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ACT.31 “CHRONICLE”の胎動(Ⅴ)


▽▲▽



 【“砲弾”の鉛兎】との第一次遭遇戦から一時間後。

 カイトたちは再びミナトの公園に集まっていた。

 そこで前回得た情報をもとに作戦会議をはじめて――いなかった。


「カイト君さぁ、あのとき『自分がデータを引き出す』って言ってたよね?」


「――はい」


 何故か正座させられるカイト。

 そして何故かカイトの前で仁王立ちするレナ。


「でもさぁ、瞬殺どころか秒殺されちゃってさぁ、あれ十分な情報引き出せたって言えるのかなぁ? 言えないよねぇ?」


「おっしゃる通りで」


 何故か、カイトの公開説教が始まっていた。

 傍から見ているナギからは、レナが妙に楽しそうにしているように思えた。

 実際に、その感想は正解だ。

 普段、「アホ」だの「ポンコツ」だの好き勝手にイジられているレナからすれは、今できたてほやほやのカイトのミスをイジり返せるのは、いつもの逆襲といえ、楽しくないわけがなかったのである。


「挙句の果てには、『別に、俺一人で倒してしまっても、構わないだろう?』的なセリフ言ってあのざまですか?」


「いや、待て! そんなことは言った記憶がない!」


「えー、い い ま し た ! ねー、ナギちゃん?」


「えーと、それを言ったのはレナさんだった気が――」


「兎も角! カイトが悪い!」


 都合の悪いことを口走りかけたナギの言葉を途中で遮って、レナは強引に話を打ち切った。


「でもですね、カイトさんは十分情報を引き出してくれた方だと思いますよ?」


「だよな! 俺、頑張ったよな!?」


 ここにきてナギの言葉でようやく息を吹き返し、いつもの調子を取り戻したカイト。


「じゃあ、ここで【“砲弾”の鉛兎】が通常個体とレベル以外に何が違うかをあげていきましょう」


 そう言って彼女か提示した、特異な点は三つだ。


 一つ目が、大きさ。

 通常個体の三倍近い大きさは、そのまま突進攻撃の当たり判定の拡張につながっているので、純粋に厄介。

 更にいうなら、あのサイズが猛スピードで自分に向ってくるというのは、相手に心理的な圧迫をかけて避けられづらくなるという副次効果も見込める。


 次に、スピード。

 通常個体よりはるかに高い走力と瞬発力は、攻撃力の上昇につながっている為、これも非常に強力。

 距離を瞬時に詰めてくるので、こちら側の適正な間合いで戦えなくなるという点も辛いところである。


 そして最後に――


「――あの空を蹴る能力、だよな?」


「えぇ、そうですね」


「ただの二段ジャンプ、とかみたいな使い方しかできないならともかく、空中で姿勢制御までして垂直に曲がるように跳んできたからな」


「更に言うと、あの能力が一度に何度でも発動できる可能性が残っていることも、非常に厄介です」


「あの大きさで、すごく速くて、尚且つ空中殺法も身に着けているってどんな兎さ?」

「俺が知るか!」


 そんなことをいって頭をかかえるレナ。

 だが、カイトは意外なほどけろっとした顔でこんなことを言った。


「――いやまぁ、一応作戦は練ってきたけどな、デスペナ中に」


「え、ホントに!?」


「どんな作戦ですか?」


 二人の期待の視線が、カイトに刺さる。

 そこでカイトは、一つ咳ばらいをしてこう答えた。




「名づけて、『前方不注意は事故のもとだよ!』作戦だ!!」




「――あの、レナさん。カイトさんってもしかして」


「うん、昔からネーミングセンスは壊滅してる」



話を書くたびに、当初の設定より残念化が進むカイトとレナ……。

作者の制御を半ば離れてる感がある。

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