ACT.51 作戦会議(Ⅱ)
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「それでは、この場の進行はボクことライガが務めさせていただきます」
そういって立ち上がったライガは、手元の進行表を見ながら、話を続ける。
「まずは、中央ウインドウに表示される画面をご覧ください」
ライガがそう言うや否や、中央にある画像がウインドウで表示される。
画像は、色鉛筆で実写と見まごう程に緻密に描かれた【“極青冠”セイリュウ】の姿だった。
その画像は、ナギが昨日の前哨戦で見た記憶をもとに、一日で描き切ったものだ。
「おいおい、なんだこれ? 竜ってより怪獣じゃねぇか」
「むしろ体形的には恐竜じゃね?」
セイリュウの姿をこの場で初めてみた面々は、驚きの声を上げた。
「大きさは?」
「高さは約700m、横幅や奥行きもソレに応じた大きさはあるかと」
その規格外の大きさをライガが答えると、会場が一斉にどよめく。
「それってちょっとした山じゃん!?」
「そんなのにどう立ち回ればいいんだよ?」
「――えー、皆さん静粛に。じゃあ、この場で各忍軍が得た情報を公開していきましょう。まず我々の方ですが」
ライガに目線で促され、カイトが席を立って話し始める。
「まず、各種攻撃に対する耐性ですが、これは全属性に対して“無し”でした。青龍が木行を
司る四神であるので、火・金遁は効きそうかと思ったのですが、そうではなく土遁等と同じ効き目でした」
「逆に、まったく効かなかったのもなかったと?」
「はい、そうですね。ただ外皮が厚かったので、生半可な物理攻撃は効かなかったです」
あの後、複数のクナイを投擲する技【暗器術:秋時雨】を放ったものの、多くを弾き返されてしまった。
その経験を踏まえて話すと、円卓を囲むほぼ全員が、渋い顔をする。
「つまるところ、必要になってくるのは、大火力か」
「あの巨体をどうこうするレベルの火力を出せるシノビは、この国にどれだけいる?」
この“影の国”は、中立地帯にしていわば始まりの街。
上忍をはじめとした強力なシノビは、大抵三国に移籍しており、慢性的に実力者が不足している状況だ。
「――俺からは以上です」
そして、カイトに続いて他の忍軍の威力偵察隊からの報告が続く。
そして他にわかったことは三つ。
一つは、モーション。
攻撃モーションは、四肢による踏みつけと、尾を叩きつけ薙ぎ払う攻撃の二種類。口からビーム等の遠距離攻撃はしないとのこと。
ただ、尾の長さが尋常ではないため、あれは実質遠距離攻撃だとも。
次に、ヘイトについて。
奴はかなり神経質らしく、細かい――例えばミリもHPを削れなかったとしても、即座に攻撃対象に認定して襲い掛かる。
だが、攻撃さえしなければ、どんなに近づいても攻撃しないとも。
そして、最後に。
「えー、最後にですね、奴は背中を攻撃されるとひどく激怒します」
「――背中?」
「はい、背中です。我々【月下牙狼忍軍】が背に縄付きの矢を当てて上陸を試みたところ、酷く暴れ抵抗されました」
坊主頭のそのシノビからの報告を聞いたライガは、そこでやっぱりと呟く。
「おい、なにがやっぱりなんだよ?」
そのことをアキハが問うと、ライガが先ほどの全体画像の背中、その中央よりやや首元よりの場所に印をつける。
「実は、この絵を描いたナギさんから不確定な情報をもらっていて」
「不確定なじょうほうだぁ?」
「この位置に、赤く大きな珠が見えたそうなんだよ」
「あ!?」
その一言にまた円卓がどよめく。
「い、一瞬だったので見間違いかもしれなくて――」
申し訳なさそうな顔でそういうが、ライガは何かを確信したようにこういう。
「おそらく、背中にあるソレは【コア】。弱点部位だと予想する!」
「――成る程。だから奴は背中を守ったっと?」
「おそらくですが」
その降ってわいた希望に全員の表所に活力が宿る。
「なら、なんとか背中に上陸できれば」
「――それなら、任せて下さイ」
そこで、いままでなりゆきを見守っていたジライヤが声を上げる。
「Meが左足を、アキハが右足を止めま~す! その隙に編成した選抜隊を送ってくださイ」
「ちょっ、てめジライヤ! 勝手に決めるなよ!」
「出来ないンですカ?」
「出来るわ、なめんな!!」
ジライヤの安すぎる挑発にあっさり乗ったアキハの姿に、心の中で失笑するカイト。
しかしそれでも、あのセイリュウを止められると豪語し、実際にジライヤからソレだけの信頼を勝ち取っているその実力にも、内心舌を巻く。
「それじゃア、その方向性で作戦を詰めていきましょウ。『セイリュウ上陸作戦』ってネ!」
今、祖父が亡くなってしまいました。
父方の祖父で、幼い頃から一緒にいてくれた頑固なところもあったけど、優しいおじいちゃんでした。
いつも通り小説書いてた方が落ち着くかもしれませんが、そうじゃないかもしれません。
ちょっとの間、更新が滞るかもしれませんが、ご了承下さい。




