面会直前
主人公無双のための生贄を召喚(予告)
「少し面会の準備をしてくる。少しここで待っていてくれ」
荘厳な扉の前。
ここに面会に来る人用の待合室のようなところで、ガリアは衛兵に事情を話した後、準備に向かった。
「……なんだか緊張するね」
「そうだな……今までこんな経験なかったからなぁ」
直前になって緊張が湧いてきた。
……ほんとにこんな経験、学校で表彰される時とかしか味わったこと無いからなぁ。
やはり作法とかあるんだろうか?とりあえず領主の前で膝立とけばいいのか?
そんなことを考えていると、後ろから足音が聞こえた。
ガリアが戻ってきたのかな?っと思って振り向くと、そこには1人の騎士が立っていた。
「ふーん……あんたがドラゴンを倒した英雄殿ねぇ……」
一言で表すなら、遊び人……が一番だろう。
金の髪を長く伸ばし、顔は所謂二枚目風。騎士の甲冑を着ているが、姿勢はガリアのように整えられてなく、目だけは妙に鋭く俺のことを見ていた。
「あぁ、そうだが、何か?」
「いんや、何でもないよ。あのドラゴンと単騎で戦ったって聞いてたから、どんな大男が出てくるかと楽しみにしていたら、田舎臭いガキが出てきてがっかりしただけさ」
相手を貶すような言い方。
それに腹は立てるが、行動は起こさない。
こういう奴は無視するのが一番だろう。
すると、何か言い返してくると思っていたのか、つまらなさそうに俺から目線を外すと、そのままリナに注がれる。
そして、男の目が変わる。
「こっちはえらい美人じゃねぇか。この後の予定は?なんなら俺の館に……」
「……その手でリナに触れんじゃねぇよ」
リナに伸ばされた手を掴む。
もちろん全力で握り締めているので、男の顔が苦痛に歪む。
ここでこいつがリナに触れれば、能力がバレてしまう可能性がある。
そうなればややこしい事になるのは明白だ。実際ここまで来るのに何度かリナと誰かが接触しそうな場面はあったが、すべて回避している。
……まぁ、私怨も多少は…いや、大分混ざっているが。
「ふ、ふん!貴様の女か?それとも愛玩奴隷にでもしたのか?自分のモノには一指たりとも触れさせないとは見上げた田舎者だな」
振りほどいた手首を摩りながら、子供の喧嘩みたいに喚き散らし始める。
俺はリナの手を掴んで少しこちらに寄せながら、冷たい目で男を見ていた。
……その一方で恋する乙女は、自分の魔食を隠すためと分かっていても、守ってもらえた嬉しさに笑みを隠せずに、トーヤから顔を隠すように俯いていた。
「すまない!遅くなった……エリアス中尉、貴様ここで何している?」
そんなことをしていると、今度こそガリアが帰ってきて、怪訝そうな顔でエリアスと呼ばれた男を見ていた。
「何って、緊急の面会があるから護衛に来たんすよ」
「集合の時間はとうの昔に過ぎている。貴様また遅刻か」
「昨晩も彼女が寝かせてくれなくって…ね」
まったく反省の色が見えない男の姿に、ガリアのこめかみに血管が浮かぶのがわかる。
「……面会の準備が完了した。トーヤ殿とリナ殿は私に続いて入ってきてくれ」
だが、何も言わずに俺たちの前に立ち、扉を開けるガリア。
……何か理由でもあるのだろうか?
少し疑問に思いながら、俺たちは領主の元へと歩を進めていった。
早く戦闘描写……もとい現代兵器を出したいです