つかの間の休息
「平和だなぁ」
「平和だねぇ」
リナと2人、ベットの上で、ぐでーっと脱力する。
柔らかな布団と隣にいるリナの心地よい温かさで、何もせずにこうやって過ごすのも悪く無いなと思える。
戦争から1週間がたった。
俺にとっての初めての大規模戦闘。思いつく限りの兵器を使い行った戦闘は、終わってみると随分とあっけないものだった。
しかし、街に帰ると俺たちは英雄として迎えられた。
戦いを見た兵士達がこちらを尊敬の眼差しで見て、住民達はまるで祭りであるかのように勝利を祝った。
もちろん、領主からも感謝と共に追加の金貨をこれでもかというほど積み上げられた。
そして、このことは王都にも伝わっているらしく、近々王都から使者が来て、さらに褒賞を貰えるらしいが、めんどくさい。それまでに街を出てやろう。
そんな感じで戦闘が終わった数日間もあまり休むことも出来ず、やっと収まり始めた今日、こうやってリナと平和を堪能しているわけだ。
「とーやぁ」
「どうした?」
「……えへへ〜、やっぱりトーヤはカッコ良いや」
ベットの上をもぞもぞと動き、そのまま腕に絡みついてきて、猫のように頭を擦り付けてくる。
「リナだって可愛いぞ。俺の恋人にはもったい無いくらいだ」
前の世界では彼女いない歴=年齢だった俺にとっては、まるで奇跡のようにも思える美少女だ。
そんな美少女が恋人であることが、今でもたまに信じられないくらいである。
「……ふーん……トーヤはそんなこと言っちゃうんだ」
するとリナが俺の上に馬乗りになってこちらを見てくる。
頬を膨らませて怒ってるような顔も美少女なのだからすごいと思う。
「えっと……何を怒ってらっしゃるのでしょう?」
「トーヤは私が恋人でもったい無いなんて言うんだ。私はトーヤがこんなに好きで、恋人でいることがこんなに嬉しいのに、そんな事言っちゃうんだ」
「えっ、それは……」
まさかそこに反応するとは思ってもいなかったので、答えに悩んでしまう。
しかし、俺の答えを聞く前に、リナは拗ねた口をさらに尖らせた。
「いいもん」
「リナ?」
「それならトーヤがそんな事言えないくらい、トーヤに私を好きになってもらうもん」
そのまま重なる柔らかな身体。
まるで擦り付けるように動かされる身体に自然と興奮が湧き上がってくる。
「一応言っておくけど、俺はリナが世界で一番好きだし、大切に思ってるぞ」
「私だってトーヤが一番好きだもん。トーヤ以外の人なんかどうでもいいくらい好きだもん。だから……トーヤも私以外どうでもよくなるくらい愛してよ」
ぎゅっとリナを抱きしめる。
もう我慢はできなかった。
「ねぇ……しよっか」
トントントン。
世界が固まった気がした。
聞こえたのはノック音。
この前のような叩きつけるようなものではなく、控えめなノックだったが、俺たちの世界を壊すのには十分だった。
昂ぶっていた気持ちが一気に冷めてしまう。
…………なんだこのデジャビュ。
「来客だな」
「来客だね」
2人、事実を確認し合う。
どうやら恋人の時間はまた先延ばしのようだ。
「とりあえず……撃っていい?」
「ダメに決まってるだろ。」
いつの間にか右手に握っていたワルサーP99を扉へと向けるリナを止める。
渋々といった表情でトリガーから手を離すリナを確認して、俺は扉へと向かう。
「あ、トーヤ殿。また唐突な訪問失礼する。実は領主様がトーヤ殿に頼みたい事があるらしくってな……どうしたんだトーヤ殿?リナ殿もそんな怖い顔をされて、一体何が……」
出てきたガリアに思わずため息がこぼれる。
次は誰にも邪魔されない場所に住んでやる。と固く誓ったのだった。
なんでしょう……最近リナを書くときだけ妙に筆が乗る気がします。
この調子でどんどん書いていくので、今後とも宜しくお願いします。