拒絶
「えっ……?」
少女の言葉に、固まってしまう。
まさかこんなにはっきりと拒絶されるとは思ってもいなかったからだ。
「早く!離して!………お願い……早く離してくれなきゃあなたまで……!」
手足を動かして離れようとする少女をゆっくりと放す。
解放された少女は俺から距離を取った。
「また……また巻き込んじゃった……ぐすっ」
そしてそのまま、目に涙を溜めて、泣き出した。
……えっ、そんなに嫌だったのか。
こちらを向きながら涙を流す美少女に心を抉られながら、それでもその場を離れることができない、そんな微妙な雰囲気。
そんな時間がどれくらい経っただろうか。
少女はこちらを見ないようにしているのか、俯いて、動かない。
……いったい俺にどうしろと。
「落ち着いた?さっきはごめんな、いきなり抱きかかえたりして」
とりあえず謝った。
うるせー!ろくに彼女もできなかった俺にはこれが限界なんだよ!
そんなことを考えていると、少女の綺麗な青い瞳がこちらをじっと見ていた。
信じられないものを見ているような、そんな目だ。
「あなた……なんともないの?」
「あぁ、戦闘の傷はたいしたことないから安心してくれ」
「そうじゃないの……体は?魔力異常は起きてないの?」
「魔力異常?」
まったく意味は分からないが、俺の体に問題は特に見当たらない。
強いて言うなら心の傷ぐらいだろうか。
「そんな……彼は確かに私に触れたはずなのに……もしかして」
何かを小声で呟く少女。
いったい何なのだろうか?
まったくわから……んうぉ!?
「ど、どうした!?」
「ごめんなさい!ごめんなさい……お願い、もう少しこのまま」
突然少女が胸に飛び込んでくる。
混乱しながらも、距離の近いた少女にドキドキしてしまう。
なんたって美少女なのだ。これでなんとも思わない男子なんかいないだろう。
10秒ほどだっただろうか。
少女がゆっくりと離れて、呟いた。
「なんともないんだ……私はあなたに触れられるんだ!」
そしてまたこちらに飛び込んでくる。
次は何かに縋り付くように抱きついてきた。
「ごめんなさい…!ありがとう…!ごめんなさい……」
少女がうわ言のように呟き続ける。
うん、まったく、まったく何が起こってるのか分からないが……
とりあえず今は黙って胸を貸すのが男の甲斐だろうよ。
そう思ってさっきより多く涙を流す少女が落ち着くのを待った。
今回は次のページの布石だと思ってください。
もし、読みにくい、意味不明と思ったら教えてください。初期案に戻して直しますので。