられていて、落ち着いた空間になっている。
宿に予約してくれた入国審査局が14人分と予約をいれていたので、1部屋に2人ずつで、計7部屋が用意されていた。 8部屋目にはかぎが掛かっている。 1番から、ミエスとセシリア、スクとリフォ、ダンテとアリス、ジーナとサテラ、ハンナとアーネ、ウリとナト、そして、優が1人で7番目になっていた。
ジーナ 「すごいでしょう? 何か突然旅行気分になっちゃったわ。 難民の旅路がリゾートにつくことがあるなんて」
女性陣はジーナの笑い声につられて笑う。 しかし、そこに、ダンテが水を差す。
ダンテ 「あっと、それは良いが、みんな聞いてくれ。 入国管理局のケイブさんの話では、宿の手配だけをしてくれたと言っていたよな?」
全員がうなずくと、ダンテは続ける。
ダンテ 「そうだ。 だが、この部屋代は支払われていると言われたんだ。 しかも、2日分も。 ここはVIPルームだから、一晩で銀貨30枚もするらしい。 はしゃぐのもいいが、あまりに待遇が良すぎるから、少しこのことを頭の片隅に置いておいてくれ」
ミエス 「何か裏があると?」
ダンテ 「よくわかりませんが、その可能性が高いと思います。 幸い敵意はないようですので、何かしらの交換条件があると言ったところだとは思いますが…」
ミエスが『なるほど』と答えて、皆もうなずいた。
そして、『大人の話は長い』とナトとウリが急かした。
ハンナはセシリアたちに手伝ってもらって、シャワーに入った。 中庭では、そのままプールに飛び込もうしたナトたちが、『シャワーが先!』とジーナに叱られていた。
ミエスとナトとウリはさっそくプールに行き、ダンテとアリスは荷物を置いた後、馬車に警報機と結界印を張るために駐車場まで戻っていた。 その他の者は、ハンナとアーネの部屋に集まっていた。
楽な服装に着替えたハンナはベッドに仰向けに寝かされている。 リフォに呼ばれて枕元に座らされている優がハンナの右手を握っている。 シャワーから出たばかりの優の黒髪はまだ少しぬれていた。
セシリアが『急がせてごめんなさい。 私はせっかちだから…』と頭を下げる。 『いいえ、よろしくお願いいたします』と答えた優だが、セシリアはその間も手を休めずに動いていた。
ペンでハンナの目の回りに文字や記号を書いていっている。 『何かあるといけないから』とセシリアは鼻歌まじりに言う。 ハンナを守る結界のようなものだろう。
セシリア 「ごめんなさい。 皆さんが心配してるのに、私は不謹慎ですね。 私が機嫌よくやっているのって」
ジーナたちは『いいえ、とんでもない』と頭を下げる。
セシリア 「ふふふ、ごめんね、ハンナさんも。 でもね、これは私の流派の作法のようなものなんです。 憑き物は明るく暖かく祓いなさいって」
ハンナ 「あ! 私も同じようなことを習いました。 医術の治療も同じです」
セシリア 「あら? それは、面白い一致ですね。 ふふふ。 でも、私の場合、半分は皆さんのお役に立てることが嬉しくって、こうなっているんですよ。 ごめんなさいね」
ハンナが『いいえ』と答えて、セシリアは『よし!』と筆をおいた。
セシリア 「それじゃぁ、視ていきますね」
セシリアがリフォたちに持ってこさせた荷物からマイクロスコープを取り出して、胸の前で魔素を集めるとマイクロスコープに取り付けられた小さな魔石が輝きだした。 『眩しいけど我慢してくださいね』とハンナの左目をのぞく。
ハンナの目の上につけて、2・3回グリップを回すとセシリアはうんうんと声に出してうなずいた。
セシリア 「… これは... 間違いないです。 憑き物の類いですね。 …ジーナさん」
セシリアに言われてジーナはマイクロスコープをのぞき込む。
ジーナ 「模様? 文字かしら? 薄く浮き出ているように見えますけど」
セシリア 「ええ、文字だと思います。 でも、浮き出ているというよりは、消えかけているように私には見えます」
ジーナ 「そうなんですか... それで? これは呪術か何かの跡だということですか?」
セシリア 「たぶん、ですけど… 呪術と言うよりは魔法です。 かなり古いもののようで、魂をつなぎとめるものだと考えていいと思います」
ジーナ 「じゃぁ、やっぱり... 霊体がハンナの目の部分に憑依しているということですか?」
セシリア 「ええ。 詳しいことは今から見てみますが… ハンナさん? 今までは特に不調はなかったのですよね?」
