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ふろろーぐ



………夢から覚めてしまった



何時もそうだ。一番大事な所は絶対見せない。毎回毎回中途半端で、一体夢世界は私に何がしたいんだ。そんなに大事なことか。





私は孤児なのに……





私は物心ついたときから孤児院にいて聞いた話によると、ある日院長先生が連れてきたらしい。

まぁ、この話も本当かどうかわからないがずっとここにいる奴の話だから概ね確かだろう。


だが、私みたいな奴が孤児になるなんてことはこの世界の常識から考えて有り得ない。




この世界の常識を簡単に説明すると、一般的な火・水・風・地・雷の五大魔素と、今では一部の一族だけがもつ光・闇の古代魔素、無限の可能性を秘めた無の魔素がある。


大抵、五大魔素から一人一つの魔素を宿しているが稀に一つも持たない人が生まれる。そういう人が孤児になる。


だが、一番面倒なのは魔素との適性だ。

適性が悪ければ一つの魔法を使うのに大きな負荷が掛かる。適性がいい魔素が使えず適性が悪い魔素が使える、なんてこともある。

しかし、五大魔素を持たない人は例外なく無の魔素との相性がずば抜けており、五大魔素や古代魔素からは出来ないようなことをやってのける。


加えて人一人が持っている魔素の貯蔵量があり、これは使い続ければ増えるが、増える量は人によって大幅に変化する。最初は極微量だった量が最終的にかなり膨大になった、なんて話もある。まぁ、ここまでするのにどれだけの努力があるかはわからないが。


最後に人によっては精霊がついていることがあり、それによって魔法が強化される。精霊によって強化される量は変わるが大体2~5倍になる。

精霊は先天的についていることが多いが、後天的につくことがあるらしい。


魔素×適性=魔法(×精霊)


って感じである。


例えば、魔素が2で適性が0.45、精霊による強化が2倍だとすると、魔法の威力が1.8となる。


ちなみに、魔素が2なので初歩的な魔法であり、適性の最大が100の内の45で、なおかつ精霊によって強化されているがあまり強くない。

風で例えると太めの木を輪切りにするぐらいだ。



私が孤児では有り得ないといったのは私が五大魔素を持っているからだ。




それも五つも、である。



複数持ちはいる。それはわかってたが、五つ全てというのは聞いたことがない。四つ持ちまでは認知されているのに。しかも、古代魔素の闇も使うことができた。適性も全てがほぼ100である。無に関しても100には届かないものの7割という有り得ない値。普通五大魔素があれば無は3、4割がいいところだ。



こんなにも好条件がある子供を捨てるなんてことは、この世界の常識的に有り得ないはずだ。まぁ、だからといってそれはもうどうでもいいのだが。



ここは孤児院は、この世界でもかなりいい場所だと思う。人が暮らしている所から随分と離れているし(歩いて3日)森の奥深い所にあるし、人と関わるのが苦手な私にとっては申し分ない所だ。



院長先生はいい人だ。若干、ロリコンのような気もしないでもないが。私がまだ、赤ちゃんだった頃コロコロと変わる私の気分次第でよく周りの環境が破壊されていたらしいが、院長先生がどうにかして私に制御の仕方を教えて、なんとかしたらしい。


院長先生は男だ。銀色で長い長い髪とメガネがトレードマークだ。院長先生は20代だし、赤ちゃんだった私に制御の仕方を教えるくらいだからすごい人だ。


私は一度、聞いたことがある。

どうしてここで孤児院の院長なんかをやっているのか、と。


院長先生は言った。

これが俺の役目だから。

そういっていた。


その時の院長先生の目は覚悟と強い意志が籠もっていて、思わず見とれてしまった。




そう、思いにふけっていた時、かすかにドアの向こうから声がした。



あの声は!



「キョウ起きてるか?」


キョウ……というのは私のことである。



私はドアを開けた。


「起きてるよ、院長先生」

「院長でいいって毎回言ってるだろ?」


その言葉に私はぷるぷると首を横に振った。それを見た院長先生は苦笑いしながら私の頭を撫でた。


「強情だな、相変わらず」

「それよりも院長先生、私に用事あるんでしょう?」

「おぉ、そうだった!お前がかわいいから忘れてた」


何いってるんだこのロリコンは……。

院長先生はタラシだ、絶対!



「お前に、客がきてる」

「客?」

「まぁ、いけばわかるよ」


そう院長先生に言われて客が待っているであろう一階へと向かった。

そういえば院長先生は頑なに自分の名前についてはなかなか口を割らないけど何か理由があるのかな。

まぁ、今はいいか。




これが全ての始まりになるということも知らずに。



ここまで読んで下さりありがとうございました!

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