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訓練開始 1

何話分かのお話を1話にまとめてみました。 長いです。 そして、あとで書き直すかもしれません。

お話の中で、『効率を上げる』というような表現がありますが、=『エフィカシー』とさせて下さい。 言葉を変えると文面が変わってしまうので、ダンテの表現としてそのままにします。

ありがとうございますm(__)m

競技場 1



4ブロックほどの大きさの人工池があって、その池の周囲を囲んで競技場のトラックが整備されている。 トラックの内側の円周は1.000mくらいだろう。

ベージュ色に塗られた内側のトラックラと人工池の間に芝生のスペースがあって、ダンテたちはそこに集まっていた。

イアナたちがついて、ファニアが『お待たせしましたー』とダンテに挨拶をした。

スポーツウェア姿のダンテは『お疲れさん』と声をかけて、イアナたちに荷物と首から下げた学生証のカードをベンチにしまうように言った。 ベンチには背もたれがなく、その腰を下ろす部分の下側がロッカーになっていた。


ダンテ 「さぁて、みんな。 注目してくれ、始めるぞ。 今日から30ヵ月だ。 まぁ、初めに何をするかというと、まわりを見てもらえば明らかだな。 そうだ。 走るんだ。 すべての基本は、走ること。 走ることから、いろんな可能性が広がっていく——」

 

『もう?』 『やっぱり』 『 はぁ… 』


訓練生の半数が嫌な顔を隠せなかったようで、ダンテが苦笑いする。


ダンテ 「——みんなの苦手意識はわかる。 この中には、走るということが日常でなかった者も多いことだろう。 だが、これを避けては通れないんだ」


特に憂鬱そうにしたのは、あとから来たイアナたちだった。

ダンテは腕組みをしていた手をほどき、お腹の前で止めて、訓練生たちの注目を集めるようにした。


ダンテ 「だが、その前に大事な話がある。 まだ、走らないから、座って聞いてくれ」


ダンテに言われて、ある者は芝生の上に、それ以外はベンチに腰を下ろした。


ダンテ 「みんなに質問だ。 今朝のミーティングで俺が話したことを思い出してほしい。 この30ヵ月のスケジュールをギルバートに質問され、それに答えたわけなんだが、俺が最初の15ヵ月の課題だと話したことが何だったか覚えているよな? セルビン? 代表して、答えてくれ」


セルビン 「はぁ… はい。  たしか、基礎体力とキブ?とかの強化だったと思います」


ダンテ 「ああ、そうだ。 その通りだ。 その通りなんだが、一旦、あの話は忘れてくれ」


突然のダンテの言葉に戸惑って、訓練生たちどよめく。


ダンテ 「さっき、ジーナとケイブとも相談していたんだが、もっと基本から始めた方が返って近道になるのかもしれない、という結論に至ったんだ。 “急がば回れ”ってやつだな。 我々は当初、個々の能力をそのまま伸ばしていこうと考えていた。 だが、ジーナからの報告と身体測定の結果を順に見ていて、分かったのは、みんなの基礎的な能力にあまりにも偏りがあることだ。 このままだと、個別に個人レッスンのようなプログラムを組む必要があるだろうという話になったんだ。 そうなったら、もちろん時間が絶対的に足りない。 まぁ、それでだ。 そもそもの30ヵ月という時間の制約に無理があるのだから、中途半端に積み上げて失敗するよりも、より確実な方をやってみようということになったんだ。 教える側の都合で申し訳ないが、方針を変えさせてもらうことにした」


ダンテは一旦話を止めて、全員の反応を見る。 受動的に“来るもの拒まず”な姿勢で臨んでいる大半の者たちにとっては、大きな影響はない。 だが、ギルバートやロックのように明確な目的をもってここに来ている者たちにとっては、良い話ではなかったようだ。 彼らの顔には、不満の表情が表れていた。


