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ACT.48 ファースト・コンタクト(Ⅵ)


▽▲▽


 【暗夜公忍軍】の拠点での一件から三日後、【“極青冠”セイリュウ】討伐戦を四日後に控えたその日、カイトたち三人はクエストカウンター前に集合していた。


「さて、レナもナギも準備というか、クエストに挑む前の買い忘れは無いか?」


「んー、多分ないなか? 昨日の段階でもらった前金であらかた用意できたと思うし」


 そう、彼らは結局ライガからの依頼を受けることにした。

 【“極青冠”セイリュウ】討伐には是が非でも参加したいカイトたちにとっては、あの条件は非常に魅力的だ。

 そして、“影の国”三大忍軍と呼ばれる大手にコネクションが作れるのも、大きな利点だった。

 ライガ曰く、【“極黒冠”ゲンブ】の時の招待状は、四日前にアンロックされたらしい。

 つまり、その例に倣うなら今日がカイトたちの招待状が効力を発揮する時であった。


「わたしも多分これ以上準備できることはないです。 ただ、未だに少し不安ですね、レイドボスというものがどのような相手かわからないのですから」


「ナギちゃんは、心配性だなぁ。大丈夫だって、もしもの時はカイト盾にして逃げればいいんだし」


「おいこら」


「カイトは死んでも死なないから大丈夫でしょ?」


「いや、死んだら死ぬわ」


「カイトの奥義だったら死んでも復活できるじゃん」


「できないからな、一応言っとくけど」


 カイトの【奥義:黄泉ノ凱旋者】は、正確には死から蘇る技ではない。

 完全に死してからだと、奥義が発動する間もなくそのまま死ぬので、正しくは死の淵から舞い戻る技といえよう。

 レナには勘違いされていたが、カイト自身は自身の奥義の本質はしっかり理解していた。


「とりあえず、ならクエストを受注しようか」


 そういって三人はクエストカウンターへ向かう。

 カイトがカウンターでクエストメニューを操作すると、そこには赤く特殊なエフェクトを纏ったクエスト名が浮かび上がる。

 その名は『【“極青冠”セイリュウ】前哨戦』、四十分という制限が付いたクエストだ。

 カイトは、迷うことなくソレを選択する。


「よし、受注したぞ」


「OK、じゃあレッツゴー!」


 レナはそういって高らかに声を上げ、腕を振り上げ音頭を取る。

 その声に合わせてナギは控えめに、カイトは少しやる気なさげに腕をあげる。


「ちょっと乗り悪い!」


「お前には、リーダーシップ的なのが足りないから仕方ない」


「酷くない!?」


「じゃ、じゃあここは唯一の上忍であるわたしが――」


「「ソレはない」」


「あの、わたしの扱い最近悪くないですか?」


「レナよりマシだと思えば気が楽になるよ」


「それは確かにそうですが」


「私の! 扱いが! 悪い!?」


 大事な一戦を前にしても、何時もの通りの気楽さで、彼らは“門”をくぐった。

 『【“極青冠”セイリュウ】前哨戦』の始まりである。



▽▲▽



 そう言った彼らが到着したのは、嵐吹きすさぶ大渓谷エリア。

 この大渓谷エリアは、この“影の国”では数少ない高レベル帯エリアであり、カイトとレナは初めて訪れたエリアであった。

 どの断崖絶壁の上に立つカイトたちが降り立つ。

 

「さて、件の【極青冠】とやらはどこかなっと――」


 そう言って周辺を見渡そうとしたカイトの耳に、大地を割るかのごとき轟音が届く。

 

「な、なに!?」


 その轟音の轟く方向を慌てて振り向く三人の眼に飛び込んできたのは――。


『GYU、GYAAAAAAAAA――!!!!』


 その大渓谷の幅を優に超える巨体で、その渓谷を割り、裂き、砕きながら進む動く山岳地帯があった。

 強靭な四肢は、樹齢云千年を超える巨樹の如く。

 長い尾と首は、それ自体が一匹の龍の巨体の如く。

 そしてその背には、鬱葱とした森が生い茂る。


「――嘘だろ」


 大渓谷を破壊しながら進むソレこそが、【“極青冠”セイリュウ】。

 山岳の如き圧倒的な巨躯を持つ、暴竜である。


 


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