少女の回想1
少女視点です。
私が魔食だとわかったのは10歳の時だった。
なんの変哲もない1日。
そんな1日だったのに、私の人生は大きく変わった。
最初の異変は両親だった。
突然苦しみだして、衰弱した両親。
次の日に町医者のおじいちゃんに来てもらって診てもらうと、魔力の大半が'喪失'していたらしい。
魔力は日常生活や魔法の行使に必要な力。
その力は減ることはあっても、無くなることはありえないのだ。
健康や寿命にも大きく関わる魔力が無くなった両親はしばらく安静が必要になった。
おじいちゃんはまた明日来ると言って家を出た。
そして、おじいちゃんも倒れた。
原因は魔力の'喪失'による衰弱。
この立て続けに起こった魔力の喪失は、最初は疫病か何かだろうと言われていた。
両親とおじいちゃんは一旦隔離されて、様子を見ることになった。
私はその間、お父さんの妹夫婦に預かることになった。
そして、妹夫婦の魔力も'喪失'した。
原因がはっきりした。
私だった。
村のみんなから非難され、危険視され、排斥され、私は地下の牢でしばらく過ごすことになった。
もちろん、当時10歳の私に何か解決策があるわけでもなく、ただただ自分が悪いことをしたのだということだけを理解した。
数日後、実験が始まった。
魔力喪失の要因を探し始めたのだ。
奴隷を使っての実験の結果、接触によって喪失の現象が起こることがはっきりした。
私は人の肌に触れることを禁止された。
そしてそのまま数年が過ぎたある日、両親が私に会いに来た。
やつれ、不健康そうな見た目になってしまった両親を見て、期待と不安が入り混じった。
けど、ずっと言わなきゃいけない言葉があった。
掠れた声で私は精一杯声を出した。
「ごめんなさ……」
「早く連れて行ってください。この先はあなた方に任せますから」
冷め切った声、冷め切った目。
そんな両親はこちらを見向きもせず、私は知らない人たちに連れて行かれた。
何が起こったのか分からなかった。
理解したくもなかった。
けれど時間が経てば経つほど現実が迫ってくる。
馬車の荷台に乗せられ、運ばれる自分を考えて。
そしていつの日か、私は諦めた。
あぁ、私は捨てられたんだ。
あ、1話で終わらなかった。
次も回想編です。