番外編 カスタムパートナーズ・クロス(Ⅳ)
本日三回目の更新です!
前の見てない人は、ちょっと戻ってから見にきてね!
あと、おまたせしました。
明日から、第三章はじまります!
▽▲▽
――5分。
それが、タマがクワガタ軍団を全て駆逐するのに要した時間だった。
凄まじいその獅子奮迅っぷりに、カイトは空いた口が塞がらず、最後の方では一周回って大爆笑していた。
「ははははははっ、こ、こりゃすごい! 確かに最強だわ!」
「いや、カイトもカイトで大概だと思う。なんだそれ、ダメージ全回復とか。心配して損したわ」
「その件に関しては、ちゃんと言ってなかった俺が悪かった。ごめん、ナガマサさん」
「――いや、まぁ無事ならいいんだ」
そう、一時は瀕死の重傷を負っていたカイトだったが、その傷は自前の奥義で既に完治していた。
ナガマサはそのカイトのユニークスキルを見て、自分も大概だけどカイトだって十分チートの域だと思った。
野郎二人がそんな会話を繰り広げている傍らで、今回のMVPたるタマと今回最役立たず賞を受賞したレナは、仲良くハイタッチをしていた。
「いえーい、タマちゃん強いね!」
「いえーい、タマはさいきょーなのだ!」
そんな二人を見つつ、カイトはそっと嘆息する。
何はともあれ、タマとレナが行動を共にしていたおかげで、今この瞬間に問題は全て解決したといっても過言ではなかった。
「離れ離れだった俺たち二組も無事合流出来て、タマのおかげでクエストのクリア条件も満たせた――お?」
クエストの確認の為ウインドウを見たカイトが、小さく驚きの声をあげる。
そのクエスト画面には、先ほどまでなかった【報告と帰投】のボタンが表示されていた。
「どうやら、今回の冒険は此処までみたいだな」
カイトのウインドウをのぞき込んだナガマサがそう言う。
「――そうらしいな」
ナガマサの言葉に、少し寂し気にカイトがうなずく。
「おい、レナ。そろそろ帰るぞ」
「タマ、俺たちも帰ろうか」
そう言ってナガマサとカイトが、仲良くはしゃいでいる二人のもとへ近づく。
「タマおなかすいたー」
「あー、そっか。もう帰るんだ」
「当たり前だ。詳しい事情はあとで話すが、此処からは一刻も早く出た方がいい」
こうしてレナのそばに移動してきたカイトは、ウインドウの【報告と帰投】のボタンをタップする。
すると、カイトとレナの身体が、徐々に黄金の粒子となって空間の中に溶けていく。
「――ナガマサさん、短い間だったけど一緒に戦ってくれて心強かった。ありがとう」
「いや、こちらこそ。助かったよ」
「じゃあね、タマちゃんまた遊ぼうね!」
「おー、レナも元気でね!」
それぞれが、思い思いに消えゆく短い時間に別れの言葉を交わす。
この四人には、短い間で確かな絆が芽生えたような気がしていた。
「カスタムパートナー・オンライン。正式にリリースしたら、俺たちまた会いに行きますので、一緒に冒険しましょうね」
カイトが再開の言葉を口にしたのを最後に、二人は消えて元の世界に帰って行った。
「――それじゃ、俺たちもストーレの街に帰ろうか」
「おー、帰ろ!」
こうして、残された二人も霧が晴れたストーレの森を歩き出した。
▽▲▽
今回の一風変わった冒険譚は、きっとそれぞれの胸の中にのみとどめられて、語られることはないだろう。
しかし、縁は結ばれて、四人は再開を誓い合った。
きっと、もしかしたらまたどこかで出会うのかもしれないが、またそれは別な話。
こうして何の因果か交わった二つの世界は、元に戻り、またそれぞれの未来へ歩き出したのであった――。
The END
「クロスオーバーとか、やってみたいなー」とツイッターで呟いたところ、快く引き受けて下さり実現しました!
作品は、俊郎先生の「ゲームで第二の人生を!~最強?チート?ユニークスキル無双で自由に楽しく生きていく!スローライフ風味のまったりのんびりハチャメチャライフ!?~」です。
https://ncode.syosetu.com/n9420fe/?p=2
ユニークチートな主人公の愉快痛快な第二の人生が魅力的な作品です!
私の執筆力では、先生の力量を再現できてはいないので、興味を持たれましたら、是非本編に遊びに行ってみて下さい!
また、向こうにもカイトとレナが遊びに行ってるので是非是非ご覧ください‼︎