ダンテ 「と、まぁ、そういうことなんだが、実は、みんながやること事体にはあまり変わりはない。 大きく変わるのはアプローチの仕方だ。 わかりやすく言うとだ、例えてここが書道教室だとしよう。 紙と筆を使って字を書くことに変わりはない。 だが、違いは、字の形を教えるところから始めるのか、筆の持ち方から始めるかの違いだ。 みんなには筆の持ち方から覚えてもらおう」


ダンテの説明があって、さらに表情を曇らせたギルバートたちだったが、そのほかの訓練生たちにもわかりやすい表情の変化が見えた。 ギルバートたち以外のほとんどの者は、『基礎から教えてもらえる』と聞いて安堵したようだ。 『わかってもらえたな?』 ダンテの問いに訓練生たちの返事は揃っていた。



ダンテ 「よし、ここからが俺の最初の講義だ。 早速だが、まずは、基本中の基本、走るというトレーニングについて考えてもらいたい。 名前を呼ばれたら、走るという運動から得られる効果を挙げてみてくれ。 まず、ケビン・Telek、ガイノ・Eisto」


ケビン 「えっ、あ、基礎体力向上」 ガイノ 「スタミナ」


チト 「筋力増強」 メニーテ 「心肺機能強化」


ロック 「シフトウエイトコントロール」 ノルド 「精神力」


テレサ 「空間認識力」 ギルバート 「基礎代謝」


セルビン 「ス、ストレス発散」 フェニア 「気分転換!」


オルガ 「えっと、あっと、あっ、ダイエット!」


最後の3人にドッと笑いが溢れて、頬と耳を真っ赤にするオルガ。 周りの女子たちが『面白かったよ』とオルガの肩をポンポンとたたいてフォローを入れる。


ダンテ 「うん、よかったぞ、オルガ。 それに全員正解だ」


ダンテが笑って拍手を募る。

そして、拍手がやむのを待ってから、ダンテはもう一度『パン』と手をたたいた。


ダンテ 「よし、みんな。 ここからが本番だ。 注意して聞いてくれ。 たくさん挙がった走る運動の効果だが、俺たちがみんなを走らせる一番の目的は、これらの効果を得るためじゃ実はないんだ。 では、何か? その答えは、“脳”にある」


ダンテはそう言って、自分の頭を指して見せた。


ダンテ 「これらの効果は、脳があることをすることによって得られる効果なんだ。 答えを考えてみてくれ」


少しの時間をおいて『どうだ?』とダンテが聞くが、訓練生たちの手は上がらなかった。


ダンテ 「じゃぁ、また、指名する。 医大生のデビット。 当てずっぽうでいいから、何か答えてみてくれ。 当たれば、今日の夜はドライブだ。 街に連れて行ってやるぞ」


デビット 「おお、いいじゃん。 おっし、えっと、神経細胞を増やして… 神経ネットワークの反射速度を上げる!」


『惜しいが、不正解だ』と言われて、『チっ』とデビットは舌打ちした。

ダンテが『他には?』と聞きかけたときに、『はい! はーい』と元気な手が挙がった。

フェニアだ。 『いいぞ』とダンテが振った。


フェニア 「脳が体を改造する!」


自信満々にフェニアが言って、訓練生たちの間からクスクスと少しだけ笑い声が上がった。 


ダンテ 「…正解だ」


訓練生たちのほとんどが『えっ?』となって、ファニアの周りの女子たちが歓声を上げた。


ダンテ 「すまん、ファニア。 まさか、当たると思っていなかった。 だから、街には連れて行ってやるが、今夜じゃなくて“時間の空いた時”に変えさせてくれ」


ファニア 「やたっ! やったー!!」


ファニアが立ち上がって喜んで、ダンテが拍手を促した。

ダンテが『さて、説明だ』と場を仕切る。


ダンテ 「実は、“脳”という器官はみんなが思っている以上に有能なんだ。 『脳が体を改造する』という言い方のままでは、少し語弊が生じてしまいそうだから訂正するが、この場合の脳が体に対して行うことは『機能の最適化』だ。 じっくり説明するから、しっかり聞いてくれ」


