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ACT.58 それぞれの戦場(Ⅴ)

 

▽▲▽


 戦いの先陣を切ったのは、意外にもレナだった。


「【奥義:鬼蜘蛛の怪腕】――からの【火遁:阿修羅分身】!!」


 レナの背中から生えた四本――いや十二本の怪腕は、そこに携えた巨爪で次々と【“青冠”の雷狗竜】たちを迎撃する。

 その隙に、レナの背後でナギが高速で印を組む。


「いきます、【木遁:雷神戦域:白夜行】!!」


 ナギの放った雷が、一体の【“青冠”の雷狗竜】に命中。

 そいつは瞬く間に、青いエフェクトになって砕け散る。

 この一連の流れでカイトは確信する。


「こいつら、【“青冠”の嶺兎】より弱いぞ!」


 レベルが下なのか、耐久力が下なのかは定かではないが、【“青冠”の嶺兎】より、【“青冠”の雷狗竜】のほうが倒しやすいことに変わりはなかった。


 ――だが、いかんせん数が多い、そして速い。


 各所で戦闘が勃発していたが、どこも結構苦戦して、なかなか本来の目標点に向って進めないといった有様だった。


「これは、ちょっとまずいのでは?」


 【“青冠”の嶺兎】より弱いと叫んでおきながら、【“青冠”の雷狗竜】も通常妖魔よりも強い。

 クナイを構えて、レナの死角になる背中を守りながら、カイトは少し焦る。

 その時、周囲を何か高速で駆け抜けた。

 何かは、周囲の木々ごと【“青冠”の雷狗竜】たちを両断し、そしてくるくると旋回しながら持ち主の元へ舞い戻る。


「成る程、でもこれぐらいなら僕の敵じゃない」


 そう不敵に笑うのは、スズハヤ。

 奴は、自身の奥義で二枚の巨大手裏剣を操作しながらそう言ってのけた。

 そして、瞬く間にその手裏剣を走らせ、周囲の【“青冠”の雷狗竜】を屠っていく。

 圧倒的なその実力にカイトらは啞然とするが、ここにきて、これほど頼りになる味方もそうそういないと思った。

 そして、その様子を見たライガは、叫ぶ。


「スズハヤさん、カイトさん、二人で活路を開いてください!!」


 手に持った杖で戦いながら、ライガはそう指示を出した。


「スズハヤはわかるけど、なんで俺!?――まあいい! やってやろうぜ!!」


「うん、行こう!」


 カイトとスズハヤは、コアのある方向へ向き直る。

 そして、一斉に駆け出した。


 その道中で襲い掛かる【“青冠”の雷狗竜】たちを、カイトは全力で無視した。

 抜群の素早さと、多少のダメージを恐れなくて済むというカイトの性質ゆえにできる大胆な行動が、最速で前に進む力になる。

 そして、どうしても邪魔な敵が立ち塞がった場合は、そのクナイを振るった。


「【木遁:韋駄天】!」


 韋駄天で加速したのち、飛び膝蹴りを相手の下あごにぶちかます。

 ぶちかましたあとにすかさず頚にクナイを突き刺すという、最低限の所作で暗殺者の如く目標を倒し、再度走りだす。

 そして、そんなカイトの背後から追いかける【“青冠”の雷狗竜】を狩るのは、スズハヤの役目だ。

 【奥義:鋼ノ猟犬命ヲ喰ラエ】を用いた、疑似オールレンジ攻撃で、効率的かつ容赦なくその命を刈り取っていく。

 こうして進む彼らのうしろには、一つの道ができる。


「みんな、余裕が出来た者から、彼らの後ろに続いてくれ!!」


 ――事前準備も何もなしに行った、このコンビネーション。

 今、この場だけで言えば、この2人は最高の相棒同士であった。



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