13話 決意
まだ続ける気かよ・・・もう、うんざりなんだよ・・・"ご褒美"なんてどうでもいい。俺を早く解放しろよ・・・!もう、辛いんだ・・・
【餓死:食物の摂取を絶たれる(絶つ)ことにより過度の栄養失調から死に至ることを指す】
白「・・・」
殺戮ちゃん「いやー、白氏、今回も大変でしたな〜♡」
白「・・・」
殺戮ちゃん「ここに転送されてからは、空腹も治ったでしょ?♡」
白「・・・」
【それでは次のステージに移ります。難易度は、EXTRAです】
白「・・・」
【今回のミッションは凍死です】
白「・・・」
【フィールドを生成し、転送を開始します】
白「・・・しろよ」
【・・・】
白「いい加減にしろよ!!」
殺戮ちゃん「え、ちょ・・・何!?♡」
白「俺はいつまでこんな辛い思いしなくちゃいけないんだよ!!いい加減ここから解放しろよ!!俺が何をしたっていうんだよ!!解放する気がないなら、さっさと殺せよ!!」
殺戮ちゃん「・・・」
白「なんか言えよ!!」
殺戮ちゃん「モニターちゃん、転送を始めて♡」
クソがっ!こいつら!!
【かしこまりました】
白「殺してやる・・・てめーは絶対に殺してやる!!」
なんでまた転送が始まるんだよ・・・ちくしょう!!
殺戮ちゃん「あなたにとって、このデスゲームは必要なの♡辛いかもしれないけど、今は頑張って耐えて・・・♡」
【・・・】
なんだよ、このクソ寒い場所は・・・目の前には、氷山がそびえ立っていた。
白「俺にこんな場所で凍え死ねってのかよ・・・」
???「なーに、不吉なこと言っちゃってんのよ!」
クソっ、今度こそ、舌噛んで死んでやる!!
俺は思いっきり舌を噛もうとした。
???「とうっ!!」
白「あ痛っ!!」
後ろから、チョップされた?
???「何やってんのよ、あんた?」
白「クソがっ!俺は舌噛んで死ぬんだ!!」
???「落ち着きなさい!!」
顎を押さえつけられた。
???「ほら、他の人待たせてるから、早く行くよ!」
白「・・・」
なんなんだ、この女・・・黒上ロングヘアの女がさっきから、死ぬのを邪魔してくる・・・そして、手を繋がれ山を登るはめになった。
白「はぁ・・・はあ・・・はあ・・・」
クソっ、いつまで山登りを続けやいんだよ!俺ら2人の他に、他の登山客が氷山を登る。
???「こら、白!ぼさっとしない!後ろ詰まってるから!」
後ろを振り返ると、大勢の登山客が俺が登るのを待っていた。
白「うるせえなあ、脚疲れたんだよ・・・」
あれから数時間が経過したが・・・
白「おい、この山いつになったら山頂につくんだ?」
???「あんたねえ、まだ、2時間しか経ってないわよ?そんなすぐにつくわけないじゃない!」
そんなはずはない、かれこれ5時間ぐらい登ったぞ?
???「あんた、時計つけてるでしょ?見てみなさい!」
いや、この時計、そうやって使うものじゃないんだよ。
???「今12時で、私たちが登ったのは大体、10時ぐらいだからそこから計算してみたら、2時間でしょ!」
たしかに。
白「じゃあ、そろそろ昼にしないか?」
???「それもそうね。べ、別に、私がお腹が空いたってわけじゃないわよ!」
うっわ、めんどくさい女だ。
そして、昼を食べることになった。
なんなんだ、この状況・・・氷山でコンビニ弁当食うとか見たことねえぞ。
???「ちょ、あんたの弁当、美味しそうね・・・」
白「これか?ただのコンビニ弁当だが・・・?」
???「・・・」
なんで、俺の弁当ばっかり見てんだよ。
白「食うか?」
???「べ、別に、あんたの弁当が食べたいから見ていたわけじゃないんだからね!」
白「はいはい」
そして、彼女の弁当箱に俺のシャケ弁を少し分けてやった。こんなイベントはいらねえから、はよ死なせろってんだよ!
しばらく経ったが、他の登山客とはぐれてしまった。まあ、どうでもいいがな。
???「そろそろ、私も疲れたわ・・・」
白「だろ、じゃあそろそろ休憩に・・・」
???「あんた、さっき昼食べたば・・・」
ガシャンッ
???「きゃーーー!!」
女の立っていた足場が崩れ、女は落下した。
白「クソっ!!」
俺はヤケクソになり、女の手を掴む。
???「白!!」
白「ぜってえに離すんじゃねえぞ!!」
なに俺は、こんな女にヤケになったんだよ!!
???「離して!!このままだと、白まで落ちちゃう!!」
白「バカ野郎!!ここで離したら、お前は死んじまうだろうが!!生きることを諦めんじゃねえよ!!」
???「白・・・!」
ガシャンッ
白「クソがっ!!」
???「きゃーーー!!」
そして、俺の足場も崩れ、俺たちは雪の中へと消えていった・・・
???「・・・く・・・く・・・白・・・白・・・!起きなさいよ・・・バカ・・・!!」
冷たいものが顔にかかる。水?いや、これは・・・
白「生きてるぜ・・・」
???「白!!心配させないでよ・・・バカ・・・!!」
彼女は顔がくしゃくしゃになるまで泣いていた。
白「わかった。わかったから、泣くなって!」
しかし、今はどういう状況だ?確か俺らはあの時落ちて・・・
???「私たち、運良く空洞に入り込んだみたい。ただ、雪雪崩も起きたみたいで出口が塞がっちゃってね・・・」
白「そうだったのか・・・」
こんなところにいたら、まじで凍死してゲームクリアしちまう・・・それだけは避けないと・・・!
???「・・・」
白「なあ、あんた名前は?」
???「何いってんのよ!私たち、つ、付き合って3ヶ月経つってのに!」
白「改めてお互いのことを知っておく必要があると思ってね」
いや、ないだろ。
???「そ、そういうことなら、仕方ないわね。乃江瑠よ。改めてよろしく!」
白「白だ。改めてよろしく。」
なんなんだ、このやり取りは?
白「で、なんで俺たちは氷山なんかわざわざ登ってるんだ?」
乃江瑠「あんた、そんなことまで忘れたの!?」
白「すまん、落下したショックで忘れちまったのかな?」
そんなわけあるか。
乃江瑠「あんたが、さ、3ヶ月記念だから氷山でデートしようって言ったんじゃないのよ!!」
つくづく、バカな発言や行動をしている自分に毎回呆れるんだが・・・
白「・・・」
乃江瑠「あんた、今日おかしいわよ・・・」
白「・・・」
乃江瑠「ねえ、なんかあったんでしょ?ま、まあ、話ぐらいなら聞いてあげるわよ」
白「じ、実はだな・・・」
俺はこれまでの出来事をゲームの世界で起きたことだと偽って、全て話した。
白「というわけで、俺が今日おかしいのもこのゲームのせいなんだ。」
乃江瑠「だったら、やめればいいじゃない。」
白「だから、やめようにもやめれないしやめたら死ぬんだって!」
乃江瑠「やめたら死ぬって、どんなけ依存してるのよ・・・」
白「・・・」
依存してるわけではないが、そういうことにしといてくれ彼女よ。
乃江瑠「私がアドバイスできるとしたらー、そうね・・・最初に目標を決めたことを変えるな!ってことかな?」
白「・・・え?」
乃江瑠「あなたは、最初にそのゲームを始めるときに、やってやる!って思ったんでしょ?なら、その気持ちを諦めちゃダメでしょ!」
白「・・・」
たしかにそうだ、俺は事実とはいえ、"ご褒美"とやらのために頑張っていた。あれだけの辛い思いをしてきたんだ。こんなところで諦めてどうするんだよ!
乃江瑠「それに、"生きることを諦めちゃダメ"でしょ!?」
白「そ、それは・・・」
乃江瑠「さ、さっき、私にいってくれたじゃない、生きることを諦めるなって!あんたも、ゲームクリアする条件が死ぬことなら、ちゃんとやりなさいよね!そ、それと・・・そのゲームで私のことを忘れちゃうっていうなら、私のことを忘れないようにしなさいよね!じゃないと、寂しくて泣いちゃうんだからね!」
白「わかった。乃江瑠のことはこれからも忘れないずっとな。」
乃江瑠「・・・!?」
白「乃江瑠っ!?どうした!?」
乃江瑠「寒い・・・ごめんね、あんたも同じなのに弱音なんか吐いちゃって・・・」
乃江瑠は、うずくまって震えていた。そりゃそうだ。こんな寒い場所にずっといたらそうならなくともおかしくはない。こんなところにいたら、こいつまで凍死しちま・・・凍死・・・?そうだ・・・!凍死だ・・・!!
乃江瑠「ちょ、あんた、何やってんのよ!?」
俺は服を脱ぎ、パンツ一枚になる。
乃江瑠「その格好で近づかないでよ!!」
白「乃江瑠、この服を着てくれ。時間がない!早く!」
乃江瑠「そんなことしたら、白が!!」
俺は、脱いだ服を乃江瑠に押し付け・・・
白「死ぬことが生きる道だって言っただろ。」
乃江瑠「・・・え?」
カチッ
そして、俺はジャンプボタンを押した。乃江瑠・・・君は生きるんだ・・・
白「あっ・・・」
体がだいぶかじかんで動かない。視界は見える。そうだ、乃江瑠!乃江瑠は無事か!?
乃江瑠「あんた、起きなさいってば!!」
乃江瑠は無事だった。
白「よかった・・・君が生きてりゃ、俺は死んでもいい・・・」
乃江瑠「そんな悲しいこと言わないでよ!!」
彼女は、再び涙を流した。もうすぐ、お別れの時間だ・・・
救助隊A「ここから、声が聞こえるぞ!」
救助隊B「よし!そこを掘れー!」
外から声が聞こえる。救助隊か?ならここで、一祈りしておこう・・・救助隊のみなさん、どうか乃江瑠を救ってください・・・どうか・・・どうか・・・
ガサガサガサッ
救助隊C「見つけました!」
外の光が辺りを照らす。どうやら、助けが来たようだ。
乃江瑠「白!!白ーーーーー!!」
白「乃江瑠は運び込まれた。俺の意識は薄れていく・・・そして、最後の力を振り絞り、親指を立てた。
【ミッションクリア。クリアタイム13:47。これより転送を開始します】
【凍死:寒冷に起因する低体温が原因の死。寒冷によって血液の粘性が増加すること,末梢血管が収縮して心臓の負担が増し,心機能の停止を招くことなどが原因と考えられる。凍死は低温のほか湿潤,強風,飲酒,疲労,空腹などによって促進される】
殺戮ちゃん「・・・」
【・・・】
白「よーし、吹っ切れたぞ!!」
殺戮ちゃん「そう♡元気が出てよかったわ♡」
やれる・・・!!俺ならこのゲームをクリアできる!!
白「ゲームクリア目指して、頑張るぞー!!おーーー!!」
殺戮ちゃん「おーーー!!♡」
【おーーー!!】
どうも、今からあなたは死んでくださいの作者ゆいたんです!白くん吹っ切れて、作者の私的にもマジ嬉しいです!!今回もイケメン発言連発でしたね!今後とも、真打・白くんをよろしくお願いします!!