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ACT.63 “最強”の意地(Ⅰ)


 ジライヤたちが攻勢にでると同時に、対するセイリュウもダウン状態から覚醒する。

 そして、自身に向かってくる羽虫共ーー否、シノビたちを認識した。

 ここに来て初めてセイリュウは、命の危機を感じた。


『GuREEeeeeeeeEeEeeeE!!!』


 そして絶叫する。

 今の自分の頭が、コアが、彼らの攻撃が届く場所にあるという事に。

 “死”の恐怖を初めて感じたセイリュウは、その首を慌てて持ち上げようとする。


「首を上げさせるな!!」


 ジライヤのその指示に応じて、彼の後ろに控えたシノビたちが端に縄を付けたクナイや鉤縄を一斉に放つ。

 セイリュウの首に刺さり巻きいたのを確認した彼らは、縄を引く。

 そうして首を上げさせず、固定させる魂胆ではあったが相手は規格外の巨体・怪力を持つ化け物ーーそう易々と拘束できる筈がない。

 現にセイリュウはそんなの関係なしに鎌首をもたげようとしている。

 

「くっそ駄目か!?」


「ーー任せろ!!」


 そんな彼らの元に、別なシノビたちが加勢する。

 加勢した彼らの正体は、STRに自信のあるシノビたち。

 彼らもその縄を引く役に回ったことによって、縄の拘束力が格段にあがる。

 ーーだが、それでもセイリュウの首一本の力の方がまだ 勝っていた。

 故に拘束する為に力を込める彼らの足元に、無慈悲な轍が刻まれる。

 だが、それでも首を上げるまでの時間は稼げた。


「いくぜぇぇぇええええ!!」


 それで生まれた隙に雪崩れ込むは、一撃の威力に自信があるジライヤを含めた強者たち。


「火遁:業火焔!」

「土遁:土破槌!」


 予め手元で組んで駆け出した為、射程に入った瞬間、その術が炸裂する。

 だが、その瞬間セイリュウが吠え。


『GuGareaAAaaaaAaaa!!』


 その規格外の大咆哮は目に見えぬ衝撃波。

 セイリュウの目前まで迫った攻撃術がその衝撃波によって掻き消され、大気を震わせ大地を割りながらジライヤたちに襲いかかる。


「ぐっ!? ーーここにき、新たな攻撃スキルか!」


 その咆哮を受け、ジライヤは大地を踏みしめ耐えるーーが、それが出来たのは彼だけであった。

 周りで同じように攻撃を受けた七人のうち、上位帯のシノビたちは遥か後方に吹き飛ばされ、中位帯のシノビたちに限っては、塵となって砕け散った。


「ーーな!?」


 目の前で起こった衝撃的な事実を目の当たりにして、ジライヤはひとつの考えに思い至る。


「(これは、対象のレベルなんかを参照して効果を変えるスキルか!)」


 このスキルの安全圏内は不明。

 ジライヤ自身は無事であったが、称号職である彼は()()()違う為あてにならない。

 ここにきて、貴重な人員を犠牲にその上限をトライ&エラーで探るなんて真似が絶対に出来ない。

 ならばどうするかーー決まっている。


「攻撃係は一時接近を中止!! 超遠距離(スナイプ)出来る奴以外は、拘束を手伝ってくれ!!」


 後方に指示を出すジライヤ。

 そして、目の前のセイリュウに向き直る。

 ジライヤの心には、感情の嵐が吹き荒れていた。

 ーーこんなピンチは、いつ振りだろうか。

 ーーこんな強敵に遭い見えるのは、いつ振りだろうか。

 ーーこんなに()()()()するのは、いつ振りだろうか。

 そんなことを考え、彼の表情がガラリと変わる。

 目はギラギラと輝き、獰猛に釣り上がったその口元。

 

「ーーコイツは俺が仕留める」


 そこにあったのは、いつもの道化地味た大男ではない。

 ーーそこにあったのは、一匹の虎狼(シノビ)

 強者と戦う事を史上の喜びを見出す、獣であった。


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