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ACT.53 作戦会議(Ⅳ)

先日に依頼した、レナの挿絵がこちらです!

挿絵(By みてみん)

皆さまのイメージに合っていたら、幸いです。


……反響があれば、カイトも依頼しようかな?

 

▽▲▽


「久しぶりだな、スズハヤ」


「――久しぶりだね、カイト」


 そういって青年は――いや、この円卓に現れた最後の仲間・スズハヤはカイトの元へやってきた。


「まさか、君がここに――いいや、愚問か。僕と同じく高みを目指す君のことだ、此処にいても不思議じゃない」


「俺は、高みを目指しているだなんて公言した覚えはない。楽しそうなことに、片っ端から首を突っ込んでるだけだ」


「でもその先には僕がいたと? それは頂を目指しているのと変わらないのでは?」


「かもな。ついでに見るなら、高いところからの景色の方がたのしそうではあるな」


 ここまで一息で会話の応酬をして、初めて二人の視線が交錯する。

 お互いの視線は無自覚に剣呑なモノになり、バチリと火花が散ったような錯覚を、間近で見ていたナギに見せつけた。


「――あの、お二人ってなんでそんなに仲が悪いんですか」


「「いいや、仲良しだけど?」」


「絶対嘘ですよね!?」


 嘘ではない。

 ちょっとお互いがお互いをライバル視しすぎなだけである。


 閑話休題。


「さて、それじゃあ今回の作戦について説明するからちゃんと聞けよ?」


「あぁ、頼む」


 そういってカイトはウインドウを操作して、作戦説明に必要な【“極青冠”セイリュウ】の全体画像をポップアップさせる。


「まず、全体に三班に分かれる。ジライヤ班、アキハ班、ライガ班だ」


「僕は、アキハさんの傘下からの参加だからアキハ班?」


「いや違うな、お前はおそらくライガ班だ。その辺は、後で上司に確認しとけ」


 カイトはスズハヤの言葉を否定して、話を進める。

 今回の作戦構造は至ってシンプルだと、カイトは話す。


「まず、ジライヤ班が左脚を、アキハ班が右脚を攻撃してダウンを取る。その隙に、ライガ班が背に上陸して、弱点部位らしきコアを目指して進軍し、破壊するって単純な構造だ」


「確かにシンプルだね」


「まぁ、こうしないといけない理由があるんだけどな」


 作戦がシンプルな構造になったのは、ひとえに優秀な人材が不足していることが原因だった。

 まず大前提をもって、ここは“影の国”――RPGにおける始まりの街みたいなポジションの国だ。

 多くのシノビは、ここで成長し、他国へ渡っていく。

 その為、今回の作戦に参加するシノビの過半数以上が、大規模戦闘未経験、または経験の少ない下忍中忍中心であった。

 百人近い人数での戦闘に慣れていなく、立ち回りをわかっていない彼らに指示を出す役割を担う上忍すら少ない。

 だからこそ、指揮系統は三分割、作戦構造は初心者でも理解しやすいようにシンプルにしなければならなかったのである。


「まぁ、アキハ班とジライヤ班が少なすぎて、正直ダウン取れるのか俺は不安だけどな」


「あ、それなら大丈夫ですね」


 説明しながらも、ジライヤとアキハの実力を知らない為不安になったカイトに、あっさりとナギが答える。


「あの二人の実力なら全然問題ないですよ。むしろ、余裕もって編成したなって、わたしは思ったくらいです」


「僕もそこには同意だ。あまり彼等を舐めない方がいい」


 ナギの少し驚くべき回答に、スズハヤも同意を示す。

 どうやら、この場で例の二人の実力を知らないのは、カイトのみのようだ。


「特に、アキハさんの奥義は圧巻ですよ。なんて言ったって――」


「ナギさん、ちょっとここは内緒にしておきませんか? 驚く彼の姿が僕は見たいです」


「あ、それもそうですね」


「おい」


 謎の笑顔を浮かべる二人に、若干あきれた表情を浮かべたカイトは、最後にこういってこの場を締めた。


「じゃあ、スズハヤ。今回はよろしくな。正直、心強いよ」


「それはこちらもだよ、カイト。是非よろしく」


 そうして、二人は硬く握手を結んだ。

 因縁のライバル同士の、初共闘である。


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