ハンナ 「はい。 まったくありませんでした」
セシリア 「そうですか。 じゃぁ、憑き物と呼ぶのは可哀そうですね。 悪いものじゃなさそうですし」
ジーナ 「そうなんですか?」
セシリア 「はい。 これだけ長い間憑いていて、今まで何もしてこなかったということは、悪意がないということだと考えていいでしょう。 ですが、突然泣き出した理由は気になりますよね。 視てみましょう」
一同が大きなため息をついた後ろで、『よかった』とアリスの声がした。 駐車場から戻ってきたところだ。
セシリアがふふっと笑った。
セシリアがスクに、『糸の準備はできてる?』と聞くと、スクは『はい』と答えながら細い針をそっとセシリアに手渡してきた。
針の頭から髪の毛よりも細い糸が出ていて、それが重力に逆らうように浮いている。 セシリアは針をもって糸に触れないように、ハンナの方に振り返った。
セシリア 「ハンナさん。 この針をほっぺにさしますから、ちくっとします」
ハンナ 「大丈夫です」
セシリア 「ふふっ、絶対に傷は残らないので安心してください」
セシリアは笑って、トンと針を刺した。 ハンナの反応はなかった。 一同が見守る中で、セシリアは浮いている糸の先端をパクっとくわえて、目を閉じる。 1分ほどそうしていて、目を開けると言った。
セシリア 「女性ですね。 控えめで穏やかな性格をしているように感じます… ですが、今は深く眠ってしまっています」
セシリアは言いながら針をすっと抜いて、浮いている糸をクルクルっと集めると、スクが手渡した紙に糸に直接触れないように挟んだ。 それをスクが受け取って鞄にしまい込んだ。
セシリアは、ハンナの額から左目と頬に手を滑らせて、『明日にしましょ』と明るく言った。
ハンナが体を起こすと、『明日、どうして泣いていたのか聞いてみましょう』ともう一度言って、セシリアも椅子から立ち上がった。
ハンナ 「あの? やっぱり、国境の森からずっと私についてきたんでしょうか? 何のために…」
セシリア 「…状況から考えて、ウリ君と関係があるのは間違いないでしょうね。 何か大きな心残りがあったのでしょうね…」
ハンナ 「あった? もうなくなったということですか?」
セシリア 「あっ、ごめんなさい。 私の勝手な推察です。 明日、起きたら聞いてみましょう」
セシリアはにっこりといつものように笑って、道具を片付け始めた。
ハンナが鏡に映った自分の顔に気付いて『あっ』という。 セシリアが言うのを忘れたと謝った。
セシリア 「ごめんなさい。 明日また一から書くのが面倒だから、さっき、保護したんです。 顔を洗っても大丈夫ですよ」
優が『ふふふっ』と笑って、『アマゾネスみたいでかっこいいよ』とハンナをからかって、優の太ももにモミジができた。
ハンナは金色の右目を残して、前髪で左目を覆って隠した。 セシリアの書いた魔法印はちょうど髪に隠れた。
ハンナが、『あっ』と何かを思い出した。
皆がハンナに注目して静かになった時、部屋の入口の方から『ぐ~』と聞こえた。 アリスのおなかだ。
ハンナとアーネの部屋が、大笑いに包まれる。 アリスがおなかを押さえて恥ずかしそうにもっと小さくなる。
アリス 「ハンナ? 何だったの、さっきの『あっ』は?」
皆に笑われて顔を真っ赤にしたアリスが、居た堪れなくてハンナに注目を戻す。
ハンナ 「はははは、そろそろ師匠のおなかが鳴ってる頃だと思った所だったんです!」
ハンナがおなかを抱えてアリスに返す。 また、アリスに笑いが集中砲火された。
息を切らしたジーナが、『アリス、ごめんね。 でも、面白かった』とアリスの肩を叩いて外に出る。
そこに、ナトとウリがかけてきて『ママ、ごはん』で、3回目の笑いが起きて、ジーナが床を転がった。
ダンテ 「ああ、ご飯にしよう。 みんな、着替えて出かけよう。 食堂はエントランスの2階だ」
ダンテがふくれているアリスをお姫様抱っこして、部屋を出ていく。
アリスの甲高い声が、『もう! こんな時だけ』と言うのを聞いて、ハンナとアーネの部屋にまだくすぶっていた笑いの火の粉たちは、各部屋へ散っていった。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
また、
遅れてしまいましたが、DMを下さった方、評価を下さった方、感謝です。
次回は、7月27日に投稿を予定しています。 よろしくお願いします。