訓練生たちが身じろぎをして、話を聞くために姿勢を整える。


ダンテ 「みんなも知ってる通り、脳は体を統括する器官だ。 記憶をしたり、思考をしたりする他にも、体中のあらゆる器官の維持や管理をしている。 その作業量は膨大だ。 そこで、その忙しさを少しでも軽減するために、脳は『最適化』というシステムを持っているんだ」


パッとクカが手を挙げて、『最適化って何ですか?』と聞いた。

少しだけ笑い声のようなものが漏れたのだが、ダンテは『いいぞぉ』とクカを褒めた。


ダンテ 「最適化というのは、簡単に言うと“無駄のない状態にすること”だ。 いらないものを減らしたり、必要なものを増やしたりして、シンプルにして負担を軽くする仕組みのことだ」


クカがダンテにコクコクとうなずいて、ダンテは続ける。


ダンテ 「さて。 さっき走る運動によって得られる効果を挙げてもらったわけなんだが、運動を続けた時に、脳と体の間で何が起るのかジョギングを例にとって考えてみよう。 ジョギングは有酸素運動だ。 有酸素運動とは、体を動かす時に使う筋肉の伸縮に酸素を使う運動のことだ。 酸素をエネルギー源にするわけだから、まず、必要になるのは心肺機能だな。 そこで脳は、心肺機能を上げて、効率よく血液に酸素を取り込めるように体を変化させていくんだ。 そして、運動を効率よく安定的に行うためには、ジョギングに使う筋肉の強化も必要になる。 だから、筋力も増やす。 さあ、心肺機能もできた、筋肉もついた、あとは、体力と持久力だ」


ダンテは、一息おいて『ここでオルガの言った、ダイエットの登場だ』とオルガをイジって、一度、空気を緩ませる。


ダンテ 「有酸素運動は、はじめは酸素だけをエネルギー源に使うんだが、一定の時間、運動を続けていくと、脳は、脂肪もエネルギーとして消費するように命令を出すんだ。 酸素だけに頼るよりも、大きな力を出せるようになるからな。 この脂肪がエネルギーに変わることを代謝というんだが、脳によってこの機能が最適化され、代謝から十分なエネルギーが体に供給されるようになれば、“体力がついた”という状態になるわけだ。 そうして、徐々に余分な脂肪が減らされ体の重さが減って負担も減り、走るために効率的な体が出来上がっていくわけだ」


ダンテがまた手をパンとたたいた。 訓練生の中の何人かは『ビクッ』として驚いた。

『眠そうだから、退屈な話を中断しよう』とダンテが笑って言った。


ダンテ 「よし、それじゃぁ、みんな立って前に出てくれ。 走るためのストレッチをするから、みんなは俺を真似て続いてくれ」


『はい』と返事をして訓練生たちが立ち上がって、ダンテの掛け声に合わせて体を動かし始めた。



トラック外側のグリーンエリアの淵に、小型のバギーが停車していた。 そこで短パン姿の女性職員が、訓練生たちのために給水所の準備をしている。 バギーに牽引された荷台にはオーニングテントが取り付けられていて、それが広げられ、女性職員はその下に折り畳み式の台を組んでいっていた。



ストレッチは5分ほど続けられた。 訓練生たちの半数は完全に息が上がっていた。


ダンテ 「息を整えながら聞いてくれ。 さっきの話を終わらせよう」


ちょっとハード目な準備運動を終えて、ダンテが大きな声でしゃべり出した。


ダンテ 「みんなは『10.000時間の法則』というのを聞いたことがあるか? テレサなら知っているだろう?」


肩で息をしながらテレサが、ゆっくりと答える。


テレサ 「たしか、 どこかの音楽家の言葉で、 プロになるための最短時間が、 どうとかって、 話だったと思います」


ダンテ 「そうだ。 まぁ、賛否両論ある説なんだが、なんでこれを持ち出したかというと、俺がある程度は正しいと思っているからだ。 さっき言った脳が行う最適化の話には、実は段階があって、体が出来てくるという部分は、実はまだ話の入口なんだ。 体が出来上がってくると、脳はその使い方を覚えてくる。 そこからが、次のステージだ。 体の動きの最適化だ」


