帰省
ここからまた新章って感じです。
「なぜじゃ!なぜこうも当たらん!?」
パンパンと乾いた発砲音が続いて響くが、30m先の的の金属板を叩く音は全く聞こえてこず、弾丸は明後日の方向へと飛翔する。
場所は帰ってきた我が領地。
無事北方での目的を達成した俺たちは再び陸路で帰ってきていた。
結構な長旅だったので、私兵を含めた全員が疲弊していたため数日の休日を取り、俺たちは早速次のことを始めていた。
そのうちの1つが航空機の運用指導を含めた、部隊の近代化だ。
特に航空機の運用に関しては、長距離の移動で陸路を使うのは思った以上に疲れることが判明したため、空路が使えるようにヘリコプターやティルトローター機の操縦を教えている。
ゆくゆくは滑走路を作って固定翼機も運用したいものだが……膨大な時間が必要になることは簡単にわかるので、しばらくは置いておこう。
そして近代化。
これは簡単に個人装備の更新だ。
私兵部隊の練度も上がり、信頼もおける存在になってきたので、すでに装備はほぼ現代に近づいている。
小銃はH&K G3を中心に、MP5やPSG-1などに置き換わり、服装はタクティカルベストなどを着込むようになったので、外見はさながらPMCである。
そんな彼らが今行っているのは、ヘリボーンだ。
せっかくヘリコプター運用ができるようになるんだからとついでにヘリボーン能力も身につけさせることにした。
数週間の訓練を経て私兵部隊はこれらをマスターしつつあるので、今はアイリスに監督を任せ、俺は別のことをしていた。
桜の訓練である。
「む、むぅ……トーヤよ。やっぱり当たらん」
桜も仲間になった以上最低限の戦闘知識は身につけないと、ということで指導を始めたんだが……既に俺はお手上げだった。
車の運転は、身長の問題でいろいろ苦労したが、まぁ一応はできるようになった。
だが、桜は射撃……銃の扱いに関しては致命的にセンスがなかった。
今も10mでの拳銃射撃だが、何度教えて、構えを修正しても、なぜか当たらないのだ。
「……これはこれで仕方ないかぁ」
「と、トーヤお願いじゃ……わしを捨てないでくれ」
「大丈夫だ。人にも得手不得手はあるさ」
指導を諦め、ため息をついた俺に桜は心配そうにするので、とりあえず頭を撫でる。
……にしてもどうしようか。別に困るわけでもないが、このまま何もしないと言うのも何なので、何らかの役割を探してみるが、今の所は見つからない。
まぁ運転は出来るからお荷物ってことにもならないけど……うーむ……。
そんな感じで悩んでいる時だった。
遠くからヘリのローター音と小銃の銃声が聞こえる中、俺を呼ぶ声。
「とーやぁ!」
家の方からリナが走ってきていた。
銀色の髪を揺らしてパタパタと走ってくるリナは、俺に撫でられている桜をむっとした感じで見た後、要件を教えてくれる。
「家にお客さんが来てるよ」
「ん?知り合いか?」
「うん、レイシルさんが少しお話をしたいって」
レイシルが?
何だろうと思いつつ、わかったと返事をして家へと戻る。
戻るまでの間、もう片方の手でリナの頭を撫で続けたことは言うまでもないだろう。
この先作者のリアルが忙しくなったりなくなったりと、変動が激しくなるので、しばらく不定期更新になりますが、ご了承ください。
まぁゆったりと更新していきますので。




