ACT.62 "極青冠"の真実(Ⅲ)
▽▲▽
『システムアナウンス。 【極青冠セイリュウ討伐戦】のクリア条件が更新されました。【極青冠セイリュウ】の討伐及び、【極青冠セイリュウⅡ】の討伐』
そのアナウンスが流れた瞬間、最も動揺したのはおそらくセイリュウのダウンをようやく取ったジライヤ班のシノビたちであった。
「じ、ジライヤさん! これは一体どういう状況になってるんですか!?」
「ーーそうか、卵」
ぼそりとそんなことをジライヤは呟く。
「ソーね、おそらく上陸班が目標にしてた赤い珠はコアじゃなくて、卵だったってことじゃないかしラ。 それでソれが、親の危機によって孵化したット」
「そ、そんな」
ジライヤがこの場でした推測は実に的を射たモノであったが、それを知った班員たちの間に動揺が走る。
「ど、どうすれば!?」「親をダウンさせるだけでここまで危険だったのに更にもう一体って!」「嘘だろ、無理だこんなの!」「無理ゲーじゃねーか!!」
「シャーラップ!!」
その広がる動揺を、ジライヤの大声が掻き消す。
毅然とした態度で、腕を組んで声を出して班員たちに向かい合う。
「相手の額のコアはもう見えている、倒せない相手ではない!!」
彼のセリフに、今回はいつものようなおちゃらけた雰囲気は無い。
いつもと違う空気に、シノビたちは黙って耳を傾ける。
「子は上陸班が絶対に討伐する!! それを彼らが成し遂げた時、お前らが逃げていたら、顔向けできるか! ここにいるのは、このジライヤが認めたシノビたちでは無かったのか!」
ジライヤは全員に響く声で、激励をする。
その言葉には、一切の嘘も誇張も無い。
彼が真に仲間たちを信用していることは、その言葉を受け取った全員に過分なく伝わっていった。
「戦いを恐れるな、敗北を恐れるな! 栄光はその恐怖の先にしか無い! それでももし怖いというならこのことを思い出せ!!」
「ーーお前たちの側には、オレが居る。お前たちを負け犬になんか、オレがさせねぇ!!」
「ーージライヤさん」
「そうだ、俺たちはシノビ。こんなことで挫けてられない」
「やってやろうぜ!!」
ジライヤの激励が、シノビたちの消えかけた戦意に再び火をつける。
伝播していく希望と意思を見て、ジライヤはーー影の国最強のシノビはニヤリと笑う。
「未だかつて無いジャイアントキリングを楽しめ! そして勝って栄光を手にするのは、オレたちだ!! ーーいくぞ!!」
ジライヤのその声に合わせて、彼らは一気加勢にセイリュウに向かう。
【極青冠セイリュウ】vsジライヤ班、その最終決戦も今ここに火蓋が切っておとされた。




