表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/30

8話 恐怖

こんなことがずっと続けばいい

手を伸ばせば、届いていた距離も、もう届かない

あれが、楽しいって感情だったのか

 殺戮ちゃん「今回もあなたにはデートに行ってもらうわよ♡」

 デートだ?

 白「ざっけんな!何でまた、あんな思いしなくちゃいけねんだよ!」

 殺戮ちゃん「まだ、何にも言ってないじゃない♡」

 どうせ、こいつらのことだ。また、ロクでもない女のところに飛ばすに決まってる。ヤンデレだろうがメンヘラだろうが、もうこりごりだ。

 殺戮ちゃん「じゃあ、モニターちゃん、いつも通り説明お願いね♡」

【かしこまりました。それでは次のステージに移ります。難易度はNORMALです】

 NORMALって、何だかんだ初めてだよな?

【今回のミッションはショック死です】

 白「ふざけてんのかコ・・・」

【フィールドを生成し、転送を開始します】

 白「はぁ・・・」

 怒鳴る気力も失せた。


 バンパパパパパパッパンパンッ


 バンパパパパパパッパンパンッ


 陽気な音楽が聞こえる。やかましい場所だな。周りを見渡してみる。

 白「遊園地・・・か・・・?」

 ???「何言ってるの?白くんが行きたいって言ったんじゃん。」

 クソっ!デートがどうこうとか言ってたな!恐る恐る、声のした方向へ振り返る。てか、俺女性恐怖症になってねえか?

 ???「えへへっ。」

 白「・・・!?」

 何、この美少女!!目の前には、ツーサイドアップのスタイル抜群の女がいた。いや、待て。外見がいいだけで、前みたいなおっそろしい性格を持つ女かもしれない。てかこの子、名前なんていうんだ?

 白「あ、あの!」

 ???「な〜に?」

 白「君の名前はな〜んだ?」

 バカか俺は。

 ???「響かな?」

 白「せ、正解!!」

 せ、正解!!じゃねえよ。まあ、名前を聞く方法はこれくらいしか思いつかないし。

 響「やったー!!」

 いい笑顔だ・・・って、そんなことを言っている場合ではない。今回のミッションはショック死。とりあえず、いつも通り時計を見よう。制限時間は3時間。20歳大学生・・・心臓が弱く、幽霊が苦手・・・幽霊?この俺がか?そんなバカな・・・

(俺は幽霊が怖い・・・)

 何だ、今の!?頭に変なのがよぎったんだが・・・だがこんなの、お化け屋敷に行けば楽勝だろ。

(行きたくない・・・)

 恐怖なのか何なのかはわからないが、足が思うように動かない。

(幽霊が怖い・・・幽霊が怖い・・・)

 幽霊が怖い!お化け屋敷なんか無理だ!!

 響「どうしたの、白くん?頭なんか抱えちゃって。」

 白「お化け屋敷だけはやめよう!」

 響「え、もしかして怖いの〜?」

 白「怖い!!」

 あれ、今の俺洗脳されてねえか?

 響「ど〜しよっかな〜?」

 響は笑っていた。その笑顔は可愛いけど、怖いぞ。

 白「やめてくれ〜!」

 思うように、言葉が出ない!俺は、お化け屋敷で死なないと!!お化け屋敷で死にたい自分と恐怖心が、自分の中で葛藤していた。

 響「わかった!じゃあ、ジェットコースターに行こう!」

 ナイス、彼女!!死ねる・・・ジェットコースターなら急降下のショックでいける!


 白「おう!」

 それから俺たちは、ジェットコースターに向かったが・・・

 響「調整中だってね。」

 白「クソッ!また、これかよ!これが御都合主義ってやつかよ!!」

 響「白くん・・・そんなに乗りたかったの?」

 白「もちろんだ!これを乗るために、この世界に生まれ、死ぬために乗りたかったんだ!」

 響「白くん!楽しみにしてるのはいいことだけど、簡単に死ぬとか言っちゃいけないよ。えへっ。」

 何この笑顔、天使かよ・・・

 白「うん・・・」

 だが、俺は死ななきゃいけないんだ!それが、生きる道であり、死ぬ道だからだ!!

 響「白くん、私、あれ食べたいな。」

 彼女が指を指す方向には、クレープ屋があった。

 白「うん、いいよ!」


 そして、俺はチョコクレープ、響はいちごクレープを買った。

 響「う〜ん!おいひぃ〜〜!!」

 喜んでもらって、何よりだ。

 白「うん、俺のも美味しいよ!」

 響「じぃ〜〜〜っ・・・」

 白「どうした?」

 響「じぃ〜〜〜っ!」

 白「・・・」

 響「じぃ〜〜〜っ!!」

 ずっと、俺のクレープを見つめている。もしかして、食べたいのか?