訓練生たちの息が収まってきて、ダンテはそれに合わせて声の大きさを調整している。


ダンテ 「お前たちが何か新しいことをする時、例えば、仮にそれまで、生まれてから一度も走ったことがなかったとしよう。 ある日、誰かが走っているのを見かけたお前たちは、自分もやってみようと見様見真似で真似て走ったとする。 その初めてのチャレンジは、上手くはいかないだろう。  体中に無駄な力が入っているだろうし、体重移動も上手くできないだろうから、何メートルも進まない内にバランスを崩して転倒することになる。 だが、2回目以降のチャレンジはどうだろうか? そして、10回、1000回、10万回と何度もチャレンジしていき、そのトータルの練習時間が10.000時間を超えたときはどうだろうか? その時、お前たちは、息をするように自然に走れるようになっているはずだ」


ダンテは少し厳しい顔つきを訓練生たちに見せている。


ダンテ 「そして、余分な力が抜け、無理のない形で、当たり前のようにできるようになっていること、これを自然体という。 お前たちの最初の課題はこれだ。 走るという動きの中から、自然体を身につけることだ」


呼吸が平常に戻り、自然と背筋が伸びた訓練生たち。 その間を歩きながら、ダンテが続ける。


ダンテ 「だが、時間のない俺たちには、10.000時間は途方もなく大きい。 10.000時間を30ヵ月で割ると、1日11時間も走ることになる。 どうだ、メニーテ? 走れそうか?」


メニーテ 「い、いえっ。 たぶん、私は死んでしまいます」


突然、名前を呼ばれてどぎまぎと答えたメニーテに、ダンテの顔も緩んでしまった。 訓練生たちからも小さな笑いが起こった。


ダンテ 「そうだな、メニーテ。 もし、仮にそれができたとしても、走るだけで30ヵ月が終わってしまう。 では、どうするか? 答えはたった1つだ。 『効率をよくするしかない』ということになる」


ダンテは訓練生たちの正面に戻って向き直る。


ダンテ 「その方法は、幸いにもそんなに難しくはない。 それを教えるから、注意して聞いてくれ」


表情を引き締めて、ダンテは訓練生たちの顔を見て言う。


ダンテ 「走っているときに全身の感覚に集中するんだ。 そして、その感覚を意識にあげていく。 その瞬間に体中で起こっていることを意識にあげて脳に伝える。 これを意識的に行うことで、脳の解析スピードは格段に上がり、それが最適化を補助することにつながるんだ」


訓練生たちの反応はいまいちで、理解しようと努めているようには見えるが、腑に落ちた様子はない。

ダンテの表情が緩んで、『よし。 一旦、リラックスしよう。 座ってくれ』とダンテは訓練生たちに促す。


ダンテ 「一度にたくさんの情報を出しすぎたみたいだな。 すまん、みんな。 具体的に何をするかを言うから、気持ちを切り替えてリラックスしてくれ」


ベージュ色のトラックの床に腰を下ろした訓練生たちは、足を投げ出したり、胡坐をかいたり、膝を抱えたりしながらフーッと息をつく。

十分な間をおいてから、ダンテがしゃべり出す。


ダンテ 「リラックスできたか? いいか、みんな? もし、みんなの今の状態が、力みもなくて、リラックスできている状態なら、それを自然体と言っていいだろう。 それで、やってほしいことは、走りながらその状態になれるようになることだ」


笑いながらダンテが『難しそうか?』とセルビンに話を振った。 セルビンはうなずいて答えた。


ダンテ 「そして、そうなるための近道になるのが、体の状態を意識にあげることだったな? はじめから体全部と言っても難しいだろうから、とりあえず、足からいってみよう。 足に意識を集中して見てくれ。 どうだ? 今日は1日立ったり座ったり歩いたりしているから、疲労感があるだろう? それから、おしりだ。 みんなは今、地べたに座っているから、上半身の重さがおしりにかかっているはずだ。 背中や肩や腕なんかにもそれぞれ感じられる感覚があるはずだから、意識を向けて行ってみてくれ」


