26話 突撃
突然だが、俺はネーミングセンスがあるのかもしれない・・・俺が記憶がなくなる前は、相当なアイデアマンだったのかもしれな・・・いや、なんとなく、それはないな・・・
【それでは次のステージに移ります。難易度はHARDです】
このゲーム、俺や白だからできるんだよな。他の奴がこのゲームをやっていたら、とっくに自滅しているだろう・・・
(黒。そろそろ代われ。)
黒「そうだな。」
白「ふぅ・・・」
【今回のミッションは熱傷です】
白「また、こんがり焼けるとしますかね〜」
殺戮ちゃん「ちなみに、白くんは天ぷらはお好き?♡」
白「嫌いでもなければ、好きでもねえよ。」
殺戮ちゃん「ふーん、そう♡それじゃあね〜♡」
【フィールドを生成し、転送を開始します】
そして、いつも通り転送される。今更だが、俺は生きてるやら死んでるやら・・・本当に・・・へんな感覚だ・・・
パチパチパチパチッ
白「なんの音だ?」
拍手?雨音?いや、どちらでもない。音がする下の方向に視線を向ける。
白「揚げ物のようだな。」
そこには、たくさんの揚げ物が浮かんでいた。
(揚げ物を見てるのはいいが、時計を見ろ。)
白「そうだな。」
制限時間は1時間。32歳、主婦・・・あ、俺、また女になっちゃったのね。
(フィールド制限を見てみろ。俺の予想が当たってれば・・・)
白「フィールド制限だ?」
ボタンを押し、画面を切り替える。
白「マジで言ってるのかよ・・・」
フィールド制限は半径1m以内と設定されていた。1歩でも間違えれば、命に関わるってのかよ・・・
(やっぱりな。フライヤーの前に立たされてる時点でおかしいと思ったんだよ。まるで、"ここに突っ込め"と言わんばかりにな。)
白「・・・ッ!?」
(どうした、白?まるで、そこに地雷があるとわかっていて、わざと突っ込む兵士のような顔をしてよお。)
やらなければいけない・・・やらなければ、俺たちは死ぬんだ・・・
白「わかったよ!やりゃーいんだろ!!」
(おい、待て!制限時間はまだある!心の準備とかはいいのか・・・)
ポチャッ
顔を思いっきり、フライヤーに突っ込んだ。
パチパチパチパチッ
白「あっつっ!!!!」
あまりの熱さに、反射的に顔を上げてしまった。
白「あちちちちちちっ!!!!」
(てめえはバカか!何、なんの考えもなしに顔からダイブしてんだよっ!!)
白「考えならある!!顔からいったほうが、火傷が脳にまで達して、そのほうが早く死にやすいだろ?」
(いや・・・そんな、ゆでダコみてえな顔で言われてもなあ・・・)
そして、俺にはもう1つ作戦があった。
白「黒。お前にも手伝って欲しいことがある。さっきの俺を見てわかったと思うが、あまりの熱さに反射的に顔を上げてしまう。ここで交代っていうのもありだが、さすがのお前も、あの熱さには耐えれねえだろう。」
(お前がいうんだから、相当なんだろうな。)
白「前回も、似たようなミッションをやった時があったが、その時は自殺トリックをうまく使いなんとかなった。だが、1歩も動けない以上は、その方法は使えない。そこでだ。前回のスカートの件で俺はある技を覚えた。」
(真顔で嫌な思い出を思い出させるなよ・・・)
白「俺たちの中には、"抵抗"というものが存在する。」
(あー、お前が性欲のままにスカートをめくろうとしていたあれか?)
白「そうだ。」
(そこは否定しろよ・・・で、その抵抗がどうかしたのか?)
白「抵抗ができるということは、"2重操作"もできるということだ。」
(どんどん新しい言葉が生まれるな。)
白「2重操作というのは、動作を倍にすることだ。例えば、俺が今、走ったとする。そこで、お前も走れと俺に命令すれば、無理やりにでも走らされるだろう。とはいえ、ここまでの半分は推測なんだがな。」
(推測かよ!!)
白「だが、手段はこれしかない。俺はもう一度、フライヤーに顔を突っ込む。そこで、お前が"2重操作"をし、俺の顔が上がらないようにするんだ。そうすれば、俺は無事火傷するだろう。」
(それは、無事と言えるのか?つーか、今日の俺、よく突っ込むな・・・)
白「準備はいいか?」
(ああ!まあ、こちら側にいたら、ダメージは受けないしな。)
黒は準備ができているようだ。あとは、俺だけだ。
白「スーッハーッ・・・」
一度深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。
白「よし、カウントを始めるぞ!3・・・2・・・1・・・おらーーーーーっ!!」
ポチャッ
俺は再び、顔を思いっきり、フライヤーに突っ込んだ。
パチパチパチパチッ
白「ブクブクブクッ(熱い、熱い、熱い!!!!)」
なんつー熱さだ!!!!だが、こんなのは序の口!!本番はこれからだ!!
白「ブクブクブクブクッ(黒!!!!2重操作を始めろ!!!!」
(りょーかい♪)
顔がフライヤーの底まで押し付けられる。顔を上げたら悲惨なことになってそうだな。
(5分ぐらい経ったが、生きてるか〜?)
白「あぁ・・・順調すぎて言葉が出なかっただけだ・・・」
顔を上げる。もうすでに、感覚が鈍っていてわからなかった。顔を触ると、10cmほどの水疱があるのがわかる。そして、目はあにひすりらちむなを・・・」
脳が働かない。言葉が出てこない。勝ったな・・・
【ミッションクリア。クリアタイム34:59。これより転送を開始します】
【熱傷:火や高温の液体などの熱、放射線、化学物質、または電気の接触によって生じる損傷を言う。通称は火傷である。より低い温度で長時間晒されることによる低温やけどもある。化学物質・放射線などが原因で生じる組織の損傷は化学損傷という】
殺戮ちゃん「あら♡今回の制限時間は1時間♡あなたちのクリアタイムは約35分♡やればできるじゃない♡」
白「今回は、俺1人じゃ出来なかった。黒がいたからできたことだ。」
殺戮ちゃん「しかし、2重操作をされる・・・というか、気づかれたこと自体が誤算だったわね♡元々、2重操作をしなかった場合の目安の制限時間だもの♡」
なんか、最近は黒と協力してばっかだな。あと、あいつは、どうして最初から俺に協力的なんだろうか。今は、深く考えないでおこう・・・
どうも、今からあなたは死んでくださいの作者ゆいたんです!今回のミッションもきつそうだな〜って思った人も多いのではないのでしょうか?w僕なら、1秒も経たずに顔を上げるでしょうねwそう考えると、黒くんとの協力で5分も浸かっていたのはすごいですね!あ、真似しないでくださいね!ゆいたんとの・・・お・や・く・そ・く♡