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ACT.61 "極青冠"の真実(Ⅱ)


「ーーセイリュウⅡだと?」


 カイトがそう呟きながら倒れた姿勢から起き上がる。

 目の前の妖魔は、確かにその名前の通り、自分達が今上陸している【極青冠セイリュウ】に酷似した姿をしていた。

 そして、名前に冠されたⅡの文字。

 ーーつまり、それが指し示すことは。


「セイリュウの子供ということですか」


 カイトのすぐそばで、呆然としたようにスズハヤが言う。

 それを肯定するかのように、即座に新たなシステムアナウンスがコールされる。


『システムアナウンス。 【極青冠セイリュウ討伐戦】のクリア条件が更新されました。【極青冠セイリュウ】の討伐及び、【極青冠セイリュウⅡ】の討伐』


 その新アナウンスに、カイトは思わず右手で頭を抱える。

 つまり、弱点部位と思っていた赤い珠の正体は、セイリュウの卵。

 有効打を与えるつもりでここまできたが、それは無駄足だったという事かと、いやむしろクリア難易度が上がったことを考えると藪蛇だったのでは。

 そう考えて、カイトの心は一瞬折れかける。


「いや、違うと思うよカイト」


 そこでカイトに後ろからレナが声をかける。


「こんなギミック、ここで作動していなかったらそれこそこの後にどんな影響があるかわからなかったと思う」


「えぇ、それは僕も同感です。これはただのクエストではなく、クロニクル・クエスト。どう後に尾を引くかわかったものでは」


 ーーそう、今回のコレは例外尽くしのイベントクエスト。

 今後のゲーム運営をも左右するクエストだ。

 スズハヤが言った様に、今ここで見逃してしまったが最後、重大な惨事を引き起こしていた可能性も否めない。


「ーーそうだな、本体の事は後回しだ! 今はこのちっこいのをなんとかするか!」


 そう言ってカイトは立ち上がる。

 カイトやスズハヤ、レナを始めとした生き残ったシノビたちの闘志はまだ衰えていない。


「そうです、皆んな行きますよ!」


 瞬間、リーダーであるライガの声を合図に、生き残った8人のシノビたちが最後の戦いに身を投じた。


▽▲▽


 しかし、その戦いは熾烈を極めた。

 鞭の様な尾による広範囲攻撃、口から放たれる熱線、屈強な体躯による突進ーーその全てが致命傷になりうる威力を備えていた。

 ここで戦うシノビたちも相手取るセイリュウⅡに対して、油断などは誰一人としていていない。

 いくら体躯小型でも目の前にいるのは【極青冠】を名乗るに相応しい力を持っている怪物であった。


「【陽遁:閃光拍】!!」


 白い忍び装束を着たシノビが、セイリュウⅡの目眼前で大きく両手を打ち鳴らす。すると眩い閃光が走り、セイリュウⅡの視界を奪う。

 しかし、その瞬間尾による鋭い攻撃が、白いシノビの身体を両断する。

 青いエフェクトとして消えゆくその身体ごと、その後ろに控えていた絡繰の四肢を持つ別なシノビが右腕を変形させたガトリングガンを連射する。

 その弾丸の多くは硬い鱗に阻まれて弾かれるが、一部は狙った眼球に直撃し、真紅のダメージエフェクトを弾けさせる。


『GRARAEEEAAAA!?』


 目を潰されて暴れだすセイリュウⅡの体躯が、絡繰のシノビを轢き殺さんと迫る瞬間、その彼女を横から蹴り飛ばしたシノビがいた。


「ーー先輩!」


 絡繰のシノビを救った彼は、彼女が振り向いた時には、青く砕けていた。


 戦闘開始から、僅か数分。

 ーー状況は、絶望的であった。

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