『うっ』とオルガが思わず言って、『どうした?』とダンテが聞いた。


オルガ 「あっ、いえ。 そういえば、まだ少し腰が痛いなって…」


ダンテ 「ハハハ、それだ。 いいぞ。  今、みんながやっている体の感覚を感じようとすることが、感覚を意識にあげるということなんだ。 意識に感覚が挙がっていれば、それを脳は重要事項として処理をする。 つまり、走っているときに、走っていると感じていることが大事なんだ。 だから、無意識の中に埋もれている感覚を引っ張り出しながらトレーニングに励むように。 いいか?」


訓練生たちが『はい』と返事をして、ダンテは訓練生たちの顔を確認してから、『よし、じゃぁ、また、立ってくれ』と呼び掛けた。

端っこの方で、立ち上がったチトが手を上げて聞いた。


チト 「これで、どのくらい違いがでるんですか?」


これをダンテは『いい質問だ』と褒めた。


ダンテ 「パーセンテージというものは、時間の流れの中では恐ろしい“違い”を生むんだ。 今日から訓練が始まるわけだが、2人の訓練生を例にとって話をしよう。 1人は何の効率も求めずに訓練を始めた。 つまり効率0%だ。 もう1人は1%の改善をしたために、1%だけ優っている状態でスタートした。 1年後のこの2人の差はどれだけになっていると思う?」


チト 「4、5倍くらいでしょうか?」


ダンテ 「38倍だ」


チトが『38倍!?』と驚いて、全員が注目する。


ダンテ 「ああ、そうだ。 もし、仮に10.000時間をこの差で割ったとする。 0%が10.000時間かかったところを、1%は265時間で到達することになる。 1日当たりの走る時間は、0%が11時間に対して、1%は17分40秒で同じ結果が出せる計算だ」


訓練生たちが目を丸くした。 ダンテはそれを笑って付け加えた。


ダンテ 「必ずしもこうなるとは限らないが、効率を求めることがいかに大事かはわかるだろう」


深くうなずく訓練生たちにダンテは、『最後にもう一つだけ、大事なことを確認しておく』と言った。


ダンテ 「1%の違いについて話したばかりだが、それよりももっと大きな違いを生むものがある。 それは、物事に取り組むときの“姿勢”だ。 みんなは学生だから、大きく分けて2種類の“姿勢”がある。 “学ぶ”と“教えてもらう”の2つだ。 この2つはよく似ているが、そこから得られる結果は全く異なる。 残念ながら、我々パラミリタリー訓練学校が何かできるとしたら、そは前者に対してだけだ。 “学ぶ姿勢”のないものに教えられることはないんだ」


ダンテは悲しくも厳しい、そんな顔をして言った。


ダンテ 「退路を断ってまでここに来たみんなにだからこそ、敢えて言うが、“教えてもらう”つもりでいたなら今すぐに姿勢を改めろ。 俺たち教官にできることは、みんなに進むべき方向を示して、後ろをついてサポートすることだけだ。 俺たちは、俺たちの後ろをついてこようとする者には構っていられないんだ。 このことは、肝に銘じてくれ」


ダンテが言って、少し間をおいて訓練生たちが力強い返事をした。

ダンテの顔に笑みが戻った。



ダンテ 「よし、じゃぁ、この池の周りのトラックを走るぞ。 1時間だ。 スタイルは好きにしていい。 ペース配分を考えてもいいが、できるだけ自分の好きなペースで走ってみてくれ。 疲れたなら、歩いても構わないから、気楽にな。 俺が一人ひとり見ながら指示を出すから、それまでは思うままに走っていてくれ」


『スタートだ』とダンテが言って、訓練生たちが走り出した。



次回も訓練の様子を書いてみようと思います。

よろしくお願いします。

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