12話 欲求
俺はなんのために、このゲームをやっているんだ・・・もう、こんなゲームは終わりだ・・・何を信じればいいのか・・・俺は・・・俺は・・・
(死にたくない・・・)
【それでは次のステージに移ります。難易度は、HEARDです】
(死にたくない・・・)
【今回のミッションは餓死です】
(死にたくない・・・)
殺戮ちゃん「ねえ、聞いた〜?♡餓死だって!♡餓死!!♡」
【フィールドを生成し、転送を開始します】
(死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・)
体がだんだん薄れていく・・・転送だ・・・また転送が始まるんだ・・・
白「おい・・・やめろよ・・・もう俺は死にたくないんだ・・・!!」
【・・・】
白「やめろ・・・やめろーーーーー・・・!!」
【本当によろしかったのですか?勝手に転送しても】
殺戮ちゃん「ここが彼にとっての試練だからね・・・♡」
白「・・・・・・」
なんだよ・・・ここ・・・?辺りは一面、砂だらけ・・・まだ転送されて少ししか経ってないのに、この暑さだ・・・漠然と腕時計を見る・・・
白「制限時間99:99・・・44歳・・・冒険家・・・ふざけやがって・・・!くそっ・・・!なんだこの吐き気のする空腹感は・・・!」
空腹が俺を襲う・・・こっから約100時間以内に死ねってことかよ・・・
白「何か・・・何か食べなきゃ・・・」
俺はひたすら、同じ光景のする砂漠を歩き続ける・・・水・・・水がなくては・・・
白「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
頭痛が・・・頭が・・・割れる・・・・・・!!ものすごい頭痛が、俺の体を襲う・・・あと98時間・・・このゲームはゲームクリアまでの目安=制限時間+αだ・・・こんなクソみたいなゲームをクリアしたところで、その先に何が待ってるんだよ・・・それなら、いっそのこと食べ物を探して、制限時間切れにすればいいんだよ・・・
俺の名前は白。記憶もなく感情もない、だが、死への快楽に目覚めた・・・はずだった・・・今じゃそれが、恐怖にしか感じられず、生きる意味だってわからない。そもそも俺は、一度死んでいる。あれ?なんで俺はこんなゲームをやっるんだ?
殺戮ちゃん「このゲームを全てクリアしたら、ご褒美が待ってます!♡とでも言ったら?」
ご褒美か・・・クリアしたときにもらえるかもわからないご褒美って言葉にホイホイついてって・・・バカみてえだ。第1、白って名前なのも過去も未来も何もないから白なんじゃないのか?もしそうだとしたら、黒はいいよな。あいつは何色にも染まらない心を持っていて、俺とは逆の人生があるんだからな。・・・俺は・・・どうすれば・・・・・・
白「うっ・・・」
気を失っていたのか・・・体の砂を払い、再び立ち始める。制限時間は残り75時間・・・
白「うっ・・・うっ・・・!!」
空腹に耐えきれず、かなり吐いてしまった・・・こんな砂漠じゃ、誰もいない・・・せめて、水さえあれば・・・普通こういうのって、オアシスかなんかが見つかるもんだろ・・・ん・・・?あれは・・・?オアシスだ・・・!本当にあったんだ・・・!俺は最後の力を振り絞り、オアシスのある方へ向かう。これで・・・
白「なんで・・・だよ・・・」
そこには、あるはずのオアシスがなかった・・・幻覚だったとでもいうのかよ・・・希望が打ち砕かれた瞬間であり、未来が閉ざされた瞬間であった・・・だが、俺は諦めない・・・このゲームは、なりきった人物の特色みたいなものがある・・・たとえば、響とのデートの時は、とんでもなくスケベだったり、博士の助手の時は、妙に頭の回転が早かったり・・・通称、"この世界の俺"というものが存在する・・・ちなみに、これは今、俺が命名したものだ・・・つまり、知恵を絞れば冒険家としての特色だってあるはずだ・・・考えるんだ・・・俺は思考をフル回転させた。
白「サボテンだ・・・」
サボテン類のような多肉植物では80%から90%の水分を含んでいる・・・そこから、サボテンを絞り出せば水分を得ることができる・・・そして、俺は再び歩き出す・・・どこに向かえばいいのかもわからず、ただ、真っ直ぐに突き進む・・・それにしても、おかしい・・・ここは、フィールド制限がないのか・・・?ないことはないだろう・・・それだけ果てがないように感じるだけなのだろう・・・
白「あった・・・」
無限に続く砂漠の中、1つのサボテンを見つけた・・・よし、これなら・・・!
白「痛って!!」
棘がある・・・出血もした・・・だが、そうも言ってられない・・・飲まないとマジで死ぬ・・・餓死は嫌なんだよ・・・!!そして、サボテンにかぶりつこうとしたその時・・・
白「・・・!?」
何故、気がつかなかったんだ・・・?サボテンには毒がある・・・そんなことをしたら、前回同様、毒死扱いになるだろうが・・・!!でも、これを食べれば、毒死でゲームオーバーになり、このゲームから解放される・・・だが、それでいいのか?何かが違う気がする・・・残り、62時間・・・正直、自分が何がしたいのかがわからない・・・だが、今は飲みたいという欲求に負けてしまう・・・
ゴーゴーゴーゴーッ
白「今度はなんだよ・・・」
向こうから、大きな砂の渦が向かってきてるように見える・・・砂嵐だ・・・
ゴーゴーゴーゴーッ
白「避けられねえっ・・・!!」
砂は、目や鼻に入った・・・
白「痛い・・・痛い・・・痛い・・・痛い・・・」
そして、視界が見えなくなった・・・この前のバチが当たったんだな・・・そして、俺は暗闇の中でももがき、生き続ける・・・
白「今回も・・・クリア・・・しち・・・まう・・・の・・・か・・・」
【ミッションクリア。クリアタイム:59:48。これより転送を開始します】
どうも、今からあなたは死んでくださいの作者ゆいたんです!白くんは闇堕ちしつつも、今回もゲームをクリアしましたね!果たして、白くんに救いはあるのか!?次は、EXTRA。一体、どんな死が待ち受けているのか!?