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カバンの中には現代兵器  作者: アンケン
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道中の厄介

 「……どうしてこうなるんだよ!」




 銃声が響く中、俺はおもわず叫ぶ。


 旅は順調だった。

 ここまで魔物に襲われることも無く進んできた旅……だったが、今は絶賛停車中だ。



 原因は目の前の魔物。

 北方に抜けるための峡谷で遭遇した巨大な魔物は左右を崖で挟まれた道を完全に塞ぎ、俺たちは止まるどころか、逆にジワジワと後退を続けていた。





「トーヤ様!距離100です!」




「くそっ!全車後退!」






 俺の指示に9輌の装甲車が射撃を続けながら後退を開始する。

 ブローニングM2の12.7mm弾に加えて、ストライカーMGSに搭載された105mm砲も魔物へと飛翔するが、効果はない。


 ……どうして俺はこう、厄介なことに巻き込まれるんだよ!



 もう一度心の中で叫び、カメラ越しに見える魔物を睨む。


 一見すると巨大な岩。表面はゴツゴツとしており、前方に対して角度のついた傾斜装甲のような体表が全体を覆っている。

 全長は50mを優に超える巨体で、それが時速20kmほどの速さで迫ってきているのだ。


 魔物の名前は地竜。竜とつくが、種族としてはドラゴンとはまた別らしく、攻撃力がない分防御力がアホみたいに高いので、ドラゴンより厄介な奴である。






「トーヤ様!ここは一旦引きましょう!」





 アイリスが提案した撤退。

 この状況じゃ合理的な判断だが、今の状況で俺にできることは思いつかなかった。


 あの戦車みたいな野郎は対戦車兵器……ロケット砲や地雷などもほぼ効果がなかったんだ。

 もちろん、この他にも対抗手段は山ほど思いつくが、どれもこの場所で使えるようなものじゃない。




 ……目的地はすぐそこだっていうのに。




 だが、部隊をこれ以上危険にさらせない。


 滲む悔しさを噛み締めながら無線機を取り、撤退を告げようとした、その時だった。






「トーヤ様!崖の上に人がいます!何かを大声で叫んでいます!」





 c小隊から連絡が入り、ハッチから顔を出す。

 するとそこには数人の男がおり、こちらに向かって叫んでいた。






「……弱点は内側だ!口を狙え!」




 そう聞こえた。

 弱点は内側……口を狙えと言われても、固く閉ざされた口にも体表があり、105mmではこじ開ける事が不可能なのはわかっている。


 何か方法は……と、考えていると、続けて通信が入った。





「トーヤ様。口をこじ開けます。仕留めてください」





 c分隊からの通信だが、声は部隊長のものではない。


 ルークである。

 相変わらず抑揚のない声で一言そう告げ、俺は砲手席に戻る。

 何をするつもりかはわからないが、今は賭けるしかないと思ったのだ。





 銃声。


 リー・エンフィールドが放った1発の銃声はM2の射撃音に紛れてもなぜかよく聞こえた。




 そして、咆哮。

 地竜が痛みに悶え、堪らず声をあげたのだ。


 今まで何の攻撃も効かなかったのに何故……答えはカメラ越しに見ていた。

 眼球を狙ったのだ。巨体に似合わず小さな瞳は確かに体表には覆われていなかったが、動く敵の、そんな一箇所を狙えるわけがない。

 だが、それをルークはやってのけたのだ。






「……よくやった」





 直後、砲声。


 ライフル砲から放たれた105mmの砲弾が咆哮を上げる地竜の口へと入り、体内を穿つ。


 ズシン……と、巨体が倒れた。

 目前まで迫っていた地竜が、大きな口を開けたまま絶命したのだ。





「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」




 歓声が上がる。

 部隊が全員車輌から降りて、目の前に倒れた地竜の姿に歓喜していた。


 俺とリナも小さくガッツポーズをした後、俺は車輌を降りる。






「良くやった。ルーク上等兵。見事な狙撃だった」




「……どーも」




 そして今回の功労者を讃える。

 相変わらず無口で、表情も変わらないが、自分の愛銃だけは誇らしげに肩に担いでいた。


 ……こいつにならもっと精度のいい銃を与えていいな。

 そう思いながら、上を見る。





「この峡谷を抜けた先で合流だ!」




 そう言って男たちは先に進んでいった。

 姿を見るに、彼らもおそらく王国軍の兵士だろう。



 甲冑を見てそう判断し、部隊の喜びが冷めるまで待った後に、彼らと合流するため再び前へと進むのであった。

あれ?海は……まだ?


何故か再び陸戦を書いてしまい、作者も少し混乱しています。

きっと暑さのせいですね。

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