表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/81

ACT.68 最後の一閃(Ⅰ)

「――ギンコ?」


 懐から突如現れカイトを助けたのは、ジライヤから託された白銀の体毛を持つ妖狐・ギンコだった。

 普段呼ばれないと来ない、来ても言うことを聞かないその妖狐が自身を助けたことに、カイトは驚く。


「お前、どうして」


 カイトのその言葉を聞いたギンコは、ふんと鼻を鳴らし呆れたような表情を作る。

 その表情は、どことなく今までのモノとは違う気がした。

 カイトはそれを見て、何となく察する。


「――一緒に戦ってくれるのか?」


『KUn』


 仕方ないといった素振りで頷くと、ギンコは一声鳴いた。

 その瞬間、ギンコを眩い光が包み込む。

 光が晴れると、そこには空中に一本のカタナが浮いていた。


「これは」


 うっすらと紫色の光を宿す刀身、柄も鍔も純白、柄頭には狐の尾を思わせる飾りのついた、不思議な美しさを持ったカタナだ。

 思わず、カイトはそのカタナを手にする。

 手にした途端、システムアナウンスが視界に表示される。


『【魔剣:銀光】を装備しました。特殊効果により、パッシブスキル【血の対価】、アクティブスキル【古月斬破】を限定習得します』


『【血の対価】:HP残量に反比例して、【古月斬破】の威力を上昇させる(最大500%)』


『【古月斬破】:自身のHPを消費(最大HPの20%)して、通常攻撃力の300%の斬撃を飛ばす。』


 そのアナウンスに瞬時に眼を通し、カイトは強く柄を握りしめる。

 カイトが感じたのは確信だ。


「よし、やれる」


 これならきっと、あの青いオーラを貫通して目の前のクソトカゲを叩き斬れるという確信。

 だが、カイトの変化に気が付いたセイリュウⅡもまた、警戒色を濃くする。

 そこへ、ライガがカイトに駆け寄る。


「――それ、良さそうだね」


「えぇ、きっと当たれば勝てます」


「了解しました。なら、当てる隙はボクたちが稼ぎます」


 そう言うと、ライガは右手を大きく頭上に掲げて、叫ぶ。


「皆さん、ここが最後の正念場です、気張っていきましょう!!」


 全員を鼓舞する叫びを上げたライガは、小さく息を整え再び叫ぶ。


「【奥義:|悪シキ鬼ヨ、ソノ腕落トセ《ラショウモン》】!!」


 ライガが必殺の奥義を唱えた瞬間、彼の背後に古びた巨大な門の幻影が出現する。

 そして幻影の門が開き、中から巨大な鬼の右手が伸びる。


『GUYRTya!』


 その鬼の手がセイリュウⅡに届いた瞬間霧散し、赤い霧に代わる。

 赤い霧はそのまま、セイリュウⅡに纏わりつく。


「ボクの奥義は、相手の全ステータスを五分の一だけ落とします。――ただ、制限時間があって、ボクも動けなくなるので容易には切れませんでしたが」


 それを聞いて、奴に視線を向けると、心なしか息苦しそうに見える。

 確かに、ライガの奥義は効いているようであった。


「今のうちに!!」


「――ありがとうございます!」


 そういって、カイトは走り出し、スズハヤを含めた残存メンバーも同時に動き出す。

 ここからが、本当の最終局面だ。

羅生門は、平安時代に頼光四天王の渡辺綱が、鬼(茨木童子)退治をした場所です。

その際に鬼の右手を切り落とし持ち帰ったそうですが、あとで右手は鬼に取り返されます。

右手を取り返した時に鬼は「お前強すぎるから、金輪際子孫にも関わらないでおくわ(意訳)」と言って去りました。

以降、「渡辺」の性を持つ人の元へは、鬼が来なくなったそうです。

だから「渡辺」さんは、節分の時でも豆まきをしないのだそうな。


その逸話になぞらえて、【奥義:|悪シキ鬼ヨ、ソノ腕落トセ《ラショウモン》】は五体のうち右手分――つまり五分の一ステータスを下げる能力なんですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
colink?cid=39326&size=l
cont_access.php?citi_cont_id=592259473&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