#2 夢のはじまり
"ねぇ、ここが見えるの?わたしの声が聞こえるの?"
───こっ、ここはどこ?
目を覚ました私の周りには、辺り一面、色とりどりの花が咲く草原が広がっていた。ふと空を見上げると、青い空がだんだん、ピンクというか、紫というか…不思議な色に変わっていった。ここは現実ではない…。そう感じた私は、おそるおそる後ろを振り返った。
「ちょっとそこのあんた、あたしの森で何してるの?」
ぎゃあぁぁぁぁ〰️空から女の子が降ってきたぁぁぁぁ〰️!……えっ、森?私は辺りを見渡した。さっきの花畑はなく、代わりに暗く不気味な森が私達2人を囲んでいた。
「あんた、すごいよ。瞬間移動魔法が使えるなんて。」
一体何を言い出すの?私がそんなもの使えるわけが…と言おうとしたが、あまりにもびっくりしたため、声が出なかった。
「あっ、そうだ。あたしの魔法学校に入学してみない?」
女の子はどこからか大きな宝石の付いた長い杖を取り出し、私の方へ杖の先を向けた。
「ヴェニーレ・ウニフォルム!」
そのとたん、私の周りが光り出し、気がつくと胸に大きなリボンの付いた深紅色のセーラー服を着ていた。
「それがエリス魔法学校の制服だよ。じゃあー、その学校に来てね、待ってるよ!」
「あっ…、ちょっと…」
間に合わなかった。私は急いで辺りを見渡したが、女の子はもうすでに消えていた。
「これが本物の瞬間移動なのか…。」
私は何か幻でも見たのかという感覚だった。それより、どうやってこの暗い森を抜けて魔法学校へ行くのか……と、そのとき!
「君、今迷ってるよね?」
えっ何なに?あー、びっくりした…。だっていきなり目の前に煙が出てきてその中からヘンな生き物が出てくるからさ…。
「我はヘンな生き物じゃない!妖精ラクスフェルアだ!」
黒猫の耳と尻尾が生え、背中には宝石のような6枚の羽を付けた金髪のおしゃれで不思議な妖精ラクスフェルアは真面目な表情に変え、続けて語り始めた。
「君は魔法学校に行かなければいけないんだ。でも、君1人じゃ分かんないだろうし、それに危ないから我が付いていく。魔王が復活したんだ。あれは大昔の2年前、魔王はこの世界を征服しようと企んだんだ。街は破壊された。そこへ1人の英雄、レグナークラと呼ばれる者が現れた。レグナークラ様は魔王を封印し、破壊された街を元通りにしたんだ。しかしつい最近の1週間前、その封印が解かれ魔王が再び世界を我が物にしようとし始めてるんだ。このままではレグナークラ様が危ない。君はその学校で魔法を学び、魔王を倒さねばならない。」
「そっ、そんなの、私には無理だよ〰️」
「これは神様からのご命令だ。従わなければならない。」
えっ…そんな……。
「行くゾ」ラクスフェルアは人間の姿になった。私はラクスフェルアと手をつないだ。
「モーヴェレ・アッド・エリス!」
ラクスフェルアがそう言うと、私の体がふわっと一瞬軽くなり、気がつくとピンク色をしたお城のような建物の前に私達2人は立っていた。
「この門の向こうで校長様が待っている。会って話をするんだ。話が終わったらまた会おう。君の幸運を祈る。」
ラクスフェルアはそう言い、10cmくらいの小さな妖精に戻ってどこかへ行ってしまった。