集結
「戦場の女神様は無慈悲だな」
思わずそう呟く。
前方に辛うじて目視で見えるくらいの距離まで迫ってきた敵軍。
そこに撃ち込むのは戦場の女神こと砲兵の武器である大砲。
99式自走155mmりゅう弾砲である。
陸上自衛隊の特科(砲兵)部隊に配備されているこの兵器は155mmりゅう弾を40km先まで撃ち込むことが出来る自走砲であり、世界でも珍しい自動装填で射撃することが出来る。
おかげで、射撃するだけなら俺1人でも出来てしまうのだ。
「凄い威力だね……敵が吹き飛んでるのがここからでも見えるよ」
分間に6発のペースで撃ち込まれる砲弾。
敵との交戦距離が近い為、ほぼ水平に撃ち込んでいるため、ダイレクトに敵に届いてしまう。
だから……うん、リナの言ってるように敵兵が言葉の通り吹っ飛ぶのが良く見えて、ちょっとグロい。
「……お、騎兵隊のお出ましか。さすがにあれはこれじゃ狙えんかなぁ……」
そんな中、前に突出してきたのは、騎兵隊。
数百ほどの馬がこちらに向かってきていた。
「リナはこれ使って取り逃がした敵を頼めるか?」
「わかったー」
俺は99式から降りて、リナは備え付けられているM2重機関銃の銃座に着く。
そして、本日3台目となる戦闘車両を取り出す。
名前はゲパルト自走対空砲。
ドイツが開発した対空戦車で、エリコン35mm対空機関砲KDAを2門装備して毎秒9発の弾幕を張ることが出来る。
さっそく乗り込み、目標を定める。
デジタル画面に映し出される騎兵隊の映像。
標的を定め、コンピュータによる偏差などの計算の後、砲塔が移動して、照準が定まる。
トリガーを引く。
ダダダダダッ!と連続した砲声が響き、99式と同様水平に撃ち込んだ弾幕は騎兵隊に襲いかかる。
着弾。
35mmの砲弾の雨に降られた騎兵は回避する間もなく馬と共に倒れる。
続く射撃。
5秒ほどのバースト射撃で次々と騎兵隊をなぎ倒す。
1kmほどの距離になるとリナの射撃も開始される。
中には500mに迫ろうかという騎兵もいたものの、回避はほぼ不可能の弾幕を超えることは出来ず、結局自分の攻撃範囲には届くことはなく、10分も経たないうちに騎兵隊は壊滅し、残った騎兵は反転し、撤退を開始した。
ゲパルトを降りてリナの元へ向かい、Tホークの映像を確認する。
既に最初見た黒い津波のような集団は無く、逃げた騎兵が森へと入るのが見えた。
どうやら歩兵も撤退したようだ。
「勝ったな」
「そうみたい…だね」
終わってみれば何とやら。
敵の敗走により、帝国の侵攻は失敗に終わり、俺たちの勝利が確定した。
だが、本来なら諸手を挙げて喜ぶべきなんだろうが……あまりにも一方的過ぎる戦闘に微妙な達成感が合わさり、2人して何とも言えない表情になるのだった。
これ書いてて作者が一番何とも言えない顔になりました。
何でしょうか……思ってたのと違う!何でだろうか……