 白「食べる?」

 響「え、いいの!?」

 目を輝かせて、こちらを見る。

 白「うん、クレープと一緒にスプーン渡しといたでしょ?それでなら・・・」

 響「えいっ!」

 思いっきり、俺のクレープにかぶりついた。おいおい、これじゃあ・・・

 白「・・・」

 響「どうひたの〜?」

 白「いや・・・何にも・・・」

 そして、クレープを捨てるわけにもいかず、生まれて初めて(?)間接キスをしたのであった。


 響「へえ〜ウォーターシューティングゲームか・・・面白そう!」

 今度は、シューティングゲームのアトラクションにやってきた白一行。

 白「でも、これ水着着てやるらしいよ?」

 響「え、何かまずいの?」

 白「ぜんっぜん!!」

 美少女の水着・・・こんなイベント、滅多にねえぞ!生きててよかったーーー!!あ、私、死んでましたね。


 響「ごめん、待った?」

 白「全然待ってな・・・

 その時、俺はこう思った。お尻を隠す小さな布(水着)があり、日焼けしていない白い肌のお尻があり、少し日焼けしている太ももがなんとも、スレンダーで豊かな発育をしている胸からヘソにかけてのくせは一切なく、水着の上からでもわかるボディラインは煽情的で・・・って、待て待て!俺はいつからドスケベ大魔神に転生したんだ?この思考誘導も、この世界の俺の仕様ってとこか。

 響「白くん?どうしたの、私の体ばっかり見つめちゃって。」

 白「い、いや〜ほかの男に見せたくないな。なーんて・・・」

 響「白くん・・・!!」

 今のが本音か嘘かは、ご想像にお任せしよう。

 響「きゃ〜、水しぶきが〜!」

 ああ、俺って幸せだな・・・このまま死んでも・・・死んでも・・・?俺は着替えの時に、意地でも外れなかった時計を見つめる。制限時間残り1時間!?いちゃついてる場合じゃねえ!


 ムニッ


 なんか今、柔らかい感触が・・・胸!胸あたってる!!

 響「きゃ〜!」

 本人は気づいてないみたいだけど・・・そうだ!この興奮を利用して、ショック死・・・なーんて、上手くいかないか・・・


 気がつくと俺は観覧車にいた。

 白「・・・」

 響「外、綺麗だね。」

 白「うん・・・」

 プログラムなのに、こんなにもリアリティがあるんだな。本当に、いつのまに世の中は発展したんだか・・・そんな悠長なことを言ってる場合ではないんだよな〜。やっぱり、お化け屋敷しかない。だが、行けない。いや、行きたくない。


 制限時間は残り15分。このままだと俺、マジで死ぬぞ。今までの苦労を思い出せ。焼酎の瓶で殴られるわ、消しゴムでアホみたいに死ぬわ、薬飲みすぎで頭がおかしくなるわ、挙げ句の果てには、あのチョコだ。ここで死んだら、元も子もない!うおーーー、お化け屋敷に・・・でも、やっぱ怖えわ・・・

 響「ねえ、白くん?お化け屋敷に行こ。」

 白「・・・」

 俺はどうすれば・・・!!


 ギュッ


 ・・・っ!?

 響「行こ!」

 手を掴まれ、強引に引っ張られた。

 白「いやだーーーーー!!」


 ヒュ〜ッドロドロドロ〜ッ


 暗闇の中、俺たちは来てしまった。見通しがたたず、将来に希望が持てない暗闇。暗闇とはそういうものだ。だが、今の俺は希望しかない!


 白「響〜、俺、怖え〜よ〜。」

 情けない。俺は本当に情けない。それもこれも、あの金髪クソ女と単細胞木偶の坊のせいだ。俺の味方は響しかいない。

 響「・・・」

 白「ひ、響・・・?」

 響はずっと、黙ったままだ。

 響「・・・・・・」

 白「おーい、響さーん?」

 響「・・・・・・・・・」

 こんなところにいたら、お化けが来ちまう・・・


 ギシッギシッギシッギシッ


 床の木を踏む足音が聞こえる。近づいてくる・・・!

 白「助けて、響!!」

 俺は、恐怖のあまり、響に抱きついていた。

 響「呼んだ?」

 白「ぎゃーーーーーーーーーー!!」

 響の顔が光って見えて、怖く見えた。その時はパニックすぎてわからなかったのだろう。響は、自分のスマホの光を顔に当てていただけだったのだろう。

 響「ちょっと、白くん!冗談でやっただけなのに、なんでそんなに驚くの!?白くーん!!」

 白「響とのデート・・・楽し・・・かった・・・ぜ・・・」

【ミッションクリア。クリアタイム02:52。これより転送を開始します】

【ショック死:末梢の血液循環不全により、血圧の低下や意識障害が急速に進行し、死に至ること。「麻酔によるショック死」など】

 白「・・・」

 殺戮ちゃん「なーにぼーっとしてんのよ♡」

 白「・・・」

 夢は終わった。そして、俺はこれからも虚しく死んでいく・・・

 殺戮ちゃん「はぁ・・・そんなに響ちゃんのことが忘れられないわけ?♡」

 白「・・・」

 プログラムの恋ってことはわかってる・・・だが、ちょっとくらい、息抜きもいいじゃないか・・・数時間じゃ足りねえんだよ!ちくしょう!!

 殺戮ちゃん「あんたには、この超キュートな殺戮ちゃんと、超ビューティなモニターちゃんがいて、両手に花じゃないの♡」

【そうですよ】

 白「・・・」

 殺戮ちゃん「突っ込む気力もなし?♡」

 俺は、泣き崩れてしまった。俺にも少し、感情が湧いたのか。

どうも、今からあなたは死んでくださいの作者ゆいたんです!最後は予想していた人もいるかと思いますが、少し悲しい結末になっちゃいましたね。初めて知った感情楽しいという、だが、そんな感情も終わりを告げ、また、デスゲームに巻き込まれるっていう・・・なんか、悲しいですよね・・・まあ、彼のことだからすぐに立ち直ると思いますがねw